2026年4月から、働きながら年金を受け取る際の「在職老齢年金」の基準額が引き上げられました。年金を減額されずに働ける範囲が広がったということです。
働ける期間が延びると、手元の資産を使い切る前提から「どう次の世代へ渡すか」へ関心が移っていきます。その判断の土台になるのが、自分がいくら年金を受け取れるのかという見通しです。
この記事では、2026年度の年金額と通知書の見方を確認したうえで、60歳代から80歳代までの平均年金月額を1歳刻みで整理し、男女差と受給額の分布、そして2025年の年金制度改正のポイントまでを見ていきます。
なお、2026年度の年金額や公的年金の仕組み、平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 2026年度の年金額は国民年金が1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%増。国民年金は満額で月7万608円、厚生年金はモデル夫婦世帯で月23万7279円。
- 65歳以降の平均年金月額は厚生年金が14万円~16万円台、国民年金が5万円~6万円台。64歳までは繰上げ受給などの影響で水準が下がる。
- 2026年4月から在職老齢年金の基準額が月収51万円から65万円に緩和され、標準報酬月額の上限も段階的に75万円へ引き上げられる。
1. 2026年度の年金額|国民年金+1.9%・厚生年金+2.0%と通知書の見方
2026年度の年金額改定と、6月に届く通知書の見方については、LIMOの記事「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」から要点を引用して確認しておきましょう。
2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の増額改定となりました。国民年金(満額・1人分)は月額7万608円、厚生年金(モデル夫婦世帯・2人分)は月額23万7279円です。ただし「ねんきん定期便」などに記載された金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなります。
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
通知書で確認したい天引き(特別徴収)の内訳についても、あわせて引用します。
6月に届く「年金額改定通知書」「年金振込通知書」では、今年度の年金額と実際の振込額を確認できます。「年金振込通知書」には、介護保険料、公的医療保険料、個人住民税・森林環境税、所得税・復興特別所得税といった年金からの天引き(特別徴収)の内訳が記載されています。なお、天引きには前年度の情報をもとに仮の金額を徴収する「仮徴収(4・6・8月)」と、確定額から仮徴収分を差し引いて調整する「本徴収(10・12・2月)」があり、10月以降に天引き額が増えて手取りが減るケースもあります。
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
10月から天引き額が変わる可能性があるという点は、押さえておきたいところです。4月から8月までの振込額を基準に家計を組むと、秋以降にずれが生じることがあります。
2. 公的年金の2階建て構造
公的年金の基本的な仕組みについては、LIMOの記事「【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金」から要点を引用して確認しておきましょう。
日本の公的年金は、2階建て構造で、1階部分が国民年金(基礎年金)、2階部分が厚生年金(会社員・公務員)となっています。国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が対象となる基礎的な年金制度です。自営業やフリーランス、学生などが主に加入し、保険料は自分で納めます。受給額は加入期間に応じて決まりますが、満額でも月約7万円程度が目安です。厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度で、国民年金に上乗せして支給されます。保険料は給与から天引きされ、収入や加入期間によって将来の受給額が変わります。
出所:【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金
1階は加入期間だけで決まる定額、2階は収入と加入期間の両方で変わります。年金額の個人差は、ほぼ2階部分の積み上がり方の違いから生まれます。
3. 【年金一覧表】60歳代の厚生年金と国民年金
ここからはいまのシニア世代が実際どの程度の老齢年金を受け取れているかを、年代別の年金一覧表とあわせて見ていきましょう。
厚生年金と国民年金の「各年齢(1歳刻み)」の平均年金月額を、年齢層の一覧表形式で確認します。
なお、記事内で紹介する厚生年金の月額には、国民年金の月額部分が含まれています。
3.1 【厚生年金】60歳代の平均月額を1歳刻みで見る
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
3.2 【国民年金】60歳代の平均月額を1歳刻みで見る
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
65歳から69歳の平均年金月額は、厚生年金14万円台から15万円台、国民年金6万円台です。
