3. 加入期間が同じでも年金額は同じにならない
加入期間は年金額を決める要素の1つですが、それだけで決まるわけではありません。
3.1 報酬比例部分は現役時代の報酬で変わる
厚生年金の額は、加入期間と現役時代の報酬の両方で計算されます。同じ40年でも、報酬が違えば年金額は変わります。
年代別の平均で見ると、合計は15万289円ですが、男子16万9967円、女子11万1413円と5万円以上の差があります。加入期間だけでは説明のつかない差です。
3.2 年代別の平均は見込額として当てはめない
年代別に見ると、60歳から64歳が8万2267円と低く、85歳から89歳が16万5486円と高くなっています。60歳代前半には特別支給の老齢厚生年金や繰上げ受給の方が含まれます。
年代別の一覧表は自分の位置を確かめる材料として使い、金額そのものを見込額として当てはめないほうが安全です。
4. 年金から差し引かれる保険料は受け取る額とは別に決まる
自治体で保険料の計算を担当していた立場から、あわせて確認しておきたい点を挙げます。
4.1 介護保険料と医療保険の保険料が天引きされる
年金からは、介護保険料と、国民健康保険料または後期高齢者医療保険料が差し引かれます。特別徴収と呼ばれる仕組みで、年金の支給時にあらかじめ引かれた額が振り込まれます。
窓口では「振込額が思っていたより少ない」という相談を受けることがありました。振込通知書に記載された控除額を見ると、内訳が分かります。
4.2 保険料は前年の所得などで計算される
保険料の額は、前年の所得などをもとに保険者が計算します。年金の額そのものから一定の割合を引くという仕組みではありません。
受け取る年金額が違えば、同じ保険料でも手元に残る割合は変わります。振込額を見るときは、額面と控除額の両方を確かめておくとよいでしょう。
5. 自分の年金額を確かめる3つの方法
最後に、自分の位置を確かめる手立てをまとめます。
5.1 「ねんきん定期便」で加入期間と見込額を見る
受け取る年金額は、加入期間と現役時代の報酬によって決まります。毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」には、加入実績や見込額が記載されています。
「ねんきんネット」を使えば、いつでも見込額を確認できます。自分の加入期間が何年になりそうかも、ここで確かめられます。
5.2 振込通知書で控除額を確かめる
すでに受け取っている方は、年金振込通知書で額面と控除額を確かめられます。介護保険料や医療保険の保険料、所得税や住民税が差し引かれている場合があります。
年金額そのものと、実際に振り込まれる額は別の数字です。
5.3 年金事務所と市区町村の窓口を使い分ける
年金額そのものについては年金事務所や街角の年金相談センターで、天引きされる保険料については、お住まいの市区町村の担当窓口で相談できます。
受け取る額は一人ひとり違いますので、平均や加入期間の割合は目安として見ておき、自分の数字は窓口で確かめてみてください。
6. 厚生年金の加入期間は40年以上が38.7%
厚生年金保険・国民年金事業年報によると、令和6年度末現在の老齢年金受給権者1608万5696人のうち、厚生年金の加入期間が40年以上の方は38.7%でした。4割近くを占めます。
最も人数が多いのは41年から42年で92万5207人です。一方で15年未満の方も4.8%います。加入期間が25年に届かない方は、通算老齢年金の受給権者として別に集計されています。
年代別の平均は、60歳から64歳が8万2267円、85歳から89歳が16万5486円で、合計は15万289円です。次の支給日は10月15日ですので、振込額の内訳を確かめるところから始めてみてください。
参考資料
太田 彩子