8月に入り、スーパーの店頭に並ぶ夏野菜や日々のお買い物、そして電気代の請求書を見て「また生活費が上がった…」とため息をついている方も多いのではないでしょうか。
公的年金を中心に生活を送るシニア世帯にとって、日々のやり繰りは一段と厳しさを増しています。
そんな不安を抱えるなか、年金支給日が迫ってきました。
今年度は増額改定で少しホッとするニュースですが、ここで気になるのは「実際、周りの同世代は毎月いくらもらっているのか」「年金から天引きされる税金や社会保険料はどうなるのか」というリアルなふところ事情ですよね。
実は、6月に日本年金機構から届く通知書の見方を誤ると、手取り額の変化に気づけないことがあります。さらに、シニア世代の家計を大きく左右する「住民税非課税世帯」の割合も、年齢とともに変化していくのが実態です。
<p>本記事では、60歳から89歳までの1歳刻みの平均年金月額一覧表を公開するとともに、手取りが急減する「10月本徴収の罠」、最新の遺族年金改正動向、そしてシニアの家計を左右する「住民税非課税世帯の壁」について、ファクト重視で徹底解説します。
1. 2026年度の年金額改定、6月15日支給分から国民年金・厚生年金はいくら増額される?
公的年金の支給額は、毎年度、賃金や物価の変動に応じて改定されます。2026年度においては、国民年金(基礎年金)が前年度比で1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の増額となりました。
この新しい改定率は、2026年6月に支給される4月・5月分から反映されます。年金受給者には、6月の支給に合わせて日本年金機構から改定後の年金額が記載された通知書が送付されます。
1.1 【2026年度】国民年金(満額)と厚生年金(モデル夫婦世帯)の年金額は?
2026年度における国民年金・厚生年金の支給額例
- 国民年金(老齢基礎年金・満額・1人分)(※1):月額7万608円
- 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)(※2):月額23万7279円
※1:昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額)は月額7万408円(前年度比+1300円)です。
※2:厚生年金のモデルケースは、平均的な収入(平均標準報酬45万5000円)を得ていた夫が40年間就業し、その配偶者が国民年金を満額受給する場合の世帯の給付水準(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金)です。
1.2 6月に届く「年金額改定通知書」「年金振込通知書」で確認すべきこと
年金をすでに受給している方には、毎年6月に日本年金機構から「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」が送付されます。
「年金額改定通知書」には、当該年度(4月分以降)の改定後の年金額が記載されています。
「年金振込通知書」では、年金から特別徴収される税金や社会保険料の内訳、そして実際に口座に支給される手取り額を確認できます。
1.3 「年金振込通知書」でわかる年金からの天引き(特別徴収)の内訳
老齢年金から天引きされる税金・社会保険料の項目
- 介護保険料
- 公的医療保険料(国民健康保険または後期高齢者医療制度)
- 個人住民税・森林環境税
- 所得税・復興特別所得税
年金受給額が一定以上の場合、現役時代と同様に介護保険料、医療保険料、住民税、所得税などが特別徴収(天引き)されます(※)。
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で示される金額は、税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなる点に注意が必要です。
※年間の受給額が18万円未満である場合など、条件によっては年金からの天引きが行われないケースもあります。
1.4 要注意!年金天引きにおける「仮徴収(4・6・8月)」と「本徴収(10・12・2月)」の罠
年金からは、所得税、住民税、介護保険料、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)などが天引き(特別徴収)されます。住民税や介護保険料などの額は「6月」にその年度の決定額が確定します。
そのため、前年度の情報を基にする仮徴収期間(4・6・8月)と、確定した年間保険料から仮徴収分を差し引いて調整する本徴収期間(10・12・2月)の間で、時期によって天引き額や振込額が変わるケースがあります。
2. 【年代別一覧】60歳代(60~69歳)の国民年金・厚生年金、平均受給月額はいくら?
