老後資金づくりの手段として、「定期預金・NISA・iDeCo」のどれを選べばよいのか迷う方は多いのではないでしょうか。
iDeCoは掛金・運用・受取のすべての段階で税制優遇があり、2026年12月には拠出限度額の拡大も予定されています。一方で、原則60歳まで引き出せないことや、退職金との受け取り方によって税負担が変わることなど、NISAにはない複雑さもあります。
この記事では、企業年金のない会社員が毎月2万円を30年間積み立てた場合を例に、「定期預金・NISA・iDeCo」を比較しながら、それぞれの特徴を整理します。
- 毎月2万円を30年間積み立てた場合、定期預金は元本720万円が約765万円にとどまるのに対し、NISA・iDeCoは想定利回り5%で約1665万円まで増える試算になる
- iDeCoは掛金が全額所得控除になるため、NISAにはない「拠出時の節税」というメリットが上乗せされる
- その一方でiDeCoは原則60歳まで引き出せず、退職金の受け取り方によっては受取時の税負担が変わるなど、事前に理解しておきたい制約もある
1. 定期預金・NISA・iDeCo、税制優遇の違いをおさらい
まずは、3つの制度で税金の扱いがどう違うのかを確認します。
定期預金・NISA・iDeCoの税制優遇の違い1/3
出所:国税庁・厚生労働省・金融庁の公表情報をもとにLIMO編集部作成
定期預金は、拠出時・受取時に優遇はなく、利息に対して20.315%の税金がかかります。
NISAは拠出時の優遇こそないものの、運用益・受取時ともに非課税です。
これに対しiDeCoは、掛金が全額所得控除の対象になるため、拠出した年の所得税・住民税が軽減されます。運用中の利益も非課税ですが、受取時には退職所得控除や公的年金等控除の対象となり、他の退職金・年金の状況によっては課税される場合があります。また、NISA・定期預金はいつでも引き出せるのに対し、iDeCoは原則として60歳まで引き出せません。
2. 【シミュレーション】毎月2万円×30年間積み立てるといくらになる?
ここで、企業年金のない会社員が毎月2万円を30年間積み立てた場合について、定期預金・NISA・iDeCoでどれくらいの差が出るのかを試算してみます。
毎月2万円×30年間積み立てた場合のイメージ(会社員・企業年金なし)2/3
出所:LIMO編集部試算
30年間の積立額の合計(元本)は720万円です。
これを年利0.5%の定期預金に預けた場合、税引き後で約765万円にとどまります。
一方、年利5%で運用できたと仮定した場合、NISAでは非課税のまま約1665万円まで増える試算です。
iDeCoも運用中の税制上の扱いはNISAと同じであるため、運用資産そのものは同じく約1665万円になりますが、これに加えて、掛金が所得控除になることによる節税効果があります。仮に税率20%の方が年間24万円の掛金を拠出し続けた場合、30年間の節税額は単純合計で144万円にのぼり、運用資産と合わせると約1809万円相当の効果になる計算です。
もちろん、これは年利5%という一定の運用成果を前提にした試算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。また、iDeCoは受取時に税金がかかる場合がある点も踏まえておく必要があります。それでも、「拠出時にも税制優遇がある」という点は、NISAにはないiDeCoならではのメリットだといえます。