お盆を終えて、「久しぶりに実家でゆっくりと過ごした」という人も多いこの時期。家族が顔をそろえる機会だからこそ、「もし親に何かあったとき、相続はどうなるのだろう」と考えた方もいるのではないでしょうか。
ここでは、元銀行員の筆者が司法統計のデータや銀行での経験をもとに相続トラブルの実態について解説します。
- 相続トラブルが起きやすい遺産額のデータと実態
- 遺言書の種類と「自筆証書遺言書保管制度」のメリット
- 家族間のトラブルを防ぐために今すぐできる3つの具体的な準備
1. 相続トラブルが多い地域はどこ?トップ5をみる
最高裁判所の「令和7年 司法統計年報(家事編)」によると、遺産分割事件(相続トラブル)の件数が多い地域は次のとおりです。
遺産分割事件の件数が多い地域
- 1位:東京(2012件)
- 2位:大阪(1196件)
- 3位:横浜(1075件)
- 4位:名古屋(864件)
- 5位:さいたま(832件)
いずれも大都市圏の家庭裁判所が上位を占めており、相続トラブルは都市部に集中していることが分かります。
ただし、これは人口規模が大きいためでもあり、この結果だけをもって「都市部は相続トラブルが多い」と断言することはできません。
一方で、都市部には相続トラブルにつながりやすい構造的な要因があることも事実です。
たとえば都市部では不動産の評価額が高いため、不動産ひとつをとっても分割方法をめぐって対立しやすく、また相続人が全国各地に分散しているケースも多いことから話し合いの場を設けること自体が難しいという事情もあります。
2. 相続トラブルの約77%は「遺産5000万円以下」で発生!
相続トラブルと聞くと、「うちは揉めるほど資産がないから」と考える人も少なくありません。しかし、同統計によると、相続トラブルが多いのは富裕層ではなく、一般家庭であることがわかります。
遺産分割事件のうち、遺産価額のボリューム別に見た分布は次のとおりです。
- 1000万円以下:2938件(35.31%)
- 5000万円以下:3519件(42.29%)
- 1億円以下:944件(11.35%)
- 5億円以下:541件(6.50%)
- 5億円超:60件(0.72%)
- 算定不能・不詳:319件(3.83%)
5000万円以下の世帯が77.6%を占めており、大多数の相続トラブルは一般家庭で発生していることが分かります。
「相続で揉めるのは富裕層だけだろう」というイメージもあるかもしれませんが、実は一般家庭でも相続トラブルに発展する可能性は十分にあります。
筆者も銀行員として多くの相続に携わる中で、数百万円の遺産をめぐってトラブルになるケースを多く見聞きしてきました。「相続トラブルは決して他人事ではない」ということです。