ここからは、現在のシニア世代が実際に受給している老齢年金の平均額をみていきます。
厚生年金と国民年金について、1歳刻みの平均年金月額を一覧表で確認します。
本記事で示す厚生年金の月額には、基礎年金である国民年金部分が含まれています。
2.1 厚生年金の平均月額:60歳代(1歳刻み)
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
2.2 国民年金の平均月額:60歳代(1歳刻み)
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
データを見ると、65歳から69歳の平均年金月額は、厚生年金が14万円台から15万円台、国民年金が6万円台であることがわかります。
64歳までの平均額が65歳以降より低いのは、繰上げ受給(※1)を選択した人や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分のみを受給している人が含まれるためです。
※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳から64歳の間に前倒しで受給する制度です。繰上げた月数に応じて年金額が1カ月あたり0.4%減額され、その減額率は生涯適用されます。
※2 特別支給の老齢厚生年金:厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳へ引き上げられたことに伴う経過措置です。生年月日などの一定条件を満たす場合に、65歳になる前から受給できます。
3. 【年代別一覧】70歳代(70~79歳)の国民年金・厚生年金、平均受給月額をみる
次に、70歳代における各年齢の平均年金月額を確認します。
3.1 厚生年金の平均月額:70歳代(1歳刻み)
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
3.2 国民年金の平均月額:70歳代(1歳刻み)
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
70歳代の平均月額は、厚生年金が14万円台から15万円台、国民年金は5万円台から6万円台で推移しています。
4. 【年代別一覧】80歳代(80~89歳)の国民年金・厚生年金、平均受給月額を確認
続いて、80歳代の各年齢の平均年金月額をみていきましょう。
4.1 厚生年金の平均月額:80歳代(1歳刻み)
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
4.2 国民年金の平均月額:80歳代(1歳刻み)
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
80歳代の平均受給額をみると、厚生年金は15万円台から16万円台、国民年金は5万7000円台から5万9000円台となっています。
ここで紹介したデータは、あくまで各年齢の平均値です。実際の受給額は、現役時代の加入状況や保険料の納付実績に応じて個人差があります。
5. 住民税の課税状況は60歳代からどう変わる?年代別の非課税世帯割合
厚生労働省が公表した『令和6年国民生活基礎調査』を基に、年代別の住民税課税世帯の割合を確認します。

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出所:厚生労働省「令和6年国民生活基礎調査」(第131表)をもとにLIMO編集部作成
- 30〜39歳:87.5%
- 40~49歳:88.2%
- 50~59歳:87.3%
- 60~69歳:79.8%
- 70~79歳:61.3%
- 80歳以上:52.4%
- 65歳以上(再掲):61.1%
- 75歳以上(再掲):54.4%
※全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
※総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
※住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯が含まれます。
住民税が課される世帯の割合は、年齢層によって大きく異なることがわかります。
30歳代から50歳代では約9割が課税世帯であるのに対し、60歳代では79.8%、65歳以上では61.1%、75歳以上では54.4%と、年齢が上がるにつれて課税世帯の割合は低下する傾向にあります。
5.1 非課税世帯になることで得られる「医療・介護」の絶大な恩恵
住民税非課税世帯になると、以下のような経済的支援を受けることができます。
- 高額療養費制度の自己負担上限額が下がる: 月々の医療費の上限が大幅に引き下げられます。
- 介護保険料の減免: 毎月天引きされる介護保険料が軽減されます。
- 高額介護サービス費の負担軽減: 介護サービスを利用した際の月額上限も低く抑えられます。
- 臨時給付金の支給対象になる: 政府が経済対策として実施する「10万円給付」などの対象になりやすいです。
このように住民税非課税世帯には各種の社会保険料や医療・介護費の軽減措置が用意されています。
ただし、適用要件や軽減割合は世帯構成や所得水準、制度改正によって細かく異なるため、自身の収入や受給する年金額とのバランスを見据えながら、公的制度の内容を正確に把握しておくことが大切です。
6. 【2026年8月最新】年金受給者に届く「公金受取口座登録の意向確認書」の罠と対応
年金の振込額や非課税の壁を確認した後に待ち受けているのが、行政から送られてくる「書類の罠」です。特に2026年夏以降は、口座登録に関する新しい郵便物に注意が必要です。
6.1 8月から順次発送される「意向確認書」の目的と「みなし同意」の仕組み
政府は給付金などを迅速に支給するため、マイナンバーに紐づく「公金受取口座」の登録を推進しています。その一環として、まだ登録を済ませていない年金受給者を対象に、2026年8月頃から順次「現在の年金受取口座を公金受取口座として登録してよいか」を確認する書類が発送されます。
