退職を考えるとき、次の仕事が決まるまでの生活費をどうするかが最初の関門になります。

雇用保険の基本手当は、離職前6か月の賃金をもとに計算され、給付率はおよそ50〜80%です。自己都合退職の場合の給付制限は、2025年4月1日以降の離職から原則1か月に短縮されました。

本記事では、基本手当を受けるための要件と、1日あたりいくら受け取れるのか、そして支給が始まるまでの期間について解説していきます。

1. そもそも「基本手当」とは?失業中の生活を支える雇用保険の給付

基本手当は、雇用保険の被保険者が離職し、働く意思と能力があるにもかかわらず職業に就けない状態にあるときに支給される給付です。一般に失業給付と呼ばれています。

制度の骨格は次の4点です。

  • ハローワークで求職の申込みをすることが前提になる
  • 1日あたりの額は、離職前6か月の賃金をもとに計算される
  • 受け取れる日数(所定給付日数)は90日から360日の範囲で決まる
  • 受給資格決定日から7日間は待期となり、支給されない

離職しただけで自動的に支給されるものではなく、求職活動を行っていることが継続的に確認されます。

2. いくら受け取れるか。年齢別に上限額が決まっている

基本手当日額は、離職した日の直前6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割り、そのおよそ50〜80%として計算されます。賃金が低い人ほど給付率は高くなります。

年齢別にみた基本手当日額の上限額1/2

年齢別にみた基本手当日額の上限額

出所:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」を参考にLIMO編集部作成

ただし、年齢に応じた上限額が定められています。令和8年8月1日現在で、30歳未満は7450円、30歳以上45歳未満は8270円、45歳以上60歳未満は9110円、60歳以上65歳未満は7830円です。

この上限額は毎年8月1日に改定されます。

3. 受け取れる日数は90日から360日

所定給付日数は、離職時の年齢、被保険者であった期間、離職の理由によって90日から360日の範囲で決まります。

倒産や解雇などによる特定受給資格者は、自己都合で退職した人よりも日数が長く設定されています。同じ勤続年数でも、離職の理由によって受け取れる総額が変わることになります。

4. 支給が始まるまでの期間と、2025年4月からの変更点

基本手当は、求職の申込みをしてもすぐには支給されません。次の画像では、基本手当を受けるための主な要件と待期・給付制限を解説します。

基本手当を受けるための主な要件と待期・給付制限2/2

基本手当を受けるための主な要件と待期・給付制限

出所:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」を参考にLIMO編集部作成

4.1 受給資格決定日から7日間は待期になる

離職理由にかかわらず、受給資格決定日から7日間は待期となり、基本手当は支給されません。

4.2 自己都合退職の給付制限は原則1か月になった

正当な理由がない自己都合により退職した場合は、待期のあとにさらに給付制限の期間が置かれます。

この期間は、2025年4月1日以降に離職した人については原則1か月に短縮されました。それ以前は原則2か月でした。ただし、退職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格の決定を受けている場合は3か月となります。

4.3 教育訓練を受けると給付制限が解除される

2025年4月以降、離職期間中や離職日前1年以内に教育訓練を受けた場合には、給付制限が解除され、基本手当を受給できる仕組みが設けられました。

学び直しを進めながら求職活動をする人にとっては、支給の開始が早まる可能性があります。

和田 直子

退職後の家計でつまずきやすいのは、基本手当の初回入金までの期間です。

自己都合退職の場合、待期7日と給付制限1か月を経て、さらに認定日を待つことになります。最初の振込までに2か月ほどかかると見ておくのが現実的です。加えて、退職後は国民健康保険料と国民年金保険料の負担が始まります。退職前に、この2か月分の生活費と社会保険料を確保しておくことをおすすめします。