60歳を過ぎて退職したあと、ハローワークで求職の申し込みをする方は少なくありません。このとき、すでに受け取っている年金がどうなるかはあまり知られていません。

日本年金機構は、65歳になるまでの老齢年金と雇用保険の失業給付は同時に受け取れないと案内しています。求職の申し込みをすると、年金は全額が支給停止になります。

この記事では、支給停止の対象と期間を確認したうえで、60歳から65歳までの厚生年金の平均年金月額を一覧で見ながら、止まる金額の目安を計算してみます。

なお、年齢別の平均年金月額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
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1. 65歳になるまでの老齢年金と失業給付は同時に受け取れない?

雇用保険の失業給付と老齢年金には調整の仕組みがあります。日本年金機構が案内している内容から確認していきましょう。

1.1 対象になるのは特別支給の老齢厚生年金など65歳になるまでの老齢年金

調整の対象になるのは、特別支給の老齢厚生年金などの65歳になるまでの老齢年金です。65歳から受け取る老齢厚生年金は対象に含まれていません。

特別支給の老齢厚生年金は、生年月日に応じて65歳より前から受け取れる年金です。すでに受け取っている方が求職の申し込みをすると、そこから調整が始まります。

1.2 支給停止は求職の申し込みをした月の翌月から始まる

年金が支給停止になるのは、ハローワークで求職の申し込みを行った日の属する月の翌月からです。

終わりは、失業給付の受給期間が経過した日の属する月、または所定給付日数を受け終わった日の属する月までです。この間、年金は全額が支給停止になります。

ただし、この期間に基本手当を受けていない月がある場合は、その月分の年金があとから支払われます。止まった分がそのまま消えるわけではありません。

2. 【年金一覧表】60歳から64歳の厚生年金の平均年金月額は月8万2267円

止まる金額を考える前に、この年代の方が実際にいくら受け取っているかを見ておきましょう。厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」から、年齢ごとの平均年金月額を並べます。

厚生年金保険(第1号)の老齢年金について、60歳から65歳までの平均年金月額を1歳刻みで並べたものです。老齢基礎年金を含んだ金額です。1/2

厚生年金の平均年金月額を60歳から65歳まで1歳刻みで並べた一覧表。60歳から64歳の平均は月8万2267円

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」を参考にLIMO編集部作成

【厚生年金の平均年金月額(令和6年度末現在・総数/男子/女子)】

  • 60歳:9万9664円/10万2162円/8万7483円
  • 61歳:10万4455円/10万6659円/9万2097円
  • 62歳:10万9323円/11万1783円/9万4706円
  • 63歳:6万8758円/11万4507円/5万9209円
  • 64歳:8万3901円/9万6980円/5万5371円
  • 60〜64歳の平均:8万2267円/9万9650円/5万8322円
  • 65歳:14万9862円/16万4018円/11万5591円

2.1 60歳から64歳の平均は男子9万9650円、女子5万8322円

60歳から64歳までをまとめた平均年金月額は8万2267円です。男子は9万9650円、女子は5万8322円で、その差は月4万1328円になります。

1歳ごとに見ると、総数では62歳の10万9323円がこの年代でいちばん高い金額です。

2.2 65歳になると平均は14万9862円に上がる

65歳の平均年金月額は14万9862円で、60歳から64歳の平均8万2267円より月6万7595円高くなります。65歳から老齢基礎年金が加わることが大きく影響しています。

年齢別の平均額の見方については、LIMOの記事「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」から要点を引用して確認しておきましょう。

ここで紹介したデータは、あくまで各年齢の平均値です。実際の受給額は、現役時代の加入状況や保険料の納付実績に応じて個人差があります。

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

失業給付との調整が関係するのは、この65歳より前の期間です。

3. 支給停止が続くと年金はいくら止まる?計算シミュレーション

60歳から64歳の平均年金月額8万2267円をもとに、支給停止が続いた場合に止まる金額を計算してみましょう。

60歳から64歳の平均年金月額8万2267円が支給停止になった場合に、期間ごとに止まる金額の合計を計算したものです。2/2

支給停止が3か月から6か月続いた場合に止まる年金額の合計を示した表。6か月で49万3602円

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」を参考にLIMO編集部作成

【支給停止が続く期間別の金額(平均年金月額8万2267円で計算)】

  • 3か月:24万6801円
  • 4か月:32万9068円
  • 5か月:41万1335円
  • 6か月:49万3602円

3.1 3か月で24万6801円、6か月で49万3602円

平均年金月額で計算すると、支給停止が3か月続けば24万6801円、6か月続けば49万3602円になります。

実際の金額は受け取っている年金額によって変わります。ご自身の年金額に月数を掛ければ、同じように目安を出せます。

村岸 理美

ファイナンシャルプランナーとして家計のご相談を受けていると、退職後の収入を年金と失業給付の両方で見積もっている方がいらっしゃいます。

65歳になるまでは、この2つは同時に受け取れません。求職の申し込みをする前に、どちらが手元に多く残るかを計算しておきましょう。