64歳までは、繰上げ受給(※1)を選んだ人や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分のみを受給している人の年金額です。そのため、厚生年金・国民年金ともに平均年金月額は65歳以降よりも少なめです。
※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳~64歳までで前倒しして受け取ること。繰上げた月数に応じて年金が減額(0.4%/月)され、一度決まった減額率は生涯変わりません。
※2 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受け取ることができます。
4. 【年金一覧表】70歳代の厚生年金と国民年金
続いて、70歳代の各年齢の年金月額を見ていきます。
4.1 【厚生年金】70歳代の平均月額を1歳刻みで見る
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
4.2 【国民年金】70歳代の平均月額を1歳刻みで見る
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
70歳代の平均年金月額は、厚生年金で14万円台から15万円台、国民年金で5万円台から6万円台でした。
5. 【年金一覧表】80歳代の厚生年金と国民年金
次に、80歳代の各年齢の年金月額を見ていきましょう。
5.1 【厚生年金】80歳代の平均月額を1歳刻みで見る
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
5.2 【国民年金】80歳代の平均月額を1歳刻みで見る
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
80歳代の平均受給額は、厚生年金が15万円台から16万円台、国民年金が5万7000円台から9000円台です。
ただし、ご紹介したデータはあくまでも「各年齢の平均」です。実際の年金額は、現役時代の働き方や年金保険料の納付状況により、一人ひとり異なります。
6. 厚生年金・国民年金の男女差と個人差
老後の公的年金受給額は、現役時代の年金加入状況を反映し、個人差・男女差が生じます。
ここからは、60歳以上のすべての受給権者における「平均」と「個人差」を見ていきましょう。
6.1 厚生年金の男女差と受給額の分布
〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
※国民年金部分を含む
年金月額階級ごとの受給者数
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
厚生年金の平均年金月額は全体で15万円台ですが、男女間では大きな差があり、男性は16万円台、女性は11万円台と、その差は約6万円にのぼります。
この差は、現役時代の働き方、特に給与水準や厚生年金への加入期間の違いが影響していると考えられるでしょう。
さらに、受給者数の分布を見ると、月額1万円未満の人から30万円を超える人まで、非常に幅広い受給額ゾーンに分布していることがわかります。
この幅広い個人差は、一人ひとりのキャリアや収入が年金額にダイレクトに反映される、厚生年金の大きな特徴といえるでしょう。
6.2 国民年金の男女差と受給額の分布
〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
年金月額階級ごとの受給者数
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
国民年金は、男女ともに6万円台が中心となっています。
受給額の分布を見ると、月額「6万円以上7万円未満」がボリュームゾーンとなっています。多くの人が、満額(2026年度月額は7万608円)に近い金額を受け取れている様子がうかがえます。
国民年金は、収入にかかわらず保険料が定額であるため、厚生年金に比べて個人差が小さい点が特徴です。
6.3 【独自試算】男女差は厚生年金と国民年金で14.6倍違う
「厚生年金は男女差が大きく、国民年金は小さい」という傾向を、実際の金額で確かめてみましょう。この記事に出てきた男女別の平均額から差を計算します。
- 厚生年金:16万9967円 - 11万1413円 = 5万8554円(年70万2648円)
- 国民年金:6万1595円 - 5万7582円 = 4013円(年4万8156円)
- その比:厚生年金の男女差は国民年金の約14.6倍
同じ公的年金でありながら、制度によって男女差の大きさが14倍以上違うということです。年額に直すと、厚生年金は約70万円、国民年金は約4万8000円の差になります。
この違いは、金額の決まり方から説明できます。国民年金は保険料が全国一律で、受給額は納付月数だけで決まります。性別による差が入り込む余地がほとんどありません。一方の厚生年金は報酬と加入期間の掛け合わせで決まるため、育児や介護による就業の中断、勤続年数、賃金水準の違いがそのまま金額に反映されます。
つまり公的年金の男女差は、ほぼすべて2階部分で生まれているといえます。
※この記事に掲載された厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の男女別平均年金月額から差を計算した目安です。受給者数による重み付けはしておらず、税・社会保険料の控除も考慮していません。
