2. 「出生後休業支援給付金」が創設された背景
「共働き・共育て(ともそだて)」を推進に加えて、育児休業を取得することの経済的な不安を軽減するためにはじまったのが「出生後休業支援給付金」ですが、創設の背景について詳しくみていきましょう。
2.1 男性の育休取得率は低水準のまま
厚生労働省の「「令和5年度雇用均等基本調査」結果を公表します」では、有期契約労働者の育児休業取得率について発表されました。
男性の育児休業取得率は、平成24年度のわずか0.24%から令和5年度には26.9%と、飛躍的な伸びを見せていることがわかります。
特に、令和2年度以降は10%を超える年が増え、直近の令和5年度は前年度の8.57%から大きく上昇しています。
これは、育児・介護休業法の改正や、男性の育児参加への意識の高まり、企業における取得促進の取り組みなどが影響していると考えられます。
しかし、依然として女性と比べると低水準が続く状況がうかがえます。
2.2 男性の育休取得率の低さは経済的な理由も影響
厚生労働省の第64回労働政策審議会雇用環境・均等分科会で議論が交わされた「仕事と育児・介護の両立支援制度等の見直しに関する参考資料集」の育児休業制度を利用しなかった理由について「男性・正社員」の理由に着目してみましょう。
「男性・正社員」について、育児休業制度を利用しなかった理由の上位5選
※複数回答
- 収入を減らしたくなかったから:39.9%
- 職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから、
または会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから:22.5% - 自分にしかできない仕事や担当している仕事があったから:22.0%
- 会社で育児休業制度が整備されていなかったから:21.9%
- 残業が多い等、業務が繁忙であったから:21.9%
「収入を減らしたくなかった」という理由が最も多いことから、依然として家計を主に支えるのは男性であるという意識が根強いことがうかがえます。
また、「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だった」や「会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかった」といった理由は、旧態依然とした企業文化や職場の慣習が背景にあると考えられます。
この結果では、男性が家庭での育児・家事に積極的に関わるという意識の変化が近年見られる一方で、社会全体や企業の制度・文化がその変化に追いついていないというギャップがあると考えられますね。
こうした状況を改善し、男性の育児休業取得をさらに促進するため、国は経済的支援を強化する新たな制度を導入しました。
それが「出生後休業支援給付金」です。
この給付金が具体的にどのようなものか、その概要を見ていきましょう。