特徴は、受給者が「登録しないでください」という回答期限内に手続きを行わなかった場合、自動的に同意したものとみなされ、口座が登録される特例制度になっている点です。
6.2 無視してOK?年金口座を紐づけたくない場合の具体的な手続き
もし、「給付金は受け取りたいが、マイナンバーとメインの年金口座を紐づけるのには抵抗がある」「別の口座を登録したい」と考えている場合、書類を無視してはいけません。
年金振込口座の登録を拒否する場合は、同封されている書類の案内に従い、期限内(到着から45日以内)に「不同意申出書」を返送する必要があります。
また、年金振込口座とは別の口座を登録したい場合は、自動登録をさせずにマイナポータル等で自身による口座登録の手続きを行う必要があります。対応しないまま期限を過ぎると、年金振込口座が公金受取口座として自動的に登録される仕組みとなっています。
6.3 【防犯喚起】「口座登録を手伝います」便乗する還付金・キャッシュカード詐欺
このような全国規模の行政手続きが始まると、必ず発生するのが便乗詐欺です。「口座登録が済んでいないため、年金が止まります」「代わりに手続きをするのでキャッシュカードを預かります」といった不審な電話や訪問が想定されます。
意向確認書に関する手続きで、ATMの操作を求められたり、暗証番号を聞かれたりすることは絶対にありません。少しでも怪しいと感じたら、すぐに警察や自治体の窓口へ相談してください。
6.4 監修者コメント:行政の「みなし同意」
2026年8月から、日本年金機構を通じて年金受給者へ「公金受取口座登録の意向確認書」の送付が本格化します。ここで絶対に知っておくべきは、この書類が「返送・拒否手続きをしない限り、現在年金を受け取っている口座を『公金受取口座』として自動登録する」という、いわゆる『みなし同意』の仕組み(特例制度)を取っている点です。
「よくわからないから放置しよう」と捨ててしまうと、マイナンバーと口座が紐づけられます。また、この時期を狙って「年金機構の者ですが、口座登録を手伝います。暗証番号を教えてください」と電話をかけてくる特殊詐欺が必ず急増します。行政が電話で暗証番号を聞くことはありません。
7. 9月に届く「扶養親族等申告書」に注意
年金受給者にとって、秋口は来年の手取り額を左右する重要な時期です。特に「扶養親族等申告書」は、手取り額に直結する重要な書類です。
「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は、翌年の年金から天引きされる所得税の計算で各種控除を適用するために使用されます。対象となる方には、日本年金機構などから送付されます。
扶養している配偶者や親族がいる場合は、正しく記載して提出することで控除が適用され、源泉徴収税額が抑えられます。
提出期限に遅れた場合や出し忘れた場合でも、その後の支払いで再計算や確定申告による精算が行われますが、忘れずに提出することが望ましいです。
7.1 提出忘れで所得税額が増えることも
公的年金の「扶養親族等申告書」の提出を忘れると、配偶者控除や扶養控除などの各種人的控除が適用されず、源泉徴収される所得税額が増えることがあります。これにより、翌年2月の年金支給額で手取りが減る場合があります。
もし申告し忘れて税金が多く引かれてしまった場合は、後から確定申告(還付申告)を行うことで、払い過ぎた税金を取り戻すことができます。慣れない手続きは負担になるため、書類が届いたら早めに確認して返送する習慣をつけましょう。
8. 年金口座の「凍結リスク」と家族が直面する未支給年金の落とし穴
年金受給の手続きや税金管理を本人だけが抱え込んでいると、いざという時に家族が大きな不利益を被ります。
最後に、口座凍結と亡くなった後の年金手続きのリアルを見ていきましょう。
8.1 認知症や本人の死亡で年金受け取り口座が凍結されたらどうなる?
口座名義人が亡くなったことを金融機関が把握すると、遺産分割トラブルを防ぐために口座は直ちに凍結されます。これは、年金が振り込まれる口座であっても例外ではありません。凍結されると、入出金だけでなく、水道光熱費などの自動引き落としもすべてストップします。
また、亡くなる前であっても、認知症等で本人の意思確認ができないと金融機関が判断した場合、不正利用や財産保護の観点から口座は事実上の凍結状態となり、家族であっても生活費や介護費用を引き出せなくなるリスクが生じます。
ただし、認知症による口座凍結の場合、死亡時とは異なり年金の振込や公共料金の自動引き落とし自体は継続されるのが一般的ですが、現金や窓口での引き出し、口座の変更などができなくなるため、事前の対策に備えておく必要があります。
8.2 亡くなった月の年金を取り戻す「未支給年金」の請求手続き
年金は亡くなった月分まで支給される権利があります。年金は偶数月(2・4・6・8・10・12月)の15日に、その前月および前々月の2ヵ月分が支払われる後払い制です。そのため、亡くなった時期やこれまでの受給状況によって、亡くなった月分などの未支給年金が発生します。
この残された年金を「未支給年金」と呼びます。故人の口座が凍結される前に振り込まれてしまう場合や、未払いとなる分がある場合、生計を同じくしていた3親等内の親族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹など)は、優先順位に従って自身の名義で未支給年金を請求できます。
手続きには、年金事務所または街角の年金相談センターへ「受給権者死亡届(報告書)」の提出、および「未支給年金・未支払給付金請求書」の提出(または郵送)を自ら行う必要があります。
8.3 未支給年金は非課税ではない?遺族の所得が跳ね上がるリスク
遺族が受け取った未支給年金は「故人の遺産(相続税の対象)」ではなく、「受け取った遺族自身の一時所得(所得税の対象)」として扱われます。
一時所得には50万円の特別控除があるため、未支給年金だけでただちに税金が発生するケースは稀です。しかし、同じ年に生命保険の満期保険金など他の一時所得があった場合は合算されて課税ラインを超えたり、遺族自身の所得が増えることで「非課税世帯のボーダーライン」を突破してしまうリスクがあります。死後の手続きには、こうした税務上の落とし穴が潜んでいることを家族間で共有しておくことが大切です。
9. よくある質問(FAQ)
