厚生年金の平均受給額は男性が月額約17万円、女性が月額約11万円です。

「月6万円の違い」と聞くと、そこまで大きく感じないかもしれません。

ですがこの差が10年積み重なると、なんと700万円を超える大きな差になってしまいます(※正確な平均受給額の差は月5万8554円で、10年間では約702万円の格差となります。詳細は第1章で解説します)。

年金額は4年連続の増額改定が続いているものの、物価上昇のスピードには追いついていないと感じる方も多いのではないでしょうか。

そんな中、2026年8月から日本年金機構より新たに「公金受取口座登録の意向確認書」が順次送付されています。

この記事では、意向確認書の対象者・「45日ルール」といった基本的な注意点に加え、公金受取口座を変更した際に見落としやすい落とし穴、さらに「緑の封筒」でおなじみの年金生活者支援給付金の請求漏れ、便乗詐欺の最新の被害実態までを一気に整理します。

※本記事は一部「【年金】8月から送付開始「意向確認書」の簡易書留《届く人・届かない人》の条件とは?公金受取口座の登録手続きと注意点を解説」を引用のもと執筆しています。

【年金】8月から送付開始「意向確認書」の簡易書留《届く人・届かない人》の条件とは?公金受取口座の登録手続きと注意点を解説
【年金】8月から送付開始「意向確認書」の簡易書留《届く人・届かない人》の条件とは?公金受取口座の登録手続きと注意点を解説
ココがポイント
  • 2026年度の厚生年金は男性16万9967円、女性11万1413円。差は10年間で700万円を超える。

  • 8月から順次届く「意向確認書」は、45日以内に返送しないと自動的に公金受取口座に登録される。

  • 公金受取口座を変更しても年金の振込先は連動せず、別途「年金受取機関変更届」の提出が必要になる。

1. 男女差は10年で700万円超。8月から届く「意向確認書」、45日放置で自動登録に

日本の公的年金制度は、国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する1階部分の「国民年金」と、会社員や公務員が上乗せして加入する2階部分の「厚生年金」からなる「2階建て構造」になっています。

2026年度(令和8年度)の年金額は、物価や賃金の上昇を反映し、国民年金が前年度比1.9%(満額:1956年〈昭和31年〉4月1日以前生まれは月額7万408円、4月2日以後生まれは月額7万608円)、厚生年金が2.0%の増額改定となりました。4年連続のプラス改定です。

厚生年金の平均受給額、男女差は月5万8554円1/4

厚生年金の平均受給額、男女差は月5万8554円

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 厚生年金の平均受給額(国民年金部分を含む):全体で月額15万289円
  • 男性の平均受給額:月額16万9967円
  • 女性の平均受給額:月額11万1413円

男女の差は月5万8554円で、この差が10年間続くと702万円超に達する計算です。

現役時代の働き方や年金の加入期間によって、受け取れる額には大きな差があるのが実態です。

2. 8月から順次発送|「公金受取口座登録の意向確認書」の対象者と手続き

公金受取口座登録法の改正に伴い、年金受給者の方へ「年金振込口座の情報をデジタル庁に提供し、公金受取口座として登録することに同意するか」を確認するための意向確認書が簡易書留で送付されます。これにより、今後の給付金等を迅速かつ確実に受け取れるようになります。

2.1 私は届く?送付の対象となる方・対象外となる方

送付の対象となるのは、2026年4月15日時点で65歳以上(1961年4月16日以前生まれ)の年金を受給している方です。ただし、以下の要件に一つでも該当する場合は送付されません。

  • すでに公金受取口座を登録している方
  • 令和8年4月に年金が支払われなかった方(全額支給停止、振込不能など)
  • 国外に居住している方
  • 共済組合等から支給される年金のみを受給している方
  • 令和7年6月以降の年金請求手続きにおいて、公金受取口座への登録意思表示をした方 など

2.2 登録を希望する場合(同意)と希望しない場合(不同意)

