4. 給与が上がっても対象にならない場合

要件を満たさないケースもあります。

4.1 残業手当が減って打ち消したとき

日本年金機構は、固定的賃金は上がったが残業手当等の非固定的賃金が減ったため、3か月の平均額から算出した標準報酬月額が従前より下がり2等級以上の差が生じた場合は、随時改定の対象にならないとしています。

逆に、固定的賃金は下がったが非固定的賃金が増えて標準報酬月額が上がった場合も対象になりません。固定的賃金が動いた向きと、実際に標準報酬月額が動いた向きがそろっている必要があります。

4.2 休職給は変動に含まれない

休職による休職給を受けた場合は、固定的賃金の変動がある場合に該当しないため、随時改定の対象にはなりません。

一方で、一時帰休のため継続して3か月を超えて通常の報酬より低額の休業手当等が支払われた場合は、固定的賃金の変動に含まれるとされています。似ているようで扱いが分かれます。

5. 毎年9月に行われる定時決定

随時改定とは別の見直しもあります。

5.1 4月から6月の報酬をもとにする

日本年金機構によると、毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に標準報酬月額の改定が行われます。これを定時決定といいます。

定時決定の算定月以後に報酬月額が標準報酬月額の2等級以上変動した場合には、月額変更届の提出が必要になります。年に1度の見直しと、その間の大きな変動への対応が組み合わさっています。

5.2 改定後はいつまで適用されるか

6月までに随時改定によって決定された標準報酬月額は、再び随時改定がない限り、当年の8月までの各月に適用されます。7月以降に改定された場合は、翌年の8月までの各月に適用されます。

いつ改定されたかによって、次の見直しまでの期間が変わります。

6. 届出をするのは事業主

手続きの流れも見ておきましょう。

6.1 月額変更届を速やかに提出する

事業主が、随時改定に該当する被保険者の報酬月額等を健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届に記入し、速やかに日本年金機構へ提出します。

提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、電子申請、郵送、窓口持参のいずれかで行います。本人が申請するものではありません。

6.2 将来の年金にも関わる

標準報酬月額が上がれば保険料の負担は増えますが、この金額は老齢厚生年金の報酬比例部分の計算にも使われます。負担が増える面と、将来の年金額に反映される面の両方があります。

手取りだけを見ると減ったように感じられますが、判断するときは両方をあわせて見ておきたいところです。

7. まとめにかえて

健康保険と厚生年金保険の保険料は標準報酬月額をもとに計算されます。役付手当の追加のような固定的賃金の変動があり、3か月の平均で2等級以上の差が生じ、支払基礎日数が17日以上であれば、4か月目から改定されます。

上限または下限にわたる等級変更のときは、1等級差でも改定の対象です。逆に、固定的賃金と標準報酬月額の動く向きが違う場合は対象になりません。

給与明細や決定通知書で自分の等級を確かめ、分からない点は勤務先か年金事務所に確認してみてください。

参考資料

太田 彩子