根強い人気を持つ高配当株式のなかで、JT(日本たばこ産業)は代表的な存在です。配当益を狙った投資では、候補に上がりやすい企業といえるでしょう。

IFAとして個別株を提案するなかで、JTは意外と避けられやすい銘柄です。「たばこ」が持つネガティブなイメージが強く、先行きに期待できないと考える人が多い印象です。

しかしながら、JTは中国を除きたばこ販売で世界3位、時価総額は国内トップクラスで、業績も安定的です。実力を知らずに選択肢から外すのはもったいないかもしれません。

今回はJTに焦点を当て、同社の業績や株価について解説します。また、見落とされやすいリスクについても押さえましょう。

ココがポイント
  • JTの直近の業績推移と配当金が上方修正された背景
  • 1年で約4割上昇した、株価好調の要因
  • JTへの投資で気をつけたい「たばこ規制」や「のれん」のリスク

※決算情報・業績等は執筆時点での情報にもとづいています。

1. JT(2914)高配当は続けられる?源泉となる利益の推移をチェック!

配当金の源泉は企業が稼ぎ出す利益です。配当金が安定的に支払える状況にあるか、業績から探ってみましょう。

1.1 懸案のカナダ訴訟が解決、業績は拡大フェーズに

JTの業績(2016年12月期~2026年12月期)1/3

JTの業績(2016年12月期~2026年12月期)

出所:日本たばこ産業株式会社「決算短信」より著者作成

  • 1998年から続くカナダ訴訟は和解、関連費用を引当金として2024年に計上し終局
  • 一時的要因を除く利益は堅調、2025年まで5年連続の増益

JTの業績は順調に拡大しています。解決したカナダ訴訟に関する費用を計上した2024年12月期は大きめの減益となりますが、それら一時的要因を除いた調整後営業利益(※)は堅調で、2025年12月期まで5期連続で増加しました。

※調整後営業利益…営業利益から買収で生じた無形資産にかかる償却費および調整項目(のれんの減損損失、リストラクチャリング収益および費用など)を控除したもの

1.2 好調継続、上期の営業益29.0%増 通期で1兆80億円へ上方修正でも保守的

  • 2026年上期は増収増益、売上+17.7%、営業益+29.0%
  • 通期見通しを上方修正、売上+6.6%→+12.0%、営業益+6.2%→+16.3%へ引き上げ
  • 営業益の進捗率63.4%、下期は数量据え置きでまだ保守的

進行期である2026年12月期も順調です。第2四半期累計で売上は継続事業ベースで前期比17.7%増、営業利益は29.0%増となりました。たばこ総販売数量は当初、前期比で1.0%減~同水準と見積もっていたものの、上期の実績は1.0%増と堅調でした。円安効果に加え、値上げ効果も発現し、収益を押し上げています。

好調な着地を受け、JTは通期の業績予想も上方修正しています。期首計画比で売上は1880億円上振れの3兆8850億円、営業利益は870億円上振れの1兆80億円に達する見通しとなりました。

なお、営業利益の上期進捗率は修正前で70.0%、修正後でも63.4%に達しています。為替見通しは引き上げられたものの、たばこ総販売数量は期首計画から据え置かれており、上方修正はやや保守的な印象です。