50歳代以上の女性の47.5%、実に「約2人に1人」に大好きな「推し」がいる——ハルメク 生きかた上手研究所の調査で、おとな世代における推し活の熱量が明らかになりました。
さらにその推しがいる人のうち、実に81.8%(前年比12ポイント増)の人が応援にお金を投じており、年間の平均消費額は11万348円に達しています。
推し活は日々の生活を輝かせるステキな生きがいですが、この「年間約11万円」という支出を、将来の引退後、女性の厚生年金平均受給額である「月額11万1413円(手取りベースでは約8万〜9万円)」の限られた年金生活に入ってからも、今と同じペースで無理なく続けられるかは別の問題です。
最愛の推しをこの先10年、20年と一生涯、健やかに応援し続けるために、50歳代の「今」から何を整えておけばよいのか。現実的な家計管理のルールを整理してみましょう。
1. この記事の3つのポイント
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50歳代以上女性の47.5%に「推し」がおり、年間平均消費額は11万348円。前年より支出する人が12ポイント増えています -
推し活の資金ギャップを分割・後払い・カードローンで埋めた経験がある人は28.7%。リボ払いの手数料はおおむね年15〜18%です -
引退後の収入は厚生年金の女性平均で月11万1413円。「平均貯蓄1908万円」ではなく中央値700万円を基準に考えるのが実務的です
2. おとな世代に広がる推し活、その現在地
子どもが独立し、家の中が静かになる50歳代。そんなライフスタイルの変化をきっかけに「推し活」に出会う女性もいるでしょう。
ハルメク 生きかた上手研究所の「『推し』に関する意識・実態調査2026」(2026年5月、50〜88歳の女性533名)によると、50歳代以上の女性で「推し」がいる人は47.5%。2人に1人です。
総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」では、ほかの行動をしながら同時に行う行動として「コンピュータの使用」が32.4%に達し、「テレビ」の28.0%を初めて上回りました。
家事の合間に、通勤の途中に、スマホで推しの情報を追う。そういう日常が、おとな世代にも定着しています。
その情熱は金額としても表れます。ハルメク調査で、推しにお金をかけている人は81.8%、前年から12ポイント増。年間の平均消費額は11万348円でした。
世代別の年金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
3. 50歳代の推し活は「応援」だから、止まりにくい
3.1 若い世代とは、お金の向け先が違います
IBGメディア株式会社(UtaTen調べ)が2026年7月に公表した「年代別推し活に関するユーザー調査」(16歳以上のユーザー1516名)は、世代差をはっきり示しています。
10歳代〜20歳代の最推しが「漫画・アニメ」や「Vtuber・配信者」であるのに対し、50代は「J-POPアーティスト」が70.8%と圧倒的です。
支出も、全年代で6割以上が「ライブ・フェス」を最優先に挙げ、モノより体験に向かいます。
もっとも大きな違いは、推しに向ける感情でした。10歳代・20歳代は「推しから元気をもらいたい」が上位なのに対し、30代以降は「推しを応援したい/成功を支えたい」がトップになります。
この貢献したいという気持ちは、推し活を豊かにする一方で支出にブレーキがかかりにくいという性質も持ちます。相手のための出費は、削る理由を見つけにくいからです。
4. 5人に1人が「推し活資金が足りない」と感じています
GeNiE株式会社が2025年10月に実施した「推し活に関する実態調査」(全国20〜69歳の男女2000名)では、推し活に物足りなさを感じている人が18.7%、その理由の69.6%が「金銭的な余裕がない」でした。
金銭的な理由でライブ参加やグッズ購入を諦めた経験が「よくある」「ときどきある」と答えた人は全体の65.7%です。
4.1 その差額を、何で埋めているか
同じ調査で見逃せないのが、資金ギャップを埋める手段です。
分割払い、後払い(BNPL)、カードローンなどを利用した経験がある人は28.7%。そして、ファンクラブなどの「公式」が後払い決済を提供する場合、56%が「一般的な金融サービスより安心感がある」と回答しました。
ただ、決済のしくみ自体は公式が提供していても外部の金融サービスと変わりません。「公式だから」という安心感が、金額の妥当性を確かめる一手間を省かせてしまうことがあります。
4.2 リボ払いの手数料は、おおむね年15〜18%
なかでも注意したいのがリボ払いです。主要カード会社が公表する手数料は**実質年率でおおむね15〜18%の水準にあります(2026年8月時点、各社の公表値より)。
かつて標準だった15.0%から引き上げているカードもあります。
毎月の支払額が一定に見えるため負担を感じにくい一方、残高が大きいほど手数料の割合が増え、元金の減り方は緩やかになります。
国民生活センターには「リボ払い専用カードだと認識していなかった」「毎回1回払いと伝えているのにリボにされていた」といった相談事例も寄せられています。
※手数料率や適用条件はカードや契約時期で異なります。ご自身の設定は会員サイトでご確認ください。
推し活そのものは、削るべき出費ではありません。問題はその支出が何で支払われているかです。
手元の現金で払っているのか、それとも来月以降の自分から前借りしているのか。この違いは、収入が給与から年金に変わったとき、はっきりと差になって表れます。
5. 筆者からのコメント
ここまで、推し活の資金ギャップを分割や後払いで埋めている人が28.7%いること、リボ払いの手数料がおおむね年15〜18%であることを見てきました。
現場でいちばん多いのは、「使いすぎた」という自覚がないまま残高が膨らんでいたケースです。
今日できることが一つあります。カード会社の会員サイトで支払い方法の設定を確認すること。「自動リボ」といった設定が入っていないか、明細の「手数料」欄がいくらか。この2点で状況は把握できます。
推しへの愛情と、支払い方法の設定は別の話です。前者はそのままに、後者だけを淡々と点検する。それで守れるものがあります。



