4. 「緑の封筒」が届いたら要確認、年金生活者支援給付金の請求漏れに注意

今回の意向確認書のように、年金受給者向けの書類で手続き漏れに注意したい制度の一つが、「年金生活者支援給付金」の請求です。

公的年金等の収入が一定基準以下の方に、年金へ上乗せして支給される恒久的な支援制度で、物価上昇を反映し、2026年4月分(実際の振込は6月から)から3.2%の増額改定となっています。

2026年度:年金生活者支援給付金の月額3/4

2026年度:年金生活者支援給付金の月額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5450円から月額5620円(+170円)に増額
  • 障害年金生活者支援給付金(2級):月額5620円(1級は月額7025円)
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円(子が2人以上で受給する場合は人数で按分)

※この金額は基準額であり、実際の支給額は保険料の納付済期間や免除期間等に応じて個別に算出されるため、全員が一律でこの金額になるわけではありません。

基準額が月額5450円から5620円に増えたことで、年間の受給額は6万5400円から6万7440円となり、年間2040円の増加になります。月額では170円という小さな増額でも、年間に換算すると2040円の増加になる計算です。

この給付金は「自分から請求手続きをしないと1円も受け取れない(申請主義)」制度です。

新たに支給対象となる可能性のある方には、日本年金機構から毎年9月上旬から順次、はがき形式の請求書が入った「緑色の封筒」が届きます。

この手続きを「後でやろう」と放置し、申請が遅れてしまった場合、請求した月の翌月分からしか支給されず、受け取れるはずだった過去の期間分は原則としてさかのぼって支給されません。

請求書は郵送だけでなくマイナポータルからの電子申請にも対応しています。手続きに不安がある場合は、給付金専用ダイヤル(0570-05-4092、050で始まる電話からは03-5539-2216)へ相談しましょう。

シニアの親御さんがいらっしゃる方は、ご実家にこの「緑の封筒」が眠ったままになっていないか、ぜひ一度確認してみることをお勧めします。

5. 意向確認書に便乗した詐欺の実態|被害額は半年で618億円増、高齢者が6割を占める

意向確認書の送付が始まる今、あわせて警戒したいのが便乗詐欺の実態です。

警察庁によると、2026年(令和8年)1〜6月の特殊詐欺の認知件数は2万2031件、被害額は1816億2000万円にのぼり、前年同期比で3408件、618億8000万円の増加となりました。

特殊詐欺の被害額、2026年1〜6月は前年同期比+618億8000万円4/4

特殊詐欺の被害額、2026年1〜6月は前年同期比+618億8000万円

出所:警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」をもとにLIMO編集部作成

  • 2026年1〜6月の認知件数:2万2031件(前年同期比+3408件)
  • 2026年1〜6月の被害額:1816億2000万円(前年同期比+618億8000万円)
  • 手口別の被害額(上位):SNS型投資詐欺797億9000万円、ニセ警察詐欺507億9000万円、SNS型ロマンス詐欺246億6000万円、架空料金請求詐欺74億6000万円、オレオレ詐欺68億9000万円

2025年(令和7年)の1年間でみると、65歳以上の高齢者が被害件数の51.3%(1万4273件)、被害額の59.2%(841億1000万円)を占めています。

意向確認書のように「役所からの手続き」を名目にした連絡は、便乗詐欺の典型的な入り口になりやすい傾向があります。日本年金機構や市区町村の職員が電話や訪問で口座の暗証番号を聞き出したり、ATMの操作を求めたりすることはありません。「手続きをしないと年金が止まる」といった不安をあおる連絡があった場合は、その場で応じず、家族や警察、意向確認書照会専用フリーダイヤルへ相談しましょう。

実際に、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」等に寄せられた不審な電話・メールの問合せは、2025年度(令和7年度)に電話2349件、メール678件と高い水準で推移しています。

メールの内訳をみると、「マイナンバー情報の登録が未完了、または本人確認情報と一致しない」として偽サイトへの画像提出を促す手口が267件、書類の不備を装う手口が185件、「社会保険料控除証明書」の発行手続きに便乗した手口が112件にのぼり、いずれも具体的な手続きを装った巧妙な内容が目立ちます。

電話や訪問だけでなく、メールやSMSで届く偽サイトへの誘導にも同様の警戒が必要です。

6. まとめにかえて|届いた書類は後回しにせず、まずは確認を

2026年8月から順次発送が始まる「公金受取口座登録の意向確認書」は、年金受給者の方の今後のスムーズな給付金の受け取りを支える重要な手続きです。

自分が対象者であるか、除外条件に当てはまっていないかを整理したうえで、45日以内に判断しましょう。

また、すでに公金受取口座を登録している方は、口座を変更した場合に年金の受取口座が自動的には変わらない点にも注意が必要です。

制度のデジタル化が進み、マイナポータルなど自宅から手続きできる仕組みも増えています。便乗詐欺のリスクに気をつけながら、届いた書類はできるだけ早めに目を通し、必要な手続きを後回しにしない習慣を心がけていきましょう。

7. 【筆者コメント】

熊谷 良子

意向確認書と年金生活者支援給付金には、実は正反対の落とし穴があります。

意向確認書は放置すると自動的に登録される一方、年金生活者支援給付金は放置すると受け取れないままになります。結果は真逆ですが、どちらも「知らずに放置していた」ことで不利益を被る点は同じです。

年金生活者支援給付金の請求書は、紙の郵送だけでなくマイナポータルからの電子申請にも対応しています。手続きに迷ったときは、窓口へ足を運ぶ前に給付金専用ダイヤルへ電話一本入れるだけでも、対応の見通しがつくはずです。

離れて暮らすご家族がいる場合は、実家に意向確認書や緑色の封筒が届いたままになっていないか、一緒に確認してみることをおすすめします。

制度のデジタル化が進む今こそ、届いた書類は後回しにせず、早めに目を通す習慣をつけていきたいですね。

参考資料