同じ役職についていても、勤め先の規模で給与は変わります。

人事院の職種別民間給与実態調査は、企業規模500人以上と100人以上500人未満を別々に集計しています。並べると、役職が上がるにつれて差がおおむね広がっていくことがわかります。

この記事では、令和8年の調査結果から企業規模別の役職別給与と、その差の広がり方を確認していきます。

1. 企業規模別の管理職の給与は部長で19万8348円違う

まず、管理職の段階から見ていきます。

1.1 事務部長は85万5546円と65万7198円

人事院の令和8年職種別民間給与実態調査によると、事務部長の令和8年4月分の「きまって支給する給与」の平均支給額は、企業規模500人以上が85万5546円、100人以上500人未満が65万7198円です。

差は19万8348円で、500人以上のほうが1.30倍になります。

1.2 事務課長は15万3121円の差

事務課長は500人以上が70万6395円、100人以上500人未満が55万3274円で、差は15万3121円です。1.28倍にあたります。

事務部次長は77万3064円と58万3652円で、18万9412円の差です。

役職が上がるにつれて、企業規模による差の額はおおむね広がります1/2

事務関係の職種について、係員・主任・係長・課長・部次長・部長の6役職の給与を企業規模500人以上と100人以上500人未満で並べ、それぞれの差の額を示した横棒グラフ

出所:人事院「令和8年 各種調査等の結果詳細」をもとにLIMO編集部作成

この「きまって支給する給与」には、時間外手当が含まれています。500人以上で内訳を見ると、部長は1万2273円で給与全体の1.4%、係長は7万9590円で14.5%です。

割合を役職順に並べると、係員13.7%、主任13.4%、係長14.5%、課長代理10.1%、課長3.8%、部次長2.2%、部長1.4%。課長のところで一段落ちます。額で見ても、係長の7万9590円は部長の1万2273円の6倍を超えています。

時間外を除いて比べ直すと、部長の差は19万8348円から19万1726円へ。係長は11万421円から8万660円まで縮み、3万円近く変わる計算です。

役職が上がるほど差が広がるという形そのものは残りますが、下のほうの差には残業代の多寡が混ざっていることになります。

中沢 新

2. 企業規模による給与差は係員の8万6184円から部長の19万8348円へ広がる

若い段階からの推移を見ていきます。

2.1 係員の段階では8万6184円

事務係員は500人以上が43万8213円、100人以上500人未満が35万2029円です。差は8万6184円で1.24倍になります。

事務主任は50万2955円と38万7169円で11万5786円、事務係長は54万8944円と43万8523円で11万421円です。主任から係長にかけては、差の額がわずかに縮んでいます。

2.2 部長では2倍以上の開きになる

係員の8万6184円に対して、部長では19万8348円です。差の額そのものが2倍以上に広がります。

一方で倍率は1.24倍から1.32倍の範囲で動いており、変化は額ほど大きくありません。もとの給与が大きくなるぶん、同じような倍率でも金額の開きは大きくなるということです。

差の額は広がりますが、倍率の変化はわずかです2/2

事務関係の職種について、係員・主任・係長・課長・部次長・部長の企業規模による差の額と倍率を並べた表

出所:人事院「令和8年 各種調査等の結果詳細」をもとにLIMO編集部作成

3. 企業規模による給与差を見るときに気をつけたいこと

数字を読むうえでの注意点を挙げておきます。

3.1 「きまって支給する給与」には時間外手当が含まれる

この調査の「きまって支給する給与」は、時間外手当を含んだ額です。事務部長の場合、500人以上で1万2273円、100人以上500人未満で5651円が含まれています。

時間外手当の割合は役職によって違い、事務係長では500人以上で7万9590円と、給与の14.5%を占めます。所定内の給与だけを比べたいときは、この点を差し引いて見る必要があります。

3.2 同じ役職名でも職責の範囲が違う

調査では、部長は2課以上または構成員20人以上の部の長、課長は2係以上または構成員10人以上の課の長と定義されています。

定義を満たしていても、部の規模そのものは勤め先によって変わります。役職名だけで比べると実態からずれます。

3.3 対応する国家公務員の級も違う

この調査には、民間の役職に対応する行政職俸給表(一)の級が示されています。事務部長は500人以上では9級・10級、100人以上500人未満では7級・8級です。

500人以上の事務課長も7級・8級とされているため、規模が下がると対応する級はおおむね一段分ずれることになります。同じ部長でも、対応させる級が変わります。企業規模の違いが職責の違いとして扱われていることがわかります。

4. 企業規模による給与差は役職が上がるほど広がる

事務部長の令和8年4月分の「きまって支給する給与」の平均支給額は、企業規模500人以上が85万5546円、100人以上500人未満が65万7198円で、19万8348円の差があります。

係員の段階では8万6184円でしたので、役職が上がるにつれて差の額は2倍以上に広がる形です。倍率で見ると1.24倍から1.32倍の範囲の変化になります。

役職と企業規模を分けて見ると、平均値の中身がつかみやすくなります。

5. 著者からの一言コメント

対応する級を並べてみると、規模の違いがどう扱われているかがはっきりします。

100人以上500人未満の部長は7級・8級です。これは500人以上の課長と同じ級にあたります。同じように、500人未満の課長は5級・6級で、500人以上の課長代理と並びます。

ずれが出はじめるのは課長代理のあたりからです。500人以上が5級・6級なのに対して、100人以上500人未満は4級。それより下は、係長が3級・4級と3級、係員はどちらも1級でほとんど変わりません。

級の数でいえば、部長・部次長・課長はいずれも2級分のずれです。下の役職ほど規模による扱いの差は小さく、上に行くほど開いていく形になっています。

求人票で役職名だけを見比べても、この部分は出てきません。規模をそろえて比べるというのは、そういうことなのだと思います。

中沢 新

参考資料

中沢 新