公的年金は偶数月に、前月・前々月の2カ月分がまとめて振り込まれます。8月14日に振り込まれた金額を通帳で確認し、「この水準があと何年続くのか」「長生きしたときに足りるのか」と考えた方も多いのではないでしょうか。9月から10月にかけては翌年分の「扶養親族等申告書」が届く時期でもあり、年金額や手取りを意識する機会が続きます。
「人生100年時代」と言われるいま、長生きした場合の資金不足にどう備えるかは、実際の相談の場でもよく聞かれるテーマです。まずは、いまのシニア世代が実際に受け取っている年金額を、60歳から90歳以上まで年齢別に確認していきましょう。記事の後半では、投資未経験のまま老後資金の準備に向き合うことになった会社員の方の事例をもとに、ファイナンシャルアドバイザーの長井祐人さんに伺った考え方をご紹介します。
なお、公的年金の仕組みや年代別・全体の平均年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 60歳から90歳以上まで、1歳刻みで見た厚生年金・国民年金の平均月額の実際の水準
- 1万円刻みの受給額分布から見える、自分がどの層に位置するのかの目安
- 長生きへの備えを考えるときに、投資未経験の方が最初に整理すべき3つの視点
1. 公的年金は「2階建て」2026年度は国民年金・厚生年金ともに増額改定
日本の公的年金は「2階建て」と呼ばれる構造になっています。まずはLIMOの記事「【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金」で要点を確認しておきましょう。
日本の公的年金は、2階建て構造で、1階部分が国民年金(基礎年金)、2階部分が厚生年金(会社員・公務員)となっています。国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が対象となる基礎的な年金制度です。自営業やフリーランス、学生などが主に加入し、保険料は自分で納めます。受給額は加入期間に応じて決まりますが、満額でも月約7万円程度が目安です。厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度で、国民年金に上乗せして支給されます。保険料は給与から天引きされ、収入や加入期間によって将来の受給額が変わります。
出所:【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金
また、2026年度は年金額が増額改定されています。改定内容についてもLIMOの記事「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」で確認できます。
2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の増額改定となりました。国民年金(満額・1人分)は月額7万608円、厚生年金(モデル夫婦世帯・2人分)は月額23万7279円です。ただし「ねんきん定期便」などに記載された金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなります。
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
ここで押さえておきたいのは、増額改定があっても、それがそのまま手元に残る金額ではないという点です。長生きへの備えを考えるときは、額面ではなく手取りベースで、しかも「何年間続くのか」という時間軸を重ねて見る必要があります。
2. 厚生年金の平均月額はいくら?60歳から90歳以上まで年齢別に確認
今のシニア層が実際に受け取れる年金額はいくらくらいなのでしょうか。年代別の年金一覧表とあわせて確認していきましょう。
厚生労働省年金局が発表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢ごとの平均年金月額を一覧形式で見てみましょう。
はじめに厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額を確認します。
2.1 【60歳代(60〜69歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。
2.2 【70歳代(70〜79歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
2.3 【80歳代(80〜89歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
2.4 【90歳以上】厚生年金の年金月額一覧表
- 90歳以上:16万4027円
出所:【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金
標準的な年金受給開始年齢は65歳となっています。65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額は、14万円~16万円台でした。年齢が上がるほど平均額がやや高くなる傾向がありますが、これは長く受け取り続けている世代ほど、現役時代の加入状況が反映されやすいことなどが背景にあります。
3. 国民年金の平均月額はいくら?60歳から90歳以上まで年齢別に確認
続いて、国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。
3.1 【60歳代(60〜69歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。
3.2 【70歳代(70〜79歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
3.3 【80歳代(80〜89歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
3.4 【90歳以上】国民年金の年金月額一覧表
- 90歳以上:5万5633円
出所:【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金
65歳以降の人が受給できる国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、5万円~6万円台となっています。厚生年金と異なり、年齢が上がっても金額が大きく伸びるわけではなく、おおむね横ばいで推移している点が特徴です。
4. 全年齢の平均と「1万円刻み」の受給額分布
60歳~90歳以上のすべての受給権者における「平均年金月額」と「受給額分布」についても見ていきます。
4.1 「厚生年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
※国民年金の金額を含む
受給額分布(1万円刻み)
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
厚生年金では、全体の平均年金月額は15万289円という結果でした。男女の平均を比較すると、男性16万9967円、女性11万1413円で、6万円近い開きが見られます。
4.2 「国民年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
受給額分布(1万円刻み)
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
国民年金の平均年金月額は全体で5万円台です。男性は6万円台、女性は5万円台と4000円ほどですが男女差が見られます。
「6万円以上~7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。
5. 【シミュレーション】90歳まで生きた場合、年金の受給総額はいくらになるか
長生きへの備えを考えるうえで、「毎月いくら受け取れるか」だけでなく「生涯で合計いくら受け取るか」を把握しておくと、必要な自助努力の量が見えやすくなります。ここでは、上で確認した全年齢の平均年金月額をそのまま受け取り続けたと仮定して、65歳から90歳までの25年間の受給総額を試算してみます。
【前提】厚生年金は全年齢の平均月額15万289円、国民年金は同5万9310円。65歳から受給を開始し、金額は変わらないものとして単純に積み上げます。実際には年金額は毎年度改定され、税金・社会保険料も差し引かれるため、あくまで額面ベースの目安です。
- 厚生年金/65歳~90歳(25年間):15万289円 × 12カ月 × 25年 = 約4508万6700円
- 厚生年金/65歳~85歳(20年間):15万289円 × 12カ月 × 20年 = 約3606万9360円
- 国民年金/65歳~90歳(25年間):5万9310円 × 12カ月 × 25年 = 約1779万3000円
- 国民年金/65歳~85歳(20年間):5万9310円 × 12カ月 × 20年 = 約1423万4400円
85歳まで生きた場合と90歳まで生きた場合を比べると、その差は厚生年金で約901万7340円、国民年金で約355万8600円です。長生きすれば受け取る総額そのものは増えますが、同時に生活費や医療・介護の支出も5年分増えることになります。「長生きリスク」と呼ばれるのは、受給額よりも支出の増え方のほうが読みにくいためです。
なお、この試算は平均値を機械的に当てはめたものです。厚生年金は現役時代の収入と加入期間によって、国民年金は納付月数によって金額が変わります。ご自身の見込み額に置き換えて計算し直すことをおすすめします。













