5. 50歳代に多い「積み立てている商品の中身の違いが分からない」というご相談。ファイナンシャルアドバイザー・神田 翔平が伝えたいこと
積立を何年か続けている方から、毎月いくら積み立てるかよりも「自分は何を積み立てているのか」のほうが気になってきた、という声が聞かれます。金額の見直しを考えたときに、あらためて中身に目が向くというのは、よくある流れです。
5.1 50歳代に多いお悩み相談は「積み立てている商品の中身の違いが分からない」

非課税で運用できる制度を使って、投資信託を毎月積み立てています。最近になって積立額を増やすことを考えはじめたのですが、そもそも今の商品を選んだときも、名前をよく聞くものの中から決めただけで、中身の違いはよく分かっていません。
世界中に広く投資するものと、ある国の代表的な指数に連動するものがあるとは聞きます。ただ、それが自分にとって何がどう違うのかが分からず、増やすなら今のままでよいのか、変えたほうがよいのかを決めきれずにいます。
このように、名前をよく耳にする商品どうしを並べて比べようとしたものの、どこがどう違うのかが分からないまま迷いが長引いてしまう方は少なくありません。
背景にあるのは、商品名や運用会社の知名度からは、中身の違いが読み取れないことです。同じ「株式に投資する投資信託」でも、投資先の国や地域の配分はまったく異なります。
こうした場合は、どちらを選ぶかを決める前に、いま持っている商品の中身を確認するところから始めると判断しやすくなります。
5.2 【ファイナンシャルアドバイザー・神田 翔平が回答】名前で比べるのではなく、中身の分散のしかたを見る
金融商品は仕組みが複雑で、どんな運用をしているのかが分かりにくいというお声はよく耳にします。
実際に、人気ランキングの中から複数の商品を選んだものの、運用している投資先がほとんど同じ、ということもよくあります。
資産運用の基本は分散ですが、本当に分散できているのかどうかは、もう少し中身を詳しく見ていく必要があります。
投資信託の運用の中身がどの地域、どの会社に投資しているものなのか、投資先が重複せずにしっかり分散できているのかは確かめておきましょう。あわせて、お金を使う時期に合わせて銘柄を選ぶこと。この2つが、名前ではなく中身で納得して決めるための考え方になります。
5.3 ポイント1:どの国や地域に、どのくらいの割合で振り分けられているかを確かめる
投資信託は、集めたお金をまとめて運用する仕組みです。同じように「株式に投資する」と説明されていても、その中身は商品によって違います。全世界に広く分散する指数に連動するものは、先進国から新興国まで幅広い国と地域が投資先に含まれます。ひとつの国の代表的な指数に連動するものは、その国の主要な企業が投資先になります。名前の印象だけでは、この違いは見えてきません。
よくあるのが、広く分散していると思って選んだ商品でも、指数の作られ方によって特定の国の比重が大きくなっている、という場合です。国や地域ごとの割合は、交付目論見書や運用報告書、運用会社が公表している月次のレポートで確認できます。自分が思っていた配分と、実際の配分が一致しているかどうかを一度見てみると、判断の材料が具体的になります。
5.4 ポイント2:分散の広さによって、値動きの出かたがどう変わるかを知る
投資先が広く分散しているほど、ひとつの国や地域の不調が全体に与える影響は薄まりやすくなります。その一方で、ある国が大きく伸びた局面では、その勢いも全体の中では薄まって反映されます。投資先を絞っているものは逆で、その市場の動きが全体にそのまま出やすくなります。上がるときも下がるときも振れ幅が大きくなりやすい、という性質です。
どちらも価格が変動する商品であり、投資したお金が購入時の金額を下回る、いわゆる元本割れの可能性があります。ここは分散の広さにかかわらず共通しています。つまりこれは、どちらが優れているという話ではなく、値動きの出かたの違いです。自分がどちらの出かたであれば途中で落ち着いていられるかという観点で見ると、比べる軸がはっきりします。
5.5 ポイント3:そのお金をいつごろ使うのかから逆算して考える
積み立てているお金を、いつごろ、何のために使う予定なのか。ここが決まると、中身の選び方も考えやすくなります。どの投資先がこの先いちばん増えるかを前もって見通すことはできませんので、「増えているものから使えばよい」と先に決めておくのではなく、使う時期までにどのくらいの値動きであれば受け入れられるか、という順序で考えていくことになります。
使う時期が近いお金ほど、値動きの影響を受けにくい形にしておくという考え方もあります。積立額を増やすタイミングは、こうした中身の見直しを一緒に考えるのに向いた場面です。一度選んだあとも、年に一度など区切りを決めて、投資先の配分が自分の考えと合っているかを確認していくとよいでしょう。
どちらを選ぶかを急いで決めるよりも、いま持っているものの中身を一度見てみることのほうが、納得して続けることにつながりやすいものです。
6. まとめ
新NISA利用者の年収分布を見ると、年収700万円以上は16.7%にとどまりました。最も多いのは「300万円未満」で39.3%、500万円未満までで65.8%を占めます。
利用者の平均年収は467万7000円で、国税庁が公表する給与所得者の平均給与478万円と大きく変わらない水準でした。新NISAは、高年収の人だけが使っている制度ではありません。
買える商品は大きく5つのタイプに分かれ、値動きの幅とコストで性格が違います。いずれも値上がりが保証されたものではありませんので、生活を圧迫しない金額から、時期を分けて買っていくのが基本になります。
年収がいくらかよりも、毎月いくらなら続けられるかを先に決めてください。そこが決まれば、あとは商品を絞る作業だけです。
要点を先に3つ挙げます。1つ目は積立額を最初から上げすぎないこと、2つ目は生活防衛資金を別に確保すること、3つ目は下がった局面で止めないことです。順番も含めてこのとおりに考えてください。
積立額は、上げるのは簡単ですが下げるのは心理的に難しいものです。家計に余裕があるうちに枠いっぱいまで設定すると、収入が変わったときに続かなくなります。無理のない額から始めて、続けられると確認できてから増やすほうが結果的に長続きします。
生活防衛資金は、収入が途切れても暮らしを維持できる現金です。ここが薄いまま投資に回すと、相場が下がったタイミングで取り崩すことになりがちです。値動きのない預貯金で、生活費の半年分程度を目安に確保しておいてください。

