厚生年金は現役時代の報酬と加入期間で決まるため、受け取る額に個人差が出ます。平均額を見ても、自分がどのあたりに位置するのかは分かりにくいのではないでしょうか。

厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の月額が10万円未満の人は19.0%、20万円以上の人は18.8%でした。高いほうより、10万円に届かない層のほうがわずかに多くなっています。

この記事では受給額の分布を確認したうえで、2027年9月から始まる標準報酬月額の上限引き上げが年金にどう影響するのかを見ていきます。

ココがポイント
  • 厚生年金の月額10万円未満は19.0%、20万円以上は18.8%。10万円に届かない層のほうがわずかに多い
  • 標準報酬月額の上限は65万円から、2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円へ段階的に引き上げられる
  • 賃金が月75万円以上の人は保険料の本人負担が月9100円増え、10年続くと年金は月約5100円増える試算

なお、厚生年金の受給額や老後の家計・資産管理に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
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1. 厚生年金は10万円未満と20万円以上のどちらが多いか

まず受給額の分布を確認します。ここで紹介するのは、会社員など民間の事業所で雇用されていた人が受け取る厚生年金保険(第1号)の年金月額で、国民年金の月額部分を含んだ金額です。

1.1 10万円未満19.0%、20万円以上18.8%

厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の受給額が月10万円未満の人は19.0%、月20万円以上の人は18.8%でした。およそ5.3人に1人と5.4人に1人という水準です。

わずかな差ではありますが、生活費の目安になる20万円以上の層よりも、10万円に届かない層のほうが多くなっています。国民年金のみを受け取る人まで含めて全体を見れば、この差はさらに開くことになります。

1.2 平均は15万289円、男女で5万8554円の差がある

厚生年金の平均年金月額は、全体で15万289円でした。男女別に見ると男性が16万9967円、女性が11万1413円で、差は5万8554円です。

平均が15万円台であっても、8割以上の人は月20万円未満にとどまります。平均という1つの数字だけでは、実際の受け取り方の幅は見えてきません。

厚生年金の平均月額と受給額の分布については、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認しておきましょう。

厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(国民年金の金額を含む)。1万円ごとの受給額分布をみると、10万円以上11万円未満が111万2828人と最も多く、次いで11万円以上12万円未満が107万1485人、15万円以上16万円未満が96万5035人と続きます。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じます。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

厚生年金の受給額の分布。月10万円未満が19.0%、月20万円以上が18.8%で、10万円に届かない層のほうがわずかに多くなっています。1/2

厚生年金の月額10万円未満と20万円以上の割合を比較した図

出所:LIMO編集部作成

2. 2027年9月から標準報酬月額の上限が段階的に上がる

受給額の差は、現役時代の報酬の差から生まれます。その報酬をどこまで年金の計算に反映するかを決めているのが標準報酬月額の上限で、この上限が引き上げられることになりました。

2.1 65万円から75万円へ3段階で引き上げ

厚生労働省は、標準報酬月額の上限について「2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円と、段階的に引き上げ」と示しています。現在の上限は65万円です。

これまでは、賃金が上限の65万円を超えても保険料は変わらず、そのぶん収入に応じた年金を受け取れない状態が生じていました。上限を引き上げることで、高い報酬がより年金額に反映されるようになります。

2.2 保険料は月9100円増え、年金は月約5100円増える試算

同省は影響について、賃金などが月75万円以上の人の場合、保険料の本人負担分が「月9100円(社会保険料控除を考慮すると月約6100円)上昇」するとしています。

そのうえで「その状態が10年続くと、月約5100円(年金課税を考慮すると月約4300円)増額した年金を一生涯受け取れ」ると示しています。いずれも一定の前提を置いた試算です。

対象になるのは賃金が月75万円以上の人なので、大多数の加入者には直接の負担増はありません。一方で、厚生年金全体の給付水準が上がることにつながります。

標準報酬月額の上限引き上げのスケジュールと、賃金が月75万円以上の人への影響の試算。2/2

標準報酬月額の上限引き上げスケジュールと保険料・年金額への影響を示した図

出所:LIMO編集部作成

中本 智恵

銀行で資産のご相談を受けていたころ、平均額だけを見て安心されている方によくお会いしました。ご自身がどの層に入るかは、ねんきん定期便を開けば分かります。まずはそこからだと思います。