「管理職になって給料が上がったのに、手取りがそれほど増えなかった」という話を聞くことがあります。
会社員の健康保険と厚生年金保険の保険料は、実際の給与額そのものではなく標準報酬月額をもとに計算されます。日本年金機構によると、役付手当のような固定的な手当が加わって報酬が大きく変われば、定時決定を待たずに4か月目から標準報酬月額が改定されます。
この記事では、会社員の保険料の土台となる「標準報酬月額」がいつ動くのかを見ていきます。
- 保険料の土台は標準報酬月額。実際の給与額そのものではない
- 役付手当の追加など固定的賃金が変わり、3か月の平均で2等級以上動くと改定される
- 改定は変更後の報酬を初めて受けた月から4か月目から
1. 保険料の土台になる標準報酬月額
まず、何を基準に健康保険料や厚生年金保険料が決まるのかを確認します。
1.1 等級で区切られた金額を使う
健康保険と厚生年金保険では、実際に支払われた報酬をそのまま使うのではなく、等級ごとに区切った標準報酬月額をあてはめて保険料を計算します。
筆者が担当していた国民健康保険は、前年の所得をもとに世帯単位で計算する仕組みでした。同じ保険料という言葉でも、決まり方はまったく違います。
1.2 役付手当の追加も変動にあたる
日本年金機構は、固定的賃金を支給額や支給率が決まっているものと説明しています。変動にあたる例として、昇給や降給、給与体系の変更、日給や時間給の基礎単価の変更、請負給や歩合給の単価や歩合率の変更、そして住宅手当や役付手当等の固定的な手当の追加や支給額の変更を挙げています。
管理職になって役付手当がついた場合は、この最後の例にあたります。基本給が変わらなくても、対象になることがあるということです。
2. 随時改定は4か月目から
次に、いつ変わるのかを見ていきます。
2.1 3つの要件をすべて満たしたとき
随時改定は次の3つすべてに該当したときに行われます。昇給または降給等により固定的賃金に変動があったこと、変動月以後引き続く3か月の報酬の平均額から算出した標準報酬月額と従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じたこと、その3か月の報酬の支払基礎日数が17日以上であることです。
該当した場合は、定時決定を待たずに、変更後の報酬を初めて受けた月から起算して4か月目の標準報酬月額から改定されます。4月に支払われる給与に変動があった場合は7月からです。
2.2 支払基礎日数の数え方
支払基礎日数とは、給与計算の対象となる日数のことです。日給制や時給制の場合は出勤日数、月給制や週給制の場合は暦日数で計算します。
特定適用事業所に勤務する短時間労働者については、17日ではなく11日以上とされています。
3. 上限や下限の等級では「1等級差」の例外も
原則は「2等級以上の差」ですが、等級表の一番上(上限)や一番下(下限)の等級にいる方の場合は、扱いが異なります。
3.1 1等級差でも改定になる場合がある
2等級以上の差が要件ですが、標準報酬月額の上限または下限にわたる等級変更の場合は、1等級差でも随時改定の対象になります。
日本年金機構が示している例では、厚生年金保険は従前が31等級の62万円で、報酬の平均月額が66万5000円以上になったときに32等級の65万円へ改定されます。健康保険は従前が49等級の133万円で、平均月額が141万5000円以上になったときに50等級の139万円へ改定されます。
役場では国民健康保険の保険料を担当していましたが、会社員の保険料は決まり方も見直しの時期もまったく違います。給与明細の等級を見ておくと、変化に気づきやすくなります。
