上からは数字を求められ、下からは不満が上がってくる。加えて自分の担当業務も持っている。中間管理職の立場を、そのように説明する人は少なくありません。

とはいえ「しんどい」という感覚は、そのままでは他人と共有しにくいものです。自分だけが弱いのではないか、と考えてしまうこともあります。

厚生労働省が実施している「労働安全衛生調査(実態調査)」では、働く人が何にストレスを感じているかが毎年集計されています。令和7(2025)年の結果から、その内訳を確認していきます。

この記事の3つのポイント
  • 仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスがある労働者の割合は67.5%
  • 内容別では「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」がともに39.5%で最多
  • 「役割・地位の変化等(昇進・昇格、配置転換等)」は40〜49歳が22.6%で全年代最高

1. 強いストレスを感じている人は67.5%

まずは全体像から見ていきます。

厚生労働省が令和8年8月7日に公表した「令和7(2025)年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は67.5%でした。前年(令和6年調査)の68.3%からほぼ横ばいです。

およそ3人に2人が、仕事に関して強いストレスを抱えていることになります。

年齢階級別に見ると、次のような並びです。

  • 20歳未満:39.7%
  • 20〜29歳:72.0%
  • 30〜39歳:69.0%
  • 40〜49歳:71.5%
  • 50〜59歳:66.0%
  • 60歳以上:54.5%

20代の72.0%に次いで高いのが40代の71.5%。就業形態別では正社員が69.1%と、パートタイム労働者の61.7%や派遣労働者の53.5%を上回っています。

最も高いのは20代ですが、中間管理職が多くなる40代と正社員も、それに近い水準にあることが読み取れます。

2. 最も多い要因は「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」

では、何がストレスになっているのでしょうか。

強いストレスを感じる事柄がある労働者について、その内容(主なもの3つ以内)を見ると、次のとおりです。

  • 仕事の量:39.5%
  • 仕事の失敗、責任の発生等:39.5%
  • 対人関係(セクハラ・パワハラを含む):32.9%
  • 仕事の質:30.7%
  • 顧客、取引先等からのクレーム:22.1%
  • 会社の将来性:20.5%
  • 役割・地位の変化等(昇進・昇格、配置転換等):17.7%
  • 雇用の安定性:7.6%
  • 事故や災害の体験:2.9%

「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」が、ともに39.5%で並んで最多となりました。前年は「仕事の量」43.2%、「仕事の失敗、責任の発生等」36.2%で差がありましたが、今回は同水準です。

とくに動いたのが「仕事の失敗、責任の発生等」で、前年の36.2%から3.3ポイント上昇しました。正社員に限ると41.2%となり、「仕事の量」の43.7%に次ぐ2番目の高さです。

責任を引き受ける立場になるほど、この項目が重くのしかかる構造がうかがえます。自分の失敗だけでなく、部下の失敗も引き受けるのが管理職です。件数が増えれば、それだけ「責任が発生する」場面も増えます。

「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」が32.9%と前年の26.1%から上昇している点も見逃せません。部下との関係、上司との関係、他部署との調整。板挟みと呼ばれる状況は、この項目に含まれると考えられます。

3. 40代で際立つ「昇進・昇格、配置転換等」

全体では17.7%にとどまる「役割・地位の変化等(昇進・昇格、配置転換等)」ですが、年齢階級別に見ると様子が変わります。

  • 20歳未満:17.9%
  • 20〜29歳:16.7%
  • 30〜39歳:14.9%
  • 40〜49歳:22.6%
  • 50〜59歳:15.3%
  • 60歳以上:17.3%

40〜49歳だけが22.6%と突出しており、全年代で最も高くなっています。30代の14.9%と比べると、8ポイント近い差があります。

昇進や配置転換が集中するのが、この年代です。役職に就くこと自体がストレス要因として意識されている、という読み方ができます。

同じ40代では「対人関係」も36.8%と高い水準にあります(30代の37.1%に次ぐ2番目)。役割が変わり、扱う人間関係も変わる。その二重の変化が重なるのが40代だといえるでしょう。

ちなみに50代になると「役割・地位の変化等」は15.3%まで下がり、代わりに「仕事の質」が40.6%と全年代で最も高くなります。役職に慣れたあとは、求められる中身の水準が課題に変わっていくのかもしれません。

4. この調査に「役職別」の数字はない

ここで、ひとつ断っておきたいことがあります。

この調査の集計区分は「年齢階級」「性」「就業形態」の3つで、役職別のクロス集計は行われていません。つまり「中間管理職の何%がストレスを感じている」という数字は、この調査からは直接得られません。

本記事で40〜49歳や正社員の数値を取り上げているのは、中間管理職が多く含まれる層としての参考値です。管理職そのものの数値ではない点はご留意ください。

それでも「役割・地位の変化等」という項目が40代で跳ね上がるという事実は、役職に就くことがストレス要因として実在することを示しています。

中沢 新
少し脇道に逸れますが、ここまでの数字で個人的にいちばん腑に落ちたのは、「仕事の失敗、責任の発生等」が39.5%で最多に並んだ点でした。管理職になって変わったと感じるのは仕事の量そのものよりも、自分の判断した結果が、手を離れたところで表れるようになったことのほうです。 同じ40代では「対人関係」も36.8%と高い水準にあります。役割が変わる時期と、扱う人間関係が変わる時期が重なるというのは、言われてみれば納得のいく話でした。 もうひとつ気になったのが、50代では「役割・地位の変化等」が15.3%まで下がる一方、「仕事の質」が40.6%と全年代で最も高くなるという流れです。役職に慣れると、課題が別のものに入れ替わっていくのかもしれません。 なお本文で触れたとおり、この調査に役職別の数字はありません。年代や就業形態からの推測にとどまる点は、読み進めるうえで頭に置いておいていただければと思います。