3. なぜセルフカットは「重く」なるのか——見えない後ろ側と、毛流れをつくる工程
自分で髪を切っている人は決して珍しくありませんが、続けていると多くの場合、髪は少しずつ「重い」方向に寄っていきます。理由はシンプルで、自分で切れる範囲が前髪と顔まわりに限られるからです。
美容師がカットで見ているのは、実は切る場所そのものよりも「髪を引き出す角度」です。同じ長さに切るとしても、真横に引き出して切るのか、斜め上に引き出して切るのかで、内側に入る髪の量が変わり、仕上がりの厚みが変わります。鏡ひとつで自分の後頭部を見ながらこの角度を一定に保つのは、かなり難しい作業です。
その結果、手の届く前側だけが軽くなり、後頭部と襟足には厚みが残ります。横から見たときに後ろが膨らんで見えたり、首元が詰まって見えたりするのは、この偏りが原因であることが多いのです。今回のビフォーで顔まわりが髪に囲まれて見えたのも、同じ構図といえます。
そしてもうひとつ、今回のスタイルを支えているのがパーマです。動画に映っていた筒状の道具はロッドと呼ばれ、髪を巻きつけて形を作るために使います。パーマの基本的な仕組みは、薬剤で髪の内部の結合を一度ゆるめ、ロッドで巻いた形のまま別の薬剤で結合をつなぎ直す、というもの。切って作る形と違い、髪そのものに曲がる方向を覚えさせるため、乾かすだけで毛流れが出やすくなります。
はじめて施術を受ける方が気にしておきたいのは、当日のシャンプーです。形が定着するまでには時間がかかるため、一般的には施術当日は洗わないほうがよいとされています。ただし薬剤や施術内容によって案内は変わるので、必ず担当の美容師さんの指示に従ってください。
4. 「大変身」の腕を持つ美容師たち、そのお財布のリアルに迫る
厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」を元にした就業者統計データによると、全国の美容師の「平均年収は388万5000円(平均年齢30歳)」です。
ただし、美容師の収入は一律ではなく、実力や人気の高さによって大きく変動します。
一人前になると歩合給になるケースも多く、SNSを活用したセルフプロデュースでファン(指名客)を獲得し、大きく稼ぐトップスタイリストも存在します。
ここで見ておきたいのは、この388万円はあくまで"平均"であり、美容師の多くが歩合制で働いているという点です。歩合制とは収入が売上に連動する仕組みで、固定給と違って人による差が大きく出ます。そのカギを握るのが『指名客』です。指名客は、繰り返し来てくれる顧客基盤――企業でいえばブランドや常連客という"無形の資産"にあたります。近年はSNSが、この資産を全国規模に広げる装置になっており、発信力のある美容師は、技術という『労働』に加えて集客という『資産』を持つことで、平均を大きく上回っていきます。同じ資格・同じ技術でも収入差が開くのは、この資産の有無によるところが大きいのです。
美容師の年収は、技術力だけでなく、SNSでの発信力や指名客という"資産"をどれだけ築けるかによって大きく変わってくるといえそうです。
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参考資料
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