2. 老後2000万円「わが家の必要額」を見積もる

老後資金の必要額は、毎月の不足額と、その期間で決まります。2000万円という一律の数字ではなく、わが家の収支から逆算するほうが、ずっと確かな目安になります。

2.1 毎月の不足額 × 年数で、必要額を出す

まず、退職後に想定する毎月の生活費から、夫婦の年金の手取りを引きます。その差額が「毎月の不足額」です。これに老後の年数をかければ、必要額のおおまかな目安が出ます。

注意点としては、必ず年金の見込み額から、税金や社会保険料の目安額を引き、手取りで計算をすることです。

不足がほとんどなければ、他の貯蓄の必要性も考える必要はありますが、なかには2000万円までは不要な方もいるでしょう。逆に不足が大きければ、2000万円でも足りないこともあります。数字は、わが家しだいです。

2.2 足りない分は、現役後半と就労で埋める

必要額と現在の蓄えの差が見えたら、残りの現役期間で埋める計画を立てます。毎月の積立の開始・もしくは増額に加え、可能であれば就労期間を少し延ばすだけでも、不足は減ります。

また、年金は受給の開始を繰下げると受取額が増えます。ただし、注意点があったり、年金が増える分税金や社会保険料も増える場合もあり、本当に得かも個人差はあるので慎重に検討しましょう。

蓄えだけに頼らず、年金・就労・積立を組み合わせて、わが家の必要額に近づけていきましょう。

3. 元証券会社員からのアドバイス

わが家の必要額を見積もるための、3つの行動をお伝えします。

一つ目は、退職後の毎月の生活費の不足額を出すこと。生活費から年金の手取りを引けば、必要額の出発点になります。

二つ目は、上記の不足額に老後の年数をかけること。2000万円ではなく、わが家の数字で目安を持ちましょう。

三つ目は、次に足りない分を毎月積立・就労・年金で埋めること。組み合わせれば、不足はぐっと縮みます。

宮野 茉莉子

「2000万円」という言葉に、必要以上に不安を感じる方は多くいるでしょう。でも、あれはあくまで平均的なモデルの一例にすぎません。

本当に見るべきは、わが家の毎月の不足額です。年金の手取りと生活費を並べれば、必要額は自分の数字として見えてきます。

不足がわかれば、あとは埋め方を考えるだけ。積立の増額、就労の延長、年金の繰下げと、打てる手はいくつもあります。

まずは、退職後の生活費と年金の手取りを並べて、毎月の差額を出してみてください。2000万円という数字から、わが家の数字へと切り替わります。

数字に振り回されると、必要以上に不安になったり、逆に油断したりしがちです。大切なのは、わが家の不足額という、自分の物差しを持つことです。

それさえあれば、2000万円という言葉に惑わされずにすみます。まずは退職後の毎月の不足額を出すことから、始めてみてください。

自分の物差しを持てば、これからの準備はぐっと具体的になります。数字を味方に、一歩ずつ進めていきましょう。

4. まとめにかえて

40〜60歳代・二人以上世帯で「2000万円以上」に届くのは、60歳代でも4割ほどです。多くの世帯にとって、この数字はそのまま当てはまるものではありません。

大切なのは、毎月の不足額から「わが家の必要額」を見積もること。数字を自分ごとにすれば、過度な不安も、根拠のない安心もなくなります。

ニュースなどで話題になり不安になった場合には、今回のように平均や中央値だけでなく金額帯別に割合をみたり、「わが家の場合はどうか」を実際に計算すること、そしてその対策を考えることで不安も和らぐでしょう。

参考資料

宮野 茉莉子