4. 課長級の勤続年数と所定内実労働時間数は企業規模で違う
課長級の平均年齢は企業規模でほとんど変わりませんが、勤続年数と働く時間には違いがあります。同じ統計表の数字で確かめます。
4.1 課長級の平均年齢はほぼ同じで、勤続年数は4.4年違う
大企業の課長級は平均49.4歳・勤続22.7年、小企業の課長級は平均49.8歳・勤続18.3年でした。中企業は平均49.3歳・勤続20.9年です。
平均年齢の差は0.4歳しかありません。同じくらいの年齢でも、大企業の課長級のほうが同じ企業に長く勤めていることになります。
4.2 課長級の所定内実労働時間数は小企業のほうが月8時間長い
課長級の月の所定内実労働時間数は、大企業が160時間、中企業が163時間、小企業が168時間でした。超過実労働時間数は、大企業が3時間、中企業が4時間、小企業が6時間です。
所定内給与額を所定内実労働時間数で割ると、大企業は1時間あたり約4067円、小企業は約2478円です。月額で約1.56倍の差が、時間あたりでは約1.64倍に広がります。
4.3 課長級の労働者数は大企業が66万9770人
課長級の労働者数は、企業規模計で179万6950人でした。大企業が66万9770人、中企業が65万6200人、小企業が47万970人です。
統計表の労働者数は十人単位で公表されています。ここでの人数はその値を人に直したもので、1人単位で数えた数ではありません。
5. 課長級の企業規模別・年齢階級別の数字に含まれていないもの
賃金構造基本統計調査の数字は、項目ごとに定義が決まっています。自分の給与と並べる前に、何が集計に入っていないかを押さえておきます。
5.1 所定内給与額に残業代と賞与は含まれない
所定内給与額からは、時間外勤務手当・深夜勤務手当・休日出勤手当・宿日直手当・交替手当が除かれています。企業規模計の課長級では、これらを含むきまって支給する現金給与額が月54万4100円で、所定内給与額より1万4900円多くなっています。
賞与は年間賞与その他特別給与額として別に集計されているため、月の額には入っていません。
5.2 年齢階級別の数字は同じ人の給与の推移ではない
年齢階級別の額は、令和7年6月時点でその年齢階級にいる課長級の平均です。同じ人が年齢を重ねたときの給与の動きを追った数字ではありません。
大企業の35〜39歳の額が高いことから、大企業で課長になった人の給与がその後下がると読むことはできません。統計表は、その理由までは示していません。
5.3 役職別の集計は雇用期間の定めがない人に限られる
役職別の統計表は、一般労働者のうち雇用期間の定めがない人を集計しています。常用労働者10人以上の民営事業所が対象で、短時間労働者は含まれません。
また、「部長級」「課長級」は調査上の区分です。勤務先での肩書きと、担当する範囲や権限が一致するとは限りません。
6. 転職や昇進の打診で課長級の企業規模の差を確かめる方法
企業規模による差は、月の給与よりも賞与と働く時間に大きく出ていました。条件を比べるときは、次の3点を分けて確かめてみましょう。
6.1 年間賞与の支給実績を月給と分けて聞く
課長級の年間賞与は、大企業と小企業で約2.5倍の差がありました。月給が近くても、賞与の実績で年収は大きく変わります。
転職先の条件を聞くときは、月給とは別に、直近1年間の課長級の賞与の支給実績を確認してみてはいかがでしょうか。
6.2 課長級に就く年齢と、その後の昇給の仕組みを確かめる
大企業の課長級は35〜39歳で月66万円台に達し、その後はほぼ横ばいでした。小企業の課長級は50〜54歳まで少しずつ上がっています。
昇進の話が出たときは、課長級の給与が年齢や勤続年数でどう上がる仕組みになっているかを、勤務先の賃金規程で確かめておくと判断しやすくなります。
6.3 労働時間を含めて時間あたりの額で比べる
小企業の課長級は、大企業より所定内実労働時間数が月8時間長くなっていました。月の額だけを比べると、働く時間の違いが見えなくなります。
求人票では月給に固定残業代が含まれていないかも確認し、含まれていればその分を除いたうえで、所定労働時間で割って比べてみましょう。
7. まとめ
令和7年賃金構造基本統計調査によると、課長級の所定内給与額は企業規模計で月52万9200円でした。大企業は月65万700円、中企業は月48万6300円、小企業は月41万6300円です。
年齢階級別に見ると、大企業と小企業の差は35〜39歳の月27万1900円が最も大きく、50歳代では月22万円台まで縮みます。年間賞与その他特別給与額は大企業が小企業の約2.5倍で、年収の目安の差は475万4300円になります。
勤続年数や労働時間にも企業規模による違いがあります。自分の条件と比べるときは、月給・賞与・労働時間を分けてそろえ、勤務先や転職先の制度で確かめてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況:主な用語の定義」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況:調査の概要」
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 役職」
安達 さやか