9.1 Q1. 遺族年金をもらっていますが、これは住民税の計算(非課税の判定)に含まれますか?
A. 含まれません。遺族年金や障害年金は、法律により非課税所得と定められています。そのため、遺族年金をいくら多く受け取っていても、住民税の計算や「住民税非課税世帯」の判定における所得には一切カウントされません。ご自身の老齢年金などの課税所得のみで判定されます。
9.2 Q2. 住民税非課税世帯向けの「給付金(10万円など)」は毎年もらえますか?
A. 毎年必ずもらえるわけではありません。非課税世帯向けの臨時給付金は、物価高騰対策など政府の経済対策としてその都度決定される「一時的な措置」です。ただし、制度化されている「年金生活者支援給付金」などの恒久的な支援は、要件を満たせば継続して受け取ることができます。
9.3 Q3. 60代で自己破産した場合、将来もらう年金は差し押さえられますか?
A. 公的年金(国民年金・厚生年金)を受け取る権利は、法律(国民年金法・厚生年金保険法)によって差し押さえが禁止されています。したがって、自己破産をしたとしても、公的年金が差し押さえられて受給できなくなることはありません。ただし、すでに銀行口座に振り込まれた後の「現金」については、差し押さえの対象となる可能性があります。
10. まとめ|年金の現実を直視し、公的制度を使い倒すための防衛策
60代から80代までの年代別・1歳刻みの平均年金受給額や、手取りを大きく左右する天引きの仕組み、そしてシニアを待ち受ける行政書類の罠について解説してきました。
「平均値」を知ることは目安として重要ですが、それ以上に大切なのは「自分自身の口座に実際に振り込まれる手取り額」を正確に把握することです。最後に、豊かなセカンドライフを守るための重要なアクションを整理しましょう。
- 10月からの本徴収に備える: 前半(4~8月)の仮徴収から10月以降の本徴収へと切り替わる際、確定した住民税や介護保険料の年税額に合わせて毎月の天引き額が大きく変わることがあるため、直近の通知書で差引支払額を確認し、家計のベースとして設定する。
- 非課税世帯のボーダーラインを意識する: :わずかな年金額の増加や繰下げ受給によって住民税非課税世帯の枠から外れると、医療費や介護費の自己負担割合や上限額、保険料に影響が出る場合があるため、世帯全体の収支バランスを慎重に計算する。
- 届いた行政書類は絶対に無視しない: 郵送される「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書」は45日以内に不同意の返送をしないと登録同意とみなされ、「扶養親族等申告書」は未提出だと人的控除が適用されず所得税が多額に源泉徴収されるため、内容を確認し必ず期限内に対応する。
今回ご紹介した60歳から89歳までの平均年金月額データからも分かる通り、公的年金だけでゆとりある生活を送るのは決して容易ではありません。
また、年齢とともに住民税非課税世帯の割合が増えるという実態は、医療費や介護保険料の自己負担軽減といったメリットがある一方で、それだけ個人の所得が減少しているという現実の裏返しでもあります。
まずは日本年金機構から届く「年金振込通知書」を開封し、額面だけでなく天引き後の振込口座の金額を今一度確認してみてください。
10.1 監修者総括
現在の年金制度や行政手続きは、多くの給付や控除において申請が必要となるケースが多く、制度への理解度が受給や負担に影響を与える側面があります。かつての世代と比較して、少子高齢化やマクロ経済スライドによる給付水準の調整が続く中、将来の受給額が抑制される傾向にあるのは事実です。
また、遺族厚生年金に関しても、特定の世代や要件を対象とした見直し(5年間の有期給付化など)の施行が予定されています。
こうした中、変化する社会保障制度や物価変動に対応するためには、自ら最新の制度情報を把握し、必要な手続きを期限内に行うことが重要です。制度の仕組みを正しく理解し、適切に活用していくことが、これからの時代を生き抜くための堅実な備えとなります。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 厚生労働省「令和6年国民生活基礎調査」(第131表)
- LIMO「国民年金・厚生年金「2026年6月15日から増えます」60歳から89歳まで平均年金月額【年金一覧表】をみる!」
長井 祐人







