5. 貯蓄1000万円を月3万円ずつ取り崩すと資産寿命は27.8年
ここからは、年金と支出の差額が月3万円ある人を想定し、貯蓄1000万円がどこまで持つのかを確かめます。
取り崩すペースが決まれば、資産が尽きる時期はおおよそ見通せます。
5.1 【試算】貯蓄1000万円を月3万円ずつ取り崩した場合の資産寿命
- 貯蓄額:1000万円
- 毎月の取り崩し額:3万円
- 年間の取り崩し額:36万円
- 資産寿命:27.8年
- 65歳から始めた場合:92歳頃まで
65歳から取り崩し始めると、92歳頃まで持つ計算になります。平常時の生活費を補う用途であれば、期間の面では見通しが立てやすい水準です。
ただしこの試算には、介護や医療、住宅の修繕といったまとまった支出が含まれていません。想定外の出費が重なれば、資産寿命は一気に縮みます。
※1000万円÷(3万円×12)で求めた単純計算です。運用益や物価上昇、介護費用や住宅修繕といった突発的な支出は考慮していません。
取り崩し額を月1万円減らせば、資産寿命は13.9年延びます。取り崩す額が小さい局面では、1万円の差が効く幅も大きくなるわけですね。
5.2 運用しながら取り崩すと年率2%で40.6年に延びる
残った資産を年率2%で運用しながら取り崩す場合、資産寿命は27.8年から40.6年へと、12.8年延びる計算です。65歳から取り崩しを始めると、計算上は105歳頃まで資産が残ることになります。
ただし、これは毎年一定の利回りで運用できると仮定したシミュレーションです。実際の運用では資産価格が上下するため、元本が保証されているわけではありません。また、数十年にわたる老後生活では、物価上昇によって必要な生活費が増える可能性もあります。
そのため、使う時期が近いお金まで投資に回すのではなく、当面の生活費は現金で確保し、余裕資金を運用に回すことが大切です。例えば、生活費の半年分から1年分を現金で確保したうえで、相場が大きく下落した年には取り崩し額を抑えるなど、状況に応じて柔軟に対応する方法も考えられます。
6. 年金収入の比率と受給額の幅から老後の家計を見積もる
65歳以上の無職世帯では、夫婦のみの世帯で毎月約4万2000円、単身世帯で2万9980円が不足しています。いずれも足りない分は貯蓄から補うことになります。
そして年金を受け取る世帯の41.3%は、収入のすべてが公的年金・恩給です。収入を増やす選択肢が限られるため、支出側の調整余地を確かめておくことが欠かせません。
平均月額は厚生年金が15万289円、国民年金が5万9310円ですが、受給額は月1万円未満から30万円以上まで分布しています。まずはねんきん定期便で自分の位置を確かめ、毎月の支出と並べてみることが出発点になります。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
中本 智恵
