2. 【公的介護保険】65歳以上の自己負担割合《1割・2割・3割》所得基準をみる

介護保険制度における利用者負担3/5

介護保険制度における利用者負担

出所:厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」

実際に介護サービスを利用する際、費用の全額を保険でまかなえるわけではなく、一定の自己負担が発生します。この負担割合は、本人の年齢や所得によって「1割」「2割」「3割」のいずれかに決まります。原則として40歳から64歳までの方は1割負担ですが、65歳以上の方は所得に応じて負担割合が変動します。

2.1 自己負担が3割負担となる要件

3割負担となるのは、次の1と2の両方にあてはまる方です。

  • 65歳以上の方で本人の前年の合計所得金額が220万円以上
  • 前年の年金収入とその他所得金額の合計が下記以上
    ・同一世帯の65歳以上の人数が1人:340万円以上
    ・同一世帯の65歳以上の人数が2人以上:合計463万円以上

2.2 自己負担が2割となる要件

2割負担となるのは、以下のいずれにも該当する方です。

  • 65歳以上の方で本人の前年の合計所得金額が220万円以上
  • 前年の年金収入とその他所得金額の合計が下記以上
    ・同一世帯の65歳以上の人数が1人:280万円以上340万円未満
    ・同一世帯の65歳以上の人数が2人以上:合計346万円以上463万円未満

2.3 自己負担が1割となる要件

1割負担になるのは、次のいずれかに該当する方です。

  • 65歳未満
  • 市民税非課税
  • 生活保護受給者

65歳以上の方で、本人の前年の合計所得金額が160万円未満の方や、160万円以上220万円未満であっても「年金収入+その他の所得金額」の合計が単身で280万円未満(2人以上の世帯の場合は合計346万円未満)の場合などが1割負担となります。

2.4 自己負担割合の判定チャートも参考に

介護保険制度のサービスを利用した際の自己負担割合は、以下のチャートを利用しても確認できますので参考にしてみてください。

3. 【公的介護保険】自己負担の上限を超えたときに「高額介護サービス費」として還付

介護が必要な状態が長く続くと、毎月の出費が家計を圧迫してしまうことがあります。そこで知っておきたいのが「高額介護サービス費」という負担軽減制度です。これは、1ヶ月にお支払いした介護サービスの自己負担額が一定の上限を超えた場合、超過分が後から払い戻される(還付される)仕組みです。

利用者区分ごとの負担上限額(月額)5/5

利用者区分ごとの負担上限額(月額)

出所:江戸川区 介護保険のページ「高額介護サービス費の支給申請」

自己負担の上限額は所得に応じて細かく設定されています。たとえば、一般的な所得の世帯であれば月額4万4400円が上限となります。住民税非課税世帯の場合は月額2万4600円とさらに負担が抑えられます。一方で、3割負担の対象となる「現役並み所得者」の世帯では、課税所得に応じて上限額が月額4万4400円から最大14万1000円まで引き上げられます。同じ世帯に複数の介護利用者がいる場合は、全員の負担額を合算して計算できる点も大きなメリットです。

ただし、注意点もあります。「介護保険の利用限度額を超えて全額自己負担となったサービスの料金」や「施設に入所した際の居住費・食費・日用品代」、「住宅改修費や福祉用具の購入費」などは、この高額介護サービス費の対象外となります。思わぬ手出しが発生しないよう、制度の対象となる費用とそうでない費用を事前に把握しておくことが大切です。

4. まとめにかえて

今回は、最新データから読み解く公的介護保険の現状と、自己負担割合の仕組み、そして高額介護サービス費による負担軽減の方法について解説しました。75歳を超えると約3人に1人が介護認定を受けており、誰もが介護の当事者になり得る時代です。所得に応じた負担割合の仕組みを正しく理解し、負担上限額を超えた際の払い戻し制度を賢く活用することは、老後の安心につながります。

介護にかかるお金の問題は、直面してから焦るのではなく、元気なうちから情報収集を行い、家族で話し合っておくことが何よりの対策になると考えます。

村岸理美
介護保険制度は非常に心強い公的な支えですが、施設での食費や居住費など「保険適用外の出費」が思いのほか家計に重くのしかかるケースが多々あります。負担割合の通知書が届いた際はご家族全員で内容を共有し、公的制度で足りない部分は民間の介護保険やこれまでの貯蓄でどう補うか、現役時代から少しずつ準備を始めていくことをおすすめします。

参考資料

村岸 理美