退職金がいくらになるのかは、老後の生活設計を考えるうえで気になるところだと思います。とくに公務員は「老後も安泰」というイメージで語られやすく、実際のところどうなのか知りたい方も多いのではないでしょうか。
人事院は2026年8月7日、国家公務員の給与について令和8年人事院勧告を行いました。月例給を平均で1万5056円、率にして3.51%引き上げ、期末手当・勤勉手当を年間4.65月分から4.70月分へ改定するという内容です。給与が動けば、それを基礎に計算される退職手当にも関わってきます。
この記事では、内閣官房内閣人事局が公表している令和6年度の「退職手当の支給状況」をもとに、退職理由別・金額帯別・勤続年数別の3つの角度から国家公務員の退職金を確認していきます。あわせて、段階的に進んでいる定年の引上げが退職金にどう影響するのかも見ていきましょう。
- 令和6年度の常勤職員の平均支給額は1094万3000円だが、定年退職に限ると2160万1000円
- 定年退職者の金額帯で最も多いのは2000万円台の層
- 2026年度に定年を迎えるのは62歳。定年は令和13年度に65歳まで引き上げられる
1. 国家公務員の退職金、平均支給額はいくらか
まずは退職理由ごとの平均支給額から確認していきます。内閣官房内閣人事局の「退職手当の支給状況」は年度ごとに公表されており、この記事で扱うのは令和6年度のデータです。
1.1 退職理由で見る常勤職員の平均支給額
令和6年度に退職手当を受け取った常勤職員は3万1193人で、平均支給額は1094万3000円でした。退職理由別に分けると、次のようになります。
- 定年:2160万1000円
- 応募認定:2470万3000円
- 自己都合:345万4000円
- その他:263万円
- 合計:1094万3000円
全体の平均が1000万円ほどにとどまっているのは、自己都合退職やその他の理由による退職が数として多いためです。定年まで勤めた方に限れば、平均は2000万円を超えています。
1.2 行政職俸給表(一)適用者の場合
いわゆる一般的な事務職にあたる行政職俸給表(一)の適用者に絞ると、受給者は8458人、平均支給額は1389万6000円でした。
- 定年:2148万8000円
- 応募認定:2277万円
- 自己都合:331万5000円
- その他:210万円
- 合計:1389万6000円
常勤職員全体と比べると、定年退職の平均額はほぼ同じ水準です。退職金の額は職種よりも、どのような理由で退職したかによって大きく変わることが分かります。
2. 最も多い金額帯はどこか、分布から確認する
平均額は一部の高い事例に引き上げられることがあります。そこで、金額帯ごとに何人が受け取っているのかを見ておきましょう。
2.1 定年退職者のボリュームゾーンは2000万円台
同じ資料から、常勤職員のうち定年退職した1万1073人について、支給額別の人数を確認します。
- 1500万円以上2000万円未満:2166人
- 2000万円以上2500万円未満:6953人
- 2500万円以上3000万円未満:1228人
- 1000万円以上1500万円未満:292人
- 1000万円未満:233人
最も人数が多いのは2000万円以上2500万円未満の層で、定年退職者のおよそ6割がここに入ります。1500万円以上3000万円未満まで広げると、全体の9割を超えます。
平均額の2160万1000円は、分布の中心とも大きくずれていません。定年まで勤め上げた場合の目安として、受け止めやすい数字といえます。
3. 勤続年数によって平均額はどれくらい変わるのか
次に、勤続年数という視点から見ていきます。ここで取り上げるのは、いずれも定年退職した方の平均支給額です。
3.1 勤続年数別に見た常勤職員の平均額
常勤職員のうち定年退職した方について、勤続年数ごとの平均支給額は次のとおりです。
- 5年未満:169万1000円
- 5年以上10年未満:394万円
- 10年以上15年未満:729万円
- 15年以上20年未満:855万8000円
- 20年以上25年未満:1366万円
- 25年以上30年未満:1581万4000円
- 30年以上35年未満:2030万3000円
- 35年以上40年未満:2328万6000円
- 40年以上:2246万4000円
勤続30年を超えたあたりから2000万円台に届いています。35年以上40年未満が最も高く、40年以上ではわずかに下がる形です。
3.2 勤続年数別に見た行政職俸給表(一)適用者の平均額
行政職俸給表(一)の適用者についても、同じように見てみます。
- 5年未満:86万8000円
- 5年以上10年未満:376万3000円
- 10年以上15年未満:768万8000円
- 15年以上20年未満:1023万7000円
- 20年以上25年未満:1510万円
- 25年以上30年未満:1658万8000円
- 30年以上35年未満:2061万円
- 35年以上40年未満:2216万6000円
- 40年以上:2158万4000円
こちらも勤続30年を境に2000万円台へ届くようです。勤続年数が短い段階でも一定の額が支給される点は、退職金制度そのものを見直す企業が出てきている民間と比べたときの違いといえます。
退職金の額は、勤続年数と退職理由でこれほど変わります。まずは自分がどの区分に当てはまるのかを知ることが、老後の設計の出発点になります。金額の見込みが立たないうちに判断を急ぐ必要はありませんので、勤務先の担当部署で確認してみてください。


