5. 「静かな退職」のデメリット(企業、従業員)
静かな退職は、企業だけでなく従業員にとってもデメリットがあります。企業側の主なデメリットは次の通りです。
- 組織内の連携が取れなくなり組織全体の生産性が低下したり、職場の雰囲気が悪くなる
- 仕事を頑張る人、優秀な人の負担が重くなり不満が高まる
- 顧客サービスの品質が低下する
- 組織の後継者が育たなくなる
- 生産性の低下などにより管理職の負担が大きくなる など
従業員にとっても次のデメリットが考えられます。
- 自己の成長やスキルアップ、キャリアアップの機会を失う
- 昇格や昇給ができずに経済的に豊かになれない
- 職場内の人間関係が悪化する
- ストレスを感じたり自己評価が低下したりする
- キャリア・スキル不足によって転職が不利になる
- 状況によっては解雇されるリスクもある など
6. まとめにかえて
静かな退職とは、「退職はしないが、与えられた仕事または最低限の仕事しかしない働き方」のことです。株式会社スコラ・コンサルトの調査では、調査対象者の約16%が該当していると考えられます。
静かな退職を選択する人が増えたのは、会社への不満だけでなく、ワークライフバランス重視の多様な働き方を求める人が増えたことなど、仕事に対する価値観の変化も一因と言えるでしょう。
静かな退職のデメリットも十分理解したうえで、働き方や将来のことを考えてみましょう。
参考資料
- 株式会社スコラ・コンサルト「全国の一般社員・管理職2,106名へのアンケート調査 「静かな退職者」は全体の16.3%、性別・年代問わず均等に存在」
- 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
- 国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査結果について」
西岡 秀泰