5. 毎月5000円を年率1%で10年積み立てると63万749円
ここからは、収支の差を埋める手立ての一つとして、毎月5000円の積立投資を年率1%で10年続けた場合を確かめます。
積立の成果は金額と期間と利回りの掛け算で決まります。まずは元本と運用で増えた分を分けて見ていきましょう。
5.1 【試算】毎月5000円・年率1%・10年の結果
- 毎月の積立額:5000円
- 積立期間:10年(120回)
- 想定利回り:年率1%
- 元本:60万円
- 運用益:3万749円
- 10年後の資産:63万749円
元本60万円に対して運用益は3万749円で、元本の約5%にあたります。10年後の資産は63万749円という計算です。
10年では複利の効果はまだ限定的です。毎月5000円という同じ積立額でも、期間を延ばせば結果は変わってきます。
※毎月5000円を10年、年率1%で複利運用できた場合の試算です。売買手数料や信託報酬、税金は計算に含めていません。右肩上がりで増え続けるわけではなく、含み損を抱える期間もあります。
5.2 積立額を1万円増やすと10年後は126万1499円多くなる
毎月の積立額を5000円から1万5000円へ1万円増やすと、10年後の資産は63万749円から189万2248円へ、126万1499円増えます。増やした元本は120万円ですので、差額のうち6万1499円が運用によるものです。
増額が現実的かどうかは、10年続けられるかで判断したいところです。やめてしまえばそこで複利の積み上がりは止まります。無理をして途中で止めるより、続けられる額から入って後で調整するほうが結果的に有利です。
非課税で運用できるのがNISAの利点ですが、損失を他の口座の利益と相殺することはできません。すぐ必要になるお金は預貯金に残し、使う時期が決まっていない資金を積立に充てましょう。
6. 【まとめにかえて】70歳代の貯蓄は平均ではなく分布で捉える
70歳代・二人以上世帯の貯蓄は平均2416万円、中央値1178万円で、その差は1238万円です。3000万円以上の世帯が25.2%を占める一方、金融資産を保有していない世帯も10.9%あります。
厚生年金の平均年金月額は全体で15万289円、国民年金は5万9310円です。「厚生年金の男性平均を受け取る夫」と「国民年金の女性平均を受け取る妻」なら、二人分で月22万7549円になります。
貯蓄額は退職金や現役時代の収入、相続、健康状態によって変わります。分布の幅がこれだけ広いのは、そうした事情が世帯ごとに違うことの表れといえます。
平均だけを見て判断せず、分布のどこに位置しているかを確かめておきたいところです。年金の見込額はねんきん定期便やねんきんネットで確認できますので、まずは手元の数字をそろえるところから始めてみてください。
参考資料
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査 統計表の読み方」
石津 大希
