年金生活が始まると、年金額そのものだけでなく、国から届く書類や各種手続きにも目を配る必要があります。
2026年8月からは、対象となる年金受給者へ「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書」が順次送付されていることをご存知でしょうか。
登録を希望する場合は基本的に手続き不要ですが、希望しない場合には期限内の対応が必要になるため、届いた書類の内容を確認しておくことが大切です。
本記事では、公的年金の基本を確認したうえで、公金受取口座の意向確認書の対象者や手続き方法、注意点などについて解説します。
なお、意向確認書の対象者・専用フリーダイヤル・発送期間、年金生活者支援給付金の基準額、厚生年金の平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 2026年8月から2027年2月にかけて、65歳以上(1961年4月16日以前生まれ)の年金受給者に「意向確認書」が順次届く
- 受け取ってから45日以内に不同意申出書を返送しないと、公金受取口座として登録される
- 厚生年金の平均月額は全体15万289円、男性16万9967円・女性11万1413円で、性別による差がある
1. まず知っておきたい「公的年金」の仕組みと平均受給額
1階部分にあたる国民年金は、原則として20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度で、会社員や公務員などは、これに加えて2階部分となる厚生年金にも加入します。
2026年度(令和8年度)の年金額は、物価や賃金の動きを反映して引き上げられました。
国民年金は前年度から1.9%増え、満額は1961年4月1日以前生まれで月額7万408円、1961年4月2日以後生まれで月額7万608円となっており、厚生年金は前年度比2.0%の増額改定となりました。
年金額のプラス改定は4年連続ですが、物価の上昇には追いついておらず、実質的な購買力は低下している状況です。
厚生年金の平均受給額は、次のとおりです。
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
なお、現役時代の働き方や性別などによって、実際に受け取る年金額には差があります。
2. 2026年8月から届く「公金受取口座登録の意向確認書」
公金受取口座登録法の改正を受け、対象となる年金受給者には「年金振込口座を公金受取口座として登録することに同意するか」を確認する書類が送られます。
意向確認書は簡易書留で送付されます。
年金振込口座の情報をデジタル庁へ提供し、公金受取口座として登録することで、今後の給付金などを迅速かつ確実に受け取りやすくなります。
2.1 意向確認書が送られる人・送られない人
意向確認書の送付対象について、日本年金機構は次のように説明しています。
2026年4月15日時点で65歳以上(1961年4月16日以前生まれ)の年金を受給している方
ただし、次のいずれかに該当する場合は送付対象外となります。
- すでに公金受取口座を登録している方
- 令和8年4月に年金が支払われなかった方(全額支給停止、振込不能など)
- 国外に居住している方
- 共済組合等から支給される年金のみを受給している方
- 令和7年6月以降の年金請求手続きにおいて、公金受取口座への登録意思表示をした方
なお、意向確認書を受け取った後の手続きは、公金受取口座への登録を希望するかどうかによって異なります。
2.2 登録を希望する場合
公金受取口座への登録を希望する場合は、特別な手続きは必要ありません。
意向確認書を受け取った後、そのまま何もしなければ、年金振込口座の金融機関名や口座番号などの情報とマイナンバーがデジタル庁へ提供され、公金受取口座として登録されます。
登録後には、デジタル庁から結果通知が送付されます。
2.3 登録を希望しない場合
公金受取口座への登録を希望しない場合は、意向確認書の下部にある「公金受取口座登録不同意申出書」を切り離して提出します。
同封されている目隠しシールを貼り、裏面の差出人欄を記入したうえで、記載されている返送期限の目安までに返送します。
3. 意向確認書で確認しておきたい3つのポイント
受け取ってから45日以内に返送しないと登録される
意向確認書を受け取ってから45日以内に不同意申出書を返送しなかった場合、登録に同意したものとして扱われます。
そのため、公金受取口座としての登録を希望しない人は、期限内の対応が必要です。
3.1 【シミュレーション】8月中旬に受け取ったら、返送期限はいつになる?
「45日以内」という期限が具体的にいつを指すのか、日付で試算してみましょう。仮に8月15日に意向確認書を受け取ったとした場合の目安です。
- 受け取り日:8月15日
- 45日後の期限:9月29日ごろ
受け取りが1カ月ずれれば、期限もそのまま1カ月ずれます。意向確認書は2026年8月から2027年2月にかけて対象者ごとに順次届くため、「まわりの人が届いたと言っていたから」と自分の期限を推測せず、封筒に記載されている実際の返送期限を必ず確認してください。
書類そのものを受け取れなければ登録されない
不在などによって意向確認書を受け取れなかった場合は、意向を確認できなかったものとして扱われます。
そのため、書類を受け取っていない状態で自動的に公金受取口座へ登録されることはありません。
不同意申出書をなくした場合は専用窓口に相談する
不同意申出書は再発行できません。
ただし、任意の様式で提出できる場合があるため、紛失したときは「意向確認書照会専用フリーダイヤル」へ相談する必要があります。
4. 年金受給者は要確認!公金受取口座は登録後でも変更・抹消できる?
意向確認書を受け取ってから45日以内に不同意申出書を返送せず、公金受取口座として登録された場合でも、その口座をずっと使い続けなければならないわけではありません。
デジタル庁によると、登録済みの公金受取口座は、マイナポータルからいつでも内容を確認でき、別の口座への変更や登録の抹消が可能です。
また、対応している金融機関でも変更・抹消の手続きを行えます。
ここで注意したいのが、「公金受取口座」と「年金の受取口座」は別に管理されている点です。
日本年金機構によると、公金受取口座を別の口座へ変更しても、年金の振込先が自動的に新しい口座へ変更されるわけではありません。
変更後の公金受取口座で年金を受け取りたい場合は、別途「年金受取機関変更届」の提出が必要です。
登録後に口座を見直す場合は、「公金受取口座」と「年金振込口座」を混同しないよう注意しましょう。
5. 意向確認書は2027年2月まで順次発送予定
意向確認書の発送期間について、日本年金機構は次のように案内しています。
2026年8月から2027年2月(予定)
問い合わせ窓口として、2026年8月4日から「意向確認書照会専用フリーダイヤル」も開設されています。
意向確認書照会専用フリーダイヤル:0120-74-0011、マイナンバー総合フリーダイヤル:0120-95-0178
※意向確認書照会専用フリーダイヤルが利用できない場合は050-3524-7372へ。
この手続きについて、市区町村の窓口や年金事務所では対応していません。確認したいことがある場合は、専用フリーダイヤルへ問い合わせる必要があります。






