:そのあたりの反省も踏まえて、ボランティアの皆さんが、安心して参加いただけるよう、丁寧な説明をしていきたいと思います。ただし、毎日の報道やSNSのトピックなどに対して、一つ一つ組織委としての見解を出すといったことをすることは考えていません。

その代わりというわけではないですが、組織委では、大会ボランティアの皆さんの問い合わせにお応えするメール窓口やコールセンターを設けています。疑問点や不安な点などがあれば、ぜひご利用ください(注2)

注2:都市ボランティアについては、それぞれの自治体に対応窓口あり

――2月21日には新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、大会ボランティアを対象にした研修の一部が延期されると発表がありました。新聞などでは「大会そのものが中止になるのではないか」といった論調も見かけます。

:大会ボランティアの共通研修(集合研修)は昨年10月から実施しています。まだ共通研修に参加されていない方、約2700人を対象にした研修のうち、2月22日以降に行われる研修を5月以降に延期することにしました。具体的な開催日程や会場、実施内容などについては、対象者に別途ご案内する予定です。

組織委員会では、引き続き関係機関などと密接に連携し、安全な東京2020大会開催に向けて準備を進めていきます。大会の中止は検討していません。

――私も大会ボランティアの一員として、安心して楽しく参加できるような雰囲気になればいいなと思っています。

古瀬:8万人の大会ボランティアは、国内47都道府県、海外120カ国以上から応募いただきました。8万とおりの出会いからいろんなシナジーが起こるのではないかと期待しています。ボランティアの皆さんにも、ぜひそこを楽しみにしていただきたいです。

:20万人の応募をいただきましたが、採用は8万人なので、12万人の方をマッチング成立とすることができませんでした。ボランティアの皆さんにはぜひその方々の分も楽しんで一緒に大会を成功させてほしいと思っています。また12万人の方々も「大会を成功させたい」という思いは同じはずですので、いろいろな形で東京2020大会を楽しんでいただければと思っています。

今ちょうど、8万人のお一人お一人に、大事な役割を割り振っているところです。ぜひ楽しみにお待ちいただき、3月以降の「承諾」へと進んでいただきたいと願っています。

――5回にわたり、長いインタビュー記事をお届けした。取材時間は2時間に及んだが、その間3人は、やや失礼な質問にもムッとした表情をすることもなく、丁寧に答えてくれた。新型コロナウイルスの感染拡大など、新たな不安もあるものの、私もボランティアの一員として、前向きに進めそうな気がしてきた。

<これまでの記事>
第1回『東京五輪の謎:「パソナの派遣職員とボランティア、本当のところどう違うんですか!?」
第2回『東京五輪の謎:「ボランティア不足だからパソナが派遣を募集してるって本当?」
第3回『東京五輪の謎:「大会ボランティアと都市ボランティアって活動場所が違うだけですか?」
第4回『東京五輪の謎:「ボランティアと経験の浅い派遣社員の間に混乱は起きませんか?」

下原 一晃