7. 2025年の年金制度改正|働く人の暮らしに関わる見直し
公的年金は「老後の受給額」だけの話ではなく、働き方やキャリアプラン、人生設計とも深い関わりがあります。
2025年6月13日、国会で年金制度改正法が成立しました。今回の改正の見直しポイントのうち、働く人々の「仕事と暮らし」に深く関わるものを紹介しましょう。
7.1 社会保険の加入対象の拡大①短時間労働者の加入要件の見直し
- 賃金要件の撤廃:3年以内にいわゆる「年収106万円の壁」撤廃へ
- 企業規模要件の撤廃:10年かけて段階的に対象の企業を拡大(※)
※2025年7月時点では「51人以上」
7.2 社会保険の加入対象の拡大②個人事業所の適用対象の拡大
- 2029年10月から個人事業所の社会保険の適用対象(※)が、従業員5人以上の全業種に拡大(2029年10月時点における既存事業所は当面除外)
※2025年7月現在「常時5人以上の者を使用する法定17業種」は加入必須。(法定17業種とは:①物の製造、②土木・建設、③鉱物採掘、④電気、⑤運送、⑥貨物積卸、⑦焼却・清掃、⑧物の販売、⑨金融・保険、⑩保管・賃貸、⑪媒介周旋、⑫集金、⑬教育・研究、⑭医療、⑮通信・報道、⑯社会福祉、⑰弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業
7.3 在職老齢年金の見直し
2026年4月から、年金が減額される基準額(※)が「月収51万円(2025年度の金額)から65万円」に緩和されました。働きながらでも年金を満額もらいやすくなります。
※支給停止調整額(年金が減額される基準額):年金を受給しながら働くシニアの「賃金+老齢厚生年金」の合計がこの金額を超えると、年金支給額が調整される。
7.4 保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
厚生年金などの保険料や年金額の計算に使う賃金の上限(※1)を「月65万円から75万円」へ段階的に引き上げ(※2)。従来よりも現役時代の賃金に見合った年金を受給できるようになります。
※1 標準報酬月額:厚生年金や健康保険の保険料、年金額を計算するために、月々の報酬と賞与を一定の幅で区切った基準額のこと
※2 2027年9月から68万円、2028年9月から71万円、2029年9月から75万円に引き上げ
7.5 【独自試算】在職老齢年金の緩和で、働ける賃金の枠が月14万円広がる
在職老齢年金の基準額が月収51万円から65万円へ引き上げられると、実際にはどれだけ働きやすくなるのでしょうか。「賃金+老齢厚生年金」の合計が基準額を超えると調整される仕組みですから、年金額を差し引いた残りが賃金として受け取れる枠になります。
この記事に出てきた平均額を当てはめて計算します。
- 全体平均15万289円の人:賃金の枠は35万9711円 → 49万9711円
- 男性平均16万9967円の人:賃金の枠は34万33円 → 48万33円
- 女性平均11万1413円の人:賃金の枠は39万8587円 → 53万8587円
いずれのケースでも、広がる幅は月14万円で同じです。基準額が14万円上がった分がそのまま賃金の枠に反映されるため、年金額の大小にかかわらず一律に効きます。
年収に直すと168万円分の枠が広がる計算です。これまで「年金が減るから」と勤務日数を抑えていた人にとっては、働き方を見直す材料になります。
ただし、賃金が増えれば所得税・住民税や社会保険料の負担も増えます。年金が減額されなくなることと、手取りが増えることは同じではありません。実際の判断は手取りベースで比べる必要があります。
※この記事に掲載された平均年金月額と支給停止調整額(2026年4月から65万円)をもとにした目安の試算です。実際の在職老齢年金の計算は総報酬月額相当額と基本月額で行われ、賞与も含まれます。税・社会保険料の控除は考慮していません。個々の状況によって結果は異なります。
8. 監修者コメント:受け取る額を確かめてから、渡し方を考える
公的年金は、老後の家計における土台にあたるものです。生涯にわたって受け取れる終身の給付で、物価や賃金の動きを踏まえて毎年度見直される仕組みを持っています。この性質は預貯金にも運用資産にもありません。まずはこの土台の大きさを正確に知ることが、資産の使い方や渡し方を考える出発点になります。
この記事で押さえておきたいのは、一覧表の数字がすべて「額面」だという点です。実際に使えるのは、介護保険料や公的医療保険料、住民税、所得税が差し引かれた後の金額です。しかも天引きには仮徴収と本徴収があり、10月以降に金額が変わることがあります。年間の手取りを把握するには、少なくとも1年分の振込通知書を見る必要があります。
2026年4月からの在職老齢年金の緩和は、働き続ける選択をしやすくする変更です。ただし試算で示されているとおり、枠が広がることと手取りが増えることは別の話です。賃金が増えれば税や保険料も増えます。ご自身の場合にどうなるかは、年金事務所で見込額を出したうえで確認してください。
そのうえで、資産を次の世代へどう渡すかという段階に入るなら、順序があります。まず終身で受け取れる年金でどこまで生活費を賄えるかを確かめる。次に、自分たちが使う分と残す可能性のある分を分ける。この2つを済ませてから、渡し方の手段を検討する。順番を逆にすると判断がぶれやすくなります。












