管理職の給与は、同じ役職でも勤務先によって差が出やすいものです。

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査には、部長級・課長級・係長級・非役職という役職別の集計があり、企業規模ごとの内訳も確認できます。

この記事では、部長級の所定内給与額と年収の目安が企業規模でどれだけ動くのか、そして令和8年度に改定される地域別最低賃金と時間額で比べるとどうなるのかを見ていきます。

1. 部長級の所定内給与額は企業規模でどれだけ違うか

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査には、部長級・課長級・係長級・非役職を分けて集計した「役職別」の表があります。

この表は企業規模ごとの内訳も持っているため、同じ部長級でも勤務先の規模で給与がどれだけ動くかを確かめられます。

1.1 従業員1000人以上と10〜99人で30万800円の差

産業計・男女計・学歴計で見た部長級の所定内給与額は、企業規模計(従業員10人以上)で月63万5800円でした。

企業規模別に分けると、従業員1000人以上が月80万7600円、100〜999人が月63万7900円、10〜99人が月50万6800円です。

一番大きい区分と一番小さい区分の差は月30万800円になります。企業規模計の額は、この幅の中ほどよりやや下に位置しています。

1.2 課長級・係長級・非役職と並べて見る

同じ企業規模計で、課長級は月52万9200円、係長級は月39万9200円、非役職は月31万500円でした。

役職が上がるほど額は増えますが、上がり方は企業規模によって違います。従業員1000人以上では部長級と非役職の差が月46万900円ある一方、10〜99人では月22万3400円です。

部長級で見ると、役職による差と企業規模による差はどちらも30万円前後の幅です。ただし非役職では企業規模による差が6万3300円にとどまるため、役職が上がるほど規模による差も大きくなっていきます。

令和7年賃金構造基本統計調査による役職別・企業規模別の所定内給与額(月額)1/2

令和7年賃金構造基本統計調査による部長級・課長級・係長級・非役職の所定内給与額を企業規模計・従業員1000人以上・100〜999人・10〜99人の4区分で並べた表

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとにLIMO編集部作成

2. 賞与を含めた年収の目安は企業規模でどう動くか

所定内給与額は月ごとの額なので、賞与を含めた1年分を知るにはもう1つの項目が必要になります。

同じ調査には「年間賞与その他特別給与額」が役職別・企業規模別に載っているため、仮定を置かずに年収の目安を組めます。

2.1 所定内給与額の12か月分に年間賞与その他特別給与額を足す

部長級の年間賞与その他特別給与額は、企業規模計で244万6600円でした。

所定内給与額の12か月分である762万9600円にこれを足すと、年収の目安は1007万6200円になります。

賞与を月数で仮定する置き方もありますが、この調査は実際に支払われた年間の賞与額を持っているため、そちらを使うほうが確かめやすくなります。

ただし所定内給与額は令和7年6月分の額で、年間賞与その他特別給与額は令和6年1月から12月までの1年間の額です。対象期間が違うため、両者を足した年収の目安は概算として見ておきます。

2.2 部長級の年収の目安は747万7600円から1376万6900円

同じ計算を企業規模別に当てはめると、従業員1000人以上が1376万6900円、100〜999人が994万2400円、10〜99人が747万7600円です。

年収の目安で見た差は628万9300円で、月額で見た差の30万800円より開きが大きくなります。賞与額そのものが企業規模で3倍近く違うためです。

課長級でも同じ傾向で、企業規模計が854万2300円、従業員1000人以上が1102万1100円、10〜99人が626万6800円でした。

3. 【令和8年9月3日答申】地域別最低賃金の発効日は都道府県で1か月以上ずれる

役職別の給与とは別に、賃金の下限を決める地域別最低賃金にも動きがありました。

厚生労働省は令和8年9月3日、全47都道府県で改定額の答申が出そろったことを公表しました。全国加重平均は1177円で、改定前の1121円から56円の引上げです。

3.1 10月に発効するのは37都道府県、11月が7、12月が3

答申された額は、都道府県労働局長の決定により令和8年10月1日から令和8年12月2日までの間に順次発効する予定です。

発効予定月で分けると、10月が37都道府県、11月が7都道府県、12月が3都道府県でした。同じ改定でも適用が始まる時期は1か月以上ずれます。

発効日は答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性があると注記されています。

3.2 10月1日に発効するのは15都道府県

10月に発効する37都道府県のうち、10月1日に発効するのは15都道府県です。

11月は7都道府県のうち4つが11月1日、12月は3都道府県のうち2つが12月1日の発効予定です。月の初日に一斉に切り替わるわけではありません。

3.3 引上げ額は54円から65円で、33都道府県が目安を上回った

都道府県ごとの引上げ額は54円から65円の幅に収まりました。最も多いのは56円の11都道府県で、次が57円の7都道府県です。

中央最低賃金審議会が示した目安は、ランクAが54円、ランクBとランクCが56円でした。この目安を上回る額を答申したのは33都道府県で、目安どおりは14都道府県です。

令和8年度の地域別最低賃金の発効予定月と引上げ額の分布2/2

令和8年度の地域別最低賃金について、発効予定月ごとの都道府県数(10月37・11月7・12月3)と引上げ額54円から65円ごとの都道府県数を並べた表

出所:厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」をもとにLIMO編集部作成

企業規模による差を役職ごとに見ると、非役職が6万3300円、係長級が10万700円、課長級が23万4400円、部長級が30万800円です。部長級の差は非役職の4.7倍で、役職が上がるほど勤務先の規模による差も大きくなっていきます。

年収で見ると、さらに開きます。部長級の年収の目安の差628万9300円を分けてみると、月給の差は30万800円の12か月分で360万9600円。残りの267万9700円が賞与の差ということになります。年収の差の4割強は、月給ではなく賞与から出ていることになります。

賞与額のほうを逆算すると、従業員1000人以上が407万5700円、10〜99人が139万6000円です。2.9倍の開きで、月給の1.6倍という差よりはるかに大きく出ています。

求人票に載るのはたいてい月給のほうです。月給だけを並べて比べていると、この部分は見えないままになります。

中沢 新