個人向け国債を買うとき、額面100万円分なら払うのは100万円です。ところが、同じ窓口で買える新窓販国債では、払う金額が額面と一致しません。
財務省が公表している2026年9月債の発行条件によると、新窓販国債10年(第383回)の募集の価格は、額面金額100円につき98円16銭でした。額面より安く買える回号です。
この記事では、個人向け国債の募集の価格が100円で固定されていることと、新窓販国債の価格が回号ごとに変わることの意味を確認します。
なお、個人向け国債の商品性については、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 個人向け国債は額面100円を100円で買い、100円で戻る
まず、個人向け国債の条件を確かめます。
1.1 2026年9月募集分は固定5年が年2.24%
2026年9月募集分の利率は、固定5年(第186回)が年2.24%、固定3年(第196回)が年1.96%、変動10年(第198回)が年1.95%です。募集期間は2026年9月3日から9月30日まで、発行日は10月15日です。
財務省によると、個人向け国債の募集の価格は額面金額100円につき100円です。償還金額も額面金額100円につき100円で、中途換金したときも同じです。
1.2 応募者利回りは表面利率と同じになる
買う値段と戻ってくる値段が同じですので、受け取るお金は利子だけです。財務省も、個人向け国債の応募者利回りは表面利率と同じであると示しています。
額面100万円分を買うなら払うのは100万円で、満期には100万円が戻ります。値段の差で得をすることも損をすることもありません。
2. 個人向け国債と違い、新窓販国債は募集の価格が100円とは限らない
ここからが、同じ窓口で買えるもう1つの国債の話です。
2.1 2026年9月債の募集の価格は98円16銭から100円12銭まで幅がある
新窓販国債は満期が10年・5年・2年の固定金利型で、販売価格は発行ごとに財務省が決めます。2026年9月債の募集の価格は、10年(第383回)が98円16銭、5年(第187回)が100円12銭、2年(第488回)が100円05銭でした。いずれも額面金額100円あたりの金額です。
表面利率は10年が年2.7%、5年が年2.2%、2年が年1.7%です。償還金額はどれも額面金額100円につき100円です。
2.2 額面より安く買えると、利回りは表面利率を上回る
10年債は98円16銭で買って100円で戻りますので、額面との差である1円84銭も受け取ることになります。利子に加えてこの差があるぶん、実際の利回りは表面利率より高くなります。
財務省が示している10年債の応募者利回りは年2.943%で、表面利率の年2.7%を上回っています。
逆に5年債は100円12銭で買って100円で戻りますので、12銭ぶんは戻りません。応募者利回りは年2.171%で、表面利率の年2.2%をわずかに下回ります。2年債も同じ関係で、募集の価格100円05銭に対して応募者利回りは年1.672%、表面利率は年1.7%です。
3. 額面100万円を買うと、個人向け国債と新窓販国債で払う金額が違う
金額に置き換えて確かめます。
3.1 新窓販国債10年は購入代金が98万1600円になる
新窓販国債10年(第383回)を額面100万円分買う場合、募集の価格が98円16銭ですので、購入代金は98万1600円です。満期には額面どおり100万円が戻りますので、その差は1万8400円になります。
ただし、購入時にはもう1つ払い込むものがあります。財務省によると、新窓販国債は発行日から初回の利払日までの期間がぴったり半年にならないため、半年に満たない分の日割り計算された利子(税引前)相当額を「初回の利子の調整額」として購入時に払い込みます。10年(第383回)では額面金額100円につき0.8210958円、111日分と示されています。
3.2 個人向け国債は100万円分なら100万円を払う
個人向け国債は募集の価格が額面金額100円につき100円ですので、額面100万円分なら払うのは100万円です。購入時に別途払い込むものはありません。
平成28年5月以降に発行される個人向け国債では、「初回の利子の調整額」を払い込む必要はなくなっています。名前の似た2つの商品ですが、買うときに手元から出る金額の考え方が違います。
証券会社や銀行の窓口では、この2つを並べて説明されることがあります。表面利率だけを見比べると判断を誤りやすいので、募集の価格もあわせて確かめておきたいところです。


