5. 受給の前に押さえておきたい注意点が3つある

基本手当は、手続きの順序と求職活動の実績が支給に直結します。押さえておきたい点を整理します。

5.1 失業の認定を受けなければ支給されない

基本手当は、原則4週間に1度の失業の認定を受けることで支給されます。

認定日には、その期間中に行った求職活動の実績を申告します。定められた回数の求職活動を行っていないと、その期間分は支給されません。認定日にハローワークへ行くこと自体を忘れると支給が遅れるため、日程の管理が必要です。

5.2 受給期間は原則1年で、延長できる場合がある

基本手当を受けられる期間は、原則として離職の日の翌日から1年間です。

所定給付日数が残っていても、この1年を過ぎると受け取れません。ただし、病気やケガ、妊娠・出産・育児などで30日以上働けない状態が続いた場合は、受給期間の延長を申請できます。申請には期限があるので、該当しそうな場合は早めにハローワークへ相談しましょう。

5.3 早く再就職すると再就職手当の対象になる

所定給付日数を一定以上残して再就職した場合には、再就職手当が支給されます。

給付日数を使い切ってから就職したほうが得だと考えて就職を先延ばしにすると、この手当を受けられなくなります。早期の再就職が不利にならないよう設けられた仕組みなので、就職の時期を判断する材料に入れておくとよいでしょう。

6. 退職の前に、社会保険料の切り替えを確認しておきたい

家計の相談では、退職後に国民健康保険料の額を見て驚いたという話をよく聞きます。

国民健康保険料は前年の所得をもとに計算されるため、退職直後は在職中と変わらない水準になることがあります。健康保険の任意継続被保険者になる選択肢もあり、どちらが安いかは人によって変わります。

また、倒産や解雇などで離職した特定受給資格者等は、国民健康保険料が軽減される制度の対象になる場合があります。退職の見込みが立った段階で、市区町村の窓口と加入している健康保険の両方に確認しておくと、退職後の家計が見通せます。

7. まとめにかえて

雇用保険の基本手当は、離職して求職活動を行っている間の生活を支える給付です。

1日あたりの額は離職前6か月の賃金の合計を180で割った額のおよそ50〜80%で、年齢別の上限があります。所定給付日数は90日から360日で、受給資格決定日から7日間は待期となります。自己都合退職の給付制限は、2025年4月1日以降の離職から原則1か月に短縮されました。

制度に頼りきりにするのではなく、初回の入金までの生活費と社会保険料を退職前に確保しておくことが欠かせません。そのうえで、給付の仕組みを知っておくと、退職の時期を含めた判断がしやすくなります。

参考資料

和田 直子