介護サービスを使い続けると、毎月の自己負担がどこまで膨らむのかが気になってきます。実際には月ごとに上限が定められていて、超えた分はあとから払い戻される仕組みがあります。
これが高額介護サービス費です。2026年8月1日から、住民税非課税世帯を分ける所得の基準額が80万9000円から82万6500円へ引き上げられました。ただし上限額そのものは据え置かれています。
この記事では、所得区分ごとの上限額がいくらなのか、判定は誰の所得で行うのか、そして2026年8月に何が変わって何が変わっていないのかを順に確認していきます。
- 月の自己負担の上限は所得区分で5段階。一般区分は世帯で4万4400円
- 2026年8月1日から非課税世帯を分ける基準が80万9000円から82万6500円へ
- 上限額そのものは令和3年8月の見直し以降、据え置かれている
なお、高齢期の自己負担割合と医療費の上限については、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 高額介護サービス費は月ごとに自己負担の上限を定める
まずは制度の枠組みから確認していきます。介護保険のサービスを使ったときの自己負担には、1か月あたりの上限が設けられています。
1.1 上限額は所得区分で5段階に分かれる
2026年8月1日以降のサービス利用分では、上限額は次のようになっています。
- 現役並み所得者III(課税所得690万円以上)は世帯で14万100円
- 現役並み所得者II(課税所得380万円以上690万円未満)は世帯で9万3000円
- 現役並み所得者Iと一般(同一世帯に住民税課税者がいる)は世帯で4万4400円
- 住民税世帯非課税は世帯で2万4600円
- 生活保護受給者等は個人で1万5000円
世帯全員が住民税非課税で、本人の前年の課税年金収入額とその他の合計所得金額の合計が82万6500円以下の場合は、世帯で2万4600円に加えて個人で1万5000円という上限が設けられています。
所得区分別にみた高額介護サービス費の月額上限(2026年8月1日以降のサービス利用分)1/2
出所:厚生労働省および各市区町村の公表資料をもとにLIMO編集部作成
1.2 判定は同一世帯の65歳以上の課税所得で行う
ここで押さえておきたいのが、誰の所得で区分が決まるかです。現役並み所得者かどうかは、同一世帯に属する第1号被保険者、つまり65歳以上の方の課税所得で判定します。
同じ世帯に所得の高い40歳から64歳の方がいても、その所得はこの区分の判定には入りません。
非課税かどうかの判定は、サービスを利用した月ごとに、その月の初日時点で本人が属する世帯の世帯主および世帯員の課税状況で行います。年に一度決めて固定するものではありません。
この「世帯」は住民基本台帳上の世帯を指します。医療保険の世帯とは範囲が異なる点に注意が必要です。
医療保険側の判定については、LIMOの記事「【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説」から要点を引用しておきます。
世帯の所得や住民税の課税状況などに応じて、1割・2割・3割のいずれかの自己負担割合が適用される仕組みとなっており、その違いによって実際に支払う医療費にも大きな差が生じます。
出所:【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説
2. 2026年8月に変わったのは非課税世帯を分ける基準
次に、今年8月の変更点を確認していきます。同じ時期に医療保険側でも改定があったため、混同しやすいところです。
2.1 上限額そのものは据え置かれた
1万5000円から14万100円までの上限額は、令和3年8月の見直し以降そのままです。令和3年8月には、それまで一律4万4400円だった現役並み所得者の区分が3つに分かれ、9万3000円と14万100円が新設されました。医療保険の高額療養費制度に合わせる趣旨でした。
2026年8月の改定で動いたのは、この金額ではありません。
2.2 基準額は80万9000円から82万6500円へ
変わったのは、住民税非課税世帯のうち上限が低いほうの区分に入るかどうかを分ける、所得の基準額です。80万9000円から82万6500円へ引き上げられました。
適用は2026年8月以降に提供されるサービス利用分からで、7月以前の利用分は従来の基準で判定されます。
この基準額は段階的に上がってきました。令和7年7月利用分までが80万円、令和7年8月から令和8年7月利用分までが80万9000円、令和8年8月利用分からが82万6500円です。老齢基礎年金の満額が従来の基準額を上回ったことを受けた調整とされています。
住民税非課税世帯の区分を分ける所得基準額の推移2/2
出所:厚生労働省および各市区町村の公表資料をもとにLIMO編集部作成
家計相談では、介護費用の見通しを立てるときに上限額だけを見て安心してしまう方にお会いすることがあります。実際には上限と比べる対象に入らない費用があり、月の支払総額とは一致しません。
まずはお住まいの市区町村の案内で、ご自身がどの区分にあたるかを確認してみてください。


