5. 【FP相談】オルカン・S&P500に金を加えるべき? 黄金比率と実践ポートフォリオ

また、現在は「オルカン(全世界株式)」や「S&P500」を中心に積立を行っているが、そこに金を加える意味はあるのか? もし組み入れるとしたら、どのような比率で選べばいいのか具体的な見当がつかない。
以前、友人が少額の金の現物積立をしていたことがあるという会社員女性は、あらためて金投資を検討したいと考えていました。
ただし、現物として金を保有すべきなのか、それともNISAで投資信託として資産に組み入れるべきなのか、判断がつかずにいました。
現金だけを貯め続けていてもインフレで価値が目減りするという不安から、資産を分散させたいという気持ちはあったものの、金という資産をどう位置づければよいのかが分かりません。
金の延べ棒のような現物として手元に置きたいのか、それとも将来のための資産の一部として組み入れたいのかによっても、選ぶべき手段は変わるはずですが、その違い自体が整理できていませんでした。
5.1 FPからのアドバイス①:現物か資産か。「目的の切り分け」と「税金・コストの現実」
まずは、「金を保有する目的」を明確に切り分けることから始めましょう。
もし「金貨を所有する満足感がほしい」「万が一、世界経済や金融システムが完全に崩壊した際に手元にある安心感がほしい」という精神的な欲求を満たすためであれば、現物購入も選択肢になります。ただし現物の場合は、購入時の高い手数料(買値と売値の幅)や、自宅での盗難リスク、金庫のレンタル費用といった「見えないコスト」が発生します。
一方、目的が「将来に向けた資産形成や、インフレに負けないポートフォリオ作り」であるならば、NISA(成長投資枠・つみたて投資枠)を活用した金投資信託・ETFが適していると考えます。
資産形成において最大の敵は「コスト」と「税金」です。
現物で得た利益には譲渡所得として課税されますが、NISA口座であれば運用益が丸々手元に残ります。現物特有の保管リスクも完全にゼロにできるため、資産運用の観点からはNISA一択と言えます。
5.2 FPからのアドバイス②:株式(オルカン・S&P500)に金を組み合わせる「黄金比率」
オルカンやS&P500といった優秀な株式ファンドに金を組み合わせる価値は、「資産全体の下落リスク(ドローダウン)を抑え、精神的な安定を得ること」にあります。
株式は長期的には高いリターンが期待できますが、暴落時には30%〜50%近く値下がりすることがあります。その際、株式と異なる値動きをする金をポートフォリオに含めておくことで、資産全体の値下がり幅をマイルドに抑えることができるのです。
5.3 金を組み入れる際の「具体的な配分比率」の目安
金を組み入れる際のポイントは、「金を主役にせず、名脇役として使うこと」です。
金自体は利息や配当を生まない無収益資産であるため、多く入れすぎると資産全体の長期的な成長スピードが落ちてしまいます。
国際的なアセットアロケーション(資産配分)のセオリーとして、金の推奨比率は資産全体の「5%〜10%(多くても15%まで)」が良いでしょう。

【年代・リスク許容度別 ポートフォリオ組み入れ例】
◆積極運用タイプ(20代〜30代中心)
- 株式(オルカンまたはS&P500):90%
- 金(NISAでの金投資信託):10%
※若年層は株式の成長力を優先しつつ、10%だけ金を差すことで下落時の衝撃を和らげる構成です。
◆安定重視タイプ(40代後半〜50代・リスクを抑えたい方)
- 株式(オルカンなど):70%
- 債券(国債ファンド等):15%〜20%
- 金(NISAでの金投資信託):10%〜15%
※守りを固めたい世代は、債券と金をクッションとして機能させます。
5.4 NISAでのファンド選びの注意点:「為替ヘッジ」の有無
NISAで金投資信託を選ぶ際は、「為替ヘッジなし」の銘柄を選ぶのが一般的です。
金価格(米ドル建て)は円安になると円建てでの価値が上がります。「為替ヘッジなし」を選ぶことで、金価格自体の値動きだけでなく「円安リスクに対する保険」としての機能も同時に果たすことができます。
6. まとめ:少額からの積立で「資産の守り」を固めよう
金投資を始めるにあたって、まとまった資金を一気に投入する必要はありません。
例えば、毎月5万円をNISAで積み立てているのであれば、そのうち4万5000円をオルカンやS&P500に、残り5000円(全体の10%)を金投資信託に割り当てるだけで十分な分散効果が得られます。
まずはNISA口座の中で少額の積立設定からスタートし、数年に一度、配分が大きく崩れていないか確認(リバランス)しながら、無理のない範囲で継続していきましょう。
参考資料
渡邉 珠紀