2026年8月から2027年2月にかけて、日本年金機構から公金受取口座の登録を促す「意向確認書」の簡易書留が届き始めています。年金を受け取るすべての方に関わる話であるにもかかわらず、そもそも自分がいくら年金を受け取れるのか、仕組みを正確に把握していない方も少なくありません。
本記事では公的年金の基本的な仕組みと、2026年度の年金額改定の内容、さらに実際に年金を受け取っている方の年代別・男女別の平均受給額を一覧で確認していきます。なお、意向確認書の届く人・届かない人の条件については【年金】8月から送付開始「意向確認書」の簡易書留《届く人・届かない人》の条件とは?公金受取口座の登録手続きと注意点を解説で詳しく解説しています。
なお、公的年金の仕組みや年代別の受給額データに関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 公的年金は「2階建て構造」で、国民年金と厚生年金は加入対象者・保険料・受給額の決まり方がまったく違う
- 2026年度は4年連続の増額で、厚生年金23万7279円(夫婦2人分)・国民年金7万608円(満額1人分)に
- 実際の受給者データでは、厚生年金は男女で6万円近い差があり、国民年金は5万円台に受給者が集中している
1. 公的年金は何がどう違う?「2階建て」の仕組みをおさらい
公的年金は、よく「2階建て構造」と表現されます。1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」の上に、2階部分にあたる「厚生年金」が積み上がる形になっているためです。
1.1 《1階部分》国民年金
- 加入対象者:原則として日本に住む20歳以上から60歳未満の全員
- 年金保険料:全員一律、ただし年度ごとに改定あり(2026年度月額:1万7920円)
- 受給額:保険料を40年間欠かさず納付すれば満額(2026年度月額:7万608円)
1.2 《2階部分》厚生年金 ※国民年金に上乗せで加入
- 加入対象者:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たした人
- 年金保険料:収入に応じて(上限あり)変わる(※2)
- 受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員が原則加入し、一律の保険料を納める制度です。一方の厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入し、収入に応じた保険料を納める仕組みになっています。この「保険料の決まり方の違い」が、後述する受給額の個人差にも直結してきます。
2. 【2026年度】年金額はいくらに?4年連続の増額を確認
厚生労働省によると、2026年度の年金額の例は次のとおり決定されました。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分※1)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2)
※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。生まれた年度によって受給額が異なる点には注意が必要です。
※2男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。厚生年金の23万7279円はあくまで夫婦の合計額であり、「40年間会社員として働いた夫の厚生年金+国民年金」と「40年間第3号被保険者(もしくは自営業など)だった妻の国民年金」を想定したモデルケースにすぎません。共働き世帯や単身世帯、自営業の方などライフスタイルは人によって大きく異なるため、実際の受給額はこれまでの加入状況によって一人ひとり大きく違ってくる点に留意しておきましょう。
ちなみに2025年度(令和7年度)は23万2784円だったため、今回で4年度連続のプラス改定となります。国民年金の満額も、2025年度の6万9308円から増額されました。
3. 【シミュレーション】65歳の厚生年金を70歳・75歳まで繰り下げたらいくらになる?
あくまで一定の前提を置いた目安の試算ですが、後述する65歳の厚生年金の平均月額14万9862円を基準額とし、繰下げ受給による増額率(1カ月あたり+0.7%)で計算してみます。
- 70歳まで繰下げ(60カ月×0.7%=42%増額):14万9862円×1.42=約21万2883円
- 75歳まで繰下げ(120カ月×0.7%=84%増額):14万9862円×1.84=約27万5746円
繰下げ受給は受給開始を遅らせるほど月々の年金額は増えますが、その分、実際に受け取り始めるまでの期間は年金収入がなくなります。健康状態や貯蓄状況、他の収入源とのバランスを踏まえたうえで、あくまで一例として検討する目安にとどめてください。
4. 60歳代~90歳以上、厚生年金は年代ごとにどれくらい違う?
今のシニア層が実際に受け取れている年金額はいくらくらいなのでしょうか。厚生労働省年金局が発表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢ごとの平均年金月額を確認していきます。はじめに厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額です。
4.1 【60歳代(60〜69歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含みます。
4.2 【70歳代(70〜79歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
4.3 【80歳代(80〜89歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
4.4 【90歳以上】厚生年金の年金月額一覧表
- 90歳以上:16万4027円
標準的な年金受給開始年齢は65歳です。65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額は、おおむね14万円台から16万円台に収まっています。
5. 60歳代~90歳以上、国民年金は年代ごとにどれくらい違う?
続いて、国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。
5.1 【60歳代(60〜69歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方です。
5.2 【70歳代(70〜79歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
5.3 【80歳代(80〜89歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
5.4 【90歳以上】国民年金の年金月額一覧表
- 90歳以上:5万5633円
65歳以降の国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、5万円台後半から6万円台に収まっています。
6. 男女で年金額はどれほど違う?1歳刻みのデータで見る受給額分布
60歳~90歳以上のすべての受給権者における「平均年金月額」と「受給額分布」についても見ていきます。
6.1 「厚生年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
受給額分布(1万円刻み)
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金全体の平均年金月額は15万289円でした。男女の平均を比較すると、男性16万9967円、女性11万1413円で、6万円近い開きが見られます。
6.2 「国民年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
受給額分布(1万円刻み)
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
国民年金の平均年金月額は全体で5万円台です。男性は6万円台、女性は5万円台と4000円ほどの男女差が見られます。「6万円以上~7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。
7. 【監修者コメント・安達さやか】年金の平均額は分布の一点、年代と男女で中身が違う
この記事では、公的年金の2階建ての仕組みと2026年度の年金額改定、そして年代別・男女別の平均受給額をご紹介しました。厚生年金の平均年金月額は全体で15万289円ですが、男性16万9967円、女性11万1413円と差があります。平均額は分布のなかの一点ですので、ご自身の見込み額と並べて見ておくとよいでしょう。
なお、年代別のデータを見ると、65歳以降の厚生年金の平均月額は14万円台から16万円台に収まっています。一方で60歳から64歳には、報酬比例部分のみを受け取っている方が含まれるため、同じ「平均」でも中身が異なります。年金のデータを比べるときは、どの範囲の人が含まれているかを確かめておくとよいでしょう。
2026年度の公的年金は4年連続の増額となりましたが、医療や介護の保険料も見直される時期にあたりますので、額面の増加分と手取りの増加分は分けて見ておくことが大切です。そのうえで、資金を使う時期と許容できる値動きの幅はどれくらいなのかなど、ライフスタイルや家計に合わせて考えておきましょう。
8. 【シミュレーション】夫婦世帯で年金を合算すると、月額・年額はどれくらいになる?
あくまで一例として、前項で見た厚生年金の男性平均16万9967円(夫)と、国民年金の女性平均5万7582円(妻、専業主婦などのケースを想定)を組み合わせた世帯を仮定し、合算額を試算してみます。
- 世帯の年金月額:16万9967円+5万7582円=約22万7549円
- 年額換算:22万7549円×12カ月=約273万588円
- 65歳から90歳までの25年間の受給総額目安:約6826万4700円
実際には、社会保険料や税金の天引き、配偶者の年金加入歴によって受給額は大きく変わります。あくまで平均データを組み合わせた一例であり、正確な見込み額はねんきんネットなどでご自身のケースを確認してください。



