8. 40代に多い「足りないらしい」という情報だけが先に入ってくるケース。ファイナンシャルアドバイザー・菅原美優が伝えたいこと

日頃のご相談では、「公的な制度でどこまでまかなえて、どこからは自分で用意しなければならないのか」という質問をよくいただきます。この線引きが曖昧なままだと、備えが過剰にも過小にもなりかねません。

8.1 40代に多いお悩み相談は「何をどこまで自分で準備すればいいのか」

年金や各種の給付には、受給の要件や金額の目安があります。ところが自分の場合にいくら受け取れるのかを知らないまま、「足りないらしい」という情報だけが先に入ってくる。その結果、不安ばかりが大きくなってしまいます。次のような声を耳にします。

40代(ご相談者)
家計に余裕がなくて貯蓄ができていません。このままではまずいという気持ちだけはあるのですが、何をどこまで自分で準備すればいいのかが分からず、焦りだけが残っている状態です。

線引きの作業は、まず公的な部分を確認するところから始まります。制度で受け取れる見込みが分かれば、自分で用意すべき金額もおのずと決まります。

8.2 【ファイナンシャルアドバイザー・菅原美優が回答】制度と自助努力の線引きを整理する3つの視点

菅原 美優
「何をどこまで自分で準備すればいいのか」という不安を解消するには、将来受け取れる年金額の把握と、老後に向けてどの程度準備しておけば良いかを確認することです。年金見込み額は、ねんきん定期便やねんきんネットで簡単に確認することができます。年金生活者支援給付金のように利用できる制度もあわせて把握するようにしましょう。老後必要となる生活費から年金を差し引いた金額が自助努力で準備が必要な不足分です。無理のない範囲で計画的に、資産運用を活用するなどして、資産計画を立てていきましょう。早めに対策をしておくことが、将来への安心につながります。

線引きは、順を追って確認すれば自分でも整理できます。ご相談のなかでは、次の三つの順序でお話しすることが多くあります。

8.3 ポイント1:公的年金の見込額を確認する

一つ目は、「公的年金の見込額を確認する」ことです。ねんきん定期便やねんきんネットで受け取れる見込みを確認する。一般論としての「老後にいくら必要」ではなく、自分の数字を出すことが出発点になります。

8.4 ポイント2:制度で補われる部分を把握する

二つ目は、「制度で補われる部分を把握する」ことです。年金生活者支援給付金のように、一定の要件を満たす方を対象とした給付や、医療・介護の自己負担を抑える仕組みがあります。ただし多くは申請が必要で、要件も定められています。何が使えるのかを事前に知っておくことが重要です。

8.5 ポイント3:差額を自分で埋める形を決める

三つ目は、「差額を自分で埋める形を決める」ことです。制度でまかなえる部分を差し引いた残りが、自助努力の範囲になります。そのうえで、無理のない金額を毎月の固定費のように積み立てていく。金額を先に決めてしまうことで、家計への負担も見通せるようになります。

なお、年金の見込額や年金生活者支援給付金をはじめとする各種給付の要件・金額は、加入状況や所得、世帯の状況によって異なり、制度改正もあります。ご自身が対象になるかどうかや実際の金額は、年金事務所やお住まいの自治体に必ずご確認ください。投資信託や変額保険には元本割れの可能性があります。

9. まとめにかえて

年金生活者支援給付金は、老齢・障害・遺族の3種類があり、それぞれ所得等の要件を満たす方が対象です。2026年度は基準額が+3.2%増額されましたが、請求しなければ受け取ることはできません。ご自身が対象になるかどうかを確認し、該当する場合は忘れずに請求手続きを行いましょう。あわせて、ご自身の年金見込み額や、公的制度で足りない部分をどう補うかについても、早めに考えておくことをお勧めします。

参考資料

菅原 美優