老後の家計の話は、夫婦2人を前提にした数字で語られることが少なくありません。ただ65歳以上の世帯では、すでに一人暮らしが最も多い形になっています。
厚生労働省の「2025年国民生活基礎調査」によると、65歳以上の者がいる世帯のうち単独世帯は33.8%で最多でした。高齢者世帯に限れば53.2%と過半数を超えています。
この記事では、65歳以上の単身無職世帯の1か月の家計収支と、二人以上の世帯との違い、そして単独世帯が増えてきた40年の流れを順に確認していきます。
- 65歳以上の単身無職世帯は実収入13万1456円に対し消費支出14万8445円で月2万9980円の不足
- 実収入の91.4%が社会保障給付。勤め先収入は統計上ゼロ
- 65歳以上の者がいる世帯の33.8%が単独世帯。高齢者世帯では53.2%
なお、高齢世帯の家計収支と貯蓄額の見方については、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 単身無職世帯の1か月は月2万9980円の不足
まずは家計収支から確認していきます。総務省統計局の家計調査で、65歳以上の単身無職世帯として集計されている区分です。
1.1 実収入13万1456円に対し消費支出14万8445円
2025年平均で見ると、実収入は13万1456円でした。ここから直接税7072円と社会保険料5912円を引いた可処分所得は11万8465円です。
これに対して消費支出は14万8445円で、可処分所得との差は月2万9980円の不足となります。世帯主の平均年齢は77.8歳です。
夫婦のみの高齢者無職世帯と比べると、こちらは実収入25万4395円、可処分所得22万1544円、消費支出26万3979円で、不足は月4万2434円でした。
1.2 不足額は小さいが、収入に対する重さは単身のほうが大きい
金額だけを見ると、単身の2万9980円は夫婦の4万2434円より小さくなります。ただし収入に対する比率で見ると印象が変わります。
平均消費性向は単身が125.3%、夫婦が119.2%でした。可処分所得11万8465円に対して2万9980円の不足は、収入のおよそ4分の1を毎月取り崩している計算になります。夫婦世帯は22万1544円に対して4万2434円で、およそ5分の1です。
65歳以上の単身無職世帯と夫婦のみ無職世帯の1か月の家計収支1/2
出所:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要」をもとにLIMO編集部作成
2. 収入の91.4%が社会保障給付
次に、収入の中身を見ていきます。単身と夫婦では、収入源の構成にも違いがあります。
2.1 働いて補う余地が統計上ない
単身無職世帯の実収入13万1456円のうち、社会保障給付は12万212円で91.4%を占めます。夫婦のみ無職世帯では22万8614円で89.9%でした。
さらに単身無職世帯では勤め先収入が計上されていません。夫婦世帯には配偶者の勤め先収入が7004円あります。事業・内職収入は単身が1434円、仕送り金が651円です。
年金がほぼ唯一の収入源という構造は、単身のほうがはっきりしています。
収入に占める年金の比重については、LIMOの記事「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」から要点を引用しておきます。
収入の内訳を見ると、合計25万4395円のうち、公的年金などの社会保障給付が22万8614円と約9割を占めています。
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
2.2 固定費は世帯人数で半分にならない
支出の内訳を見ると、人数が半分でも支出が半分にならない費目があります。
光熱・水道は単身1万5565円に対し夫婦2万3540円で、1.5倍にとどまります。単身の消費支出に占める割合は10.5%で、夫婦の8.9%より高くなっています。
住居も単身1万1416円、夫婦1万7739円で、構成比は単身7.7%、夫婦6.7%です。一方で食料は単身4万2545円、夫婦7万8964円と、こちらは人数におおむね比例しています。
家計相談では、夫婦2人分の平均データを見て老後の計画を立てている方にお会いすることがあります。一人になったときの家計は、単純に半分にはなりません。
光熱費や住居費のように人数で割り切れない費目があるためです。ご自身の見通しを立てるときは、単身の区分の数字も合わせて見ておくことをおすすめします。