登録を希望する場合、手続きは不要です。何もせずそのままにしておくと、年金振込口座の情報(金融機関名・口座番号等)やマイナンバーが自動的にデジタル庁へ提供され、登録されます。後日、デジタル庁から登録結果通知が届きます。

登録を希望しない場合は、意向確認書の下部にある「公金受取口座登録不同意申出書」を切り離し、同封の目隠しシールを貼って裏面の差出人欄を記入のうえ、記載された返送期限までに返送してください。

2.3 押さえておきたい3つの注意点

意向確認書を受け取ってから45日以内に不同意申出書の返送がない場合、登録に「同意」したものとみなされ、自動的に公金受取口座として登録されます。

一方、不在等により書類自体を受け取れなかった場合は「意向確認ができなかった」ものとして扱われ、口座が勝手に登録されることはありません。

また、不同意申出書は再発行できませんが、任意の様式で提出できる場合があるため、紛失した際は速やかに「意向確認書照会専用フリーダイヤル」へ相談しましょう。

2.4 登録後に口座を変更した場合の注意点

すでに公金受取口座を登録している方が、その後に口座を変更した場合は注意が必要です。

日本年金機構によると、公金受取口座を変更しても、年金の振込先口座は自動的には変更されません。変更後の口座で年金を受け取りたい場合は、公金受取口座の変更手続きとは別に「年金受取機関変更届」を提出する必要があります。

2.5 発送スケジュールと相談窓口

意向確認書は、2026年8月から2027年2月(予定)にかけて順次発送されます。送付タイミングは生年月日により異なります。

意向確認書の発送スケジュール(生年月日別)2/4

意向確認書の発送スケジュール(生年月日別)

出所:日本年金機構「令和8年8月から年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書をお送りします」をもとにLIMO編集部作成

  • 昭和36年4月〜昭和30年10月(1961年4月〜1955年10月)生まれ:2026年8月頃
  • 昭和30年9月〜昭和25年3月(1955年9月〜1950年3月)生まれ:2026年9月頃
  • 昭和25年2月〜昭和21年7月(1950年2月〜1946年7月)生まれ:2026年10月頃
  • 昭和21年6月〜昭和16年3月(1946年6月〜1941年3月)生まれ:2026年11月頃
  • 昭和16年2月〜昭和13年2月(1941年2月〜1938年2月)生まれ:2026年12月頃
  • 昭和13年1月〜昭和6年4月(1938年1月〜1931年4月)生まれ:2027年1月頃
  • 昭和6年3月以前(1931年3月以前)生まれ:2027年2月頃

手続きに関するお問い合わせ窓口として、2026年8月4日から「意向確認書照会専用フリーダイヤル」が開設されています。

  • 意向確認書照会専用フリーダイヤル:0120-74-0011(利用できない場合は050-3524-7372)
  • マイナンバー総合フリーダイヤル:0120-95-0178

市区町村の窓口や年金事務所の窓口では、この件に関する対応を行っていません。確認や相談は、必ず上記の専用フリーダイヤルへ行いましょう。

3. 筆者からのコメント

熊谷 良子

「意向確認書」に便乗した詐欺には十分ご注意ください。日本年金機構や市区町村の職員が、電話や訪問で口座の暗証番号を聞き出したり、ATMの操作をお願いしたりすることは絶対にありません。

あわせて知っておきたいのが、公金受取口座の管理方法による違いです。マイナポータルからであれば登録・変更・抹消のすべてがいつでも可能ですが、金融機関の窓口では登録・変更・抹消ができる一方、確定申告や年金請求の手続きでは登録・変更のみで抹消はできません。

用途によって手続き方法が異なる点は案外知られていないため、まとめて覚えておくと安心です。

意向確認書は簡易書留で届くため、受け取った時点で一度は目を通す方が大半だと思います。ただ、その後の対応を先延ばしにすると、判断の期限が迫っていることに気づきにくくなります。受け取ったその週のうちに、同意・不同意のどちらを選ぶか一度決めておくことをおすすめします。