世界的なインフレや為替の変動を受けて、いま改めて注目を集めているのが「金(ゴールド)」投資です。

「現金だけでは価値が目減りする」「オルカンやS&P500に投資しているが、金も混ぜるべき?」と悩む人が増えています。

結論からお伝えすると、資産形成が目的であれば「NISAを活用した投資信託(またはETF)」で、ポートフォリオ全体の「5%〜10%」を金に割り当てるのが最適解です。

まずは、なぜ現物ではなくNISAなのか、そして株式に金を加える意味と黄金比率について解説します。

1. 金(ゴールド)という資産が持つ3つの圧倒的な強み

なぜ、世界中の投資家や中央銀行が金を保有するのでしょうか。それには明確な3つの理由があります。

1.1 「価値がゼロにならない」実物資産としての信頼

株式や債券は発行体(企業や国)が破綻すると価値がゼロになるリスクがあります。一方、金はそれ自体に価値がある「実物資産」であるため、無価値になることがありません。

1.2 インフレ(物価高)に対する強い防衛力

お金の価値が下がってモノの価格が上がるインフレ局面では、実物資産である金の価格も上昇しやすい特徴があります。現金資産の目減りを防ぐ防波堤になります。

1.3 株式と「逆の値動き」をするリスクヘッジ効果

金は「有事の金」と呼ばれるように、世界情勢が不安定になったり株式市場が暴落したりする局面で買われやすい傾向があります。株式中心のポートフォリオに金を混ぜることで、資産全体の値動きをマイルドにする「クッション」の役割を果たします。

2. 「現物」と「NISA(投資信託)」選ぶべきはどっち?

金を保有する手段には、金貨などの「現物」と「NISA(投資信託・ETF)」があります。

  • 現物(金貨・延べ棒): 手元に置く安心感や所有感はあるものの、購入時の手数料(スプレッド)が高く、売却益に課税されます。保管費用や盗難のリスクも伴います。
  • NISA(投資信託・ETF): 実物は手元にありませんが、運用益が完全非課税です。100円単位から少額で積立でき、保有コストも年間0.1%〜0.2%程度と格安です。

「手元の所有感」ではなく「効率的な資産形成」が目的であれば、コスト・税金・安全性のすべてにおいてNISA一択となります。

3. 直近のXAUUSD(金価格)と現在の立ち位置

XAU/USD(チャート:5年)1/1

XAU/USD(チャート:5年)

Trading View

上のチャートは国際的な金価格(米ドル建て)の推移です。

近年、世界的な金利動向や地政学リスクを背景に強力な上昇トレンドが続いており、国内では「円安」の効果も加わって、円建て金価格は過去最高値圏での推移が続いています。

ここで重要なのは、金は値上がり益を狙うための資産ではなく、資産全体の守りを固める「保険」だということです。高値圏であっても一喜一憂せず、定額でコツコツ積み立てる姿勢が基本となります。

4. オルカン・S&P500に金を加える意味と「黄金比率」の結論

現在、NISAでオルカン(全世界株式)やS&P500を中心に運用している場合、そこに金を加える最大のメリットは「株安局面でのクッション効果(下落の緩和)」です。

金は株式と異なる値動きをしやすいため、株価暴落時に資産全体が大きく減るのを防いでくれます。

4.1 ポートフォリオの黄金比率は「5%〜10%」

金は利息や配当を生まない無収益資産です。入れすぎると将来の資産の伸びが鈍化するため、「資産全体の5%〜10%(多くても15%まで)」にとどめるのが運用のセオリーです。

例:毎月5万円をNISAで積立する場合

株式(オルカンやS&P500):4万5000円(90%)

金(金投資信託):5000円(10%)

「名脇役」として少量だけ添えることで、長期的にもっともバランスの良いポートフォリオが完成します。

次のページでは、実際のFP相談事例をもとに、年代別の具体策やファンド選びで失敗しないための注意点(為替ヘッジなど)を詳しく解説します。