3. 追納した月は含まれていない

もうひとつ、注記に書かれている前提があります。

3.1 分母にも分子にも入らない

年報の注記では、納付対象月数及び納付月数には免除に係る追納月数は含まれていないとされています。免除を受けた期間の保険料を後から納めても、この年度の納付率には反映されないということです。

追納は年金額を増やす手続きですが、納付率という指標の外側で行われています。統計の数字と、個人の年金額の話は別に見る必要があります。

3.2 追納できるのは10年以内

免除や納付猶予の承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば申し出により後から納付できます。追納すれば、老齢基礎年金の受給額を満額に近づけられます。

10年を過ぎると追納はできません。免除を受けたまま放置すると、その期間は全額免除なら満額の2分の1の反映にとどまることになります。

4. 未納と免除では扱いが違う

個人の年金額から見ると、この差は大きなものです。

4.1 免除なら受給資格期間に入る

日本年金機構によると、保険料の全額を免除された期間は、老齢基礎年金を受け取る際に、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1を受け取れます。受給資格期間にも算入されます。

一方で未納の期間は、受給資格期間にも算入されず、年金額にも反映されません。老齢基礎年金を受け取るには納付済期間と免除期間などを合算した期間が10年以上必要ですので、この違いは無視できません。

4.2 障害や死亡のときにも関わる

免除や納付猶予を受けた期間中に、病気やけがで障害や死亡といった事態が発生し、一定の要件に該当する場合は、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができます。

未納のままだと、これらが受け取れない場合があります。老後の年金額だけの問題ではないという点は、押さえておきたいところです。

5. 統計を家計の話に置き換える

納付率の数字を、自分の話として読むとどうなるでしょうか。

5.1 気にするのは自分の記録

全国の納付率が何%かは、個人の年金額を左右しません。自分の記録に納付済みでない月がどれだけあるかが、そのまま年金額に表れます。

記録はねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。封書で届く年には全期間の月別状況が載りますので、空白がないかを見ておきたいところです。

5.2 家族の分も見ておく

家計相談では、お子さんの学生時代の記録が気になるという話も出ました。学生納付特例を受けていれば分母から外れていますが、年金額には反映されません。

追納の期限は10年です。該当しそうな期間があるなら、市区町村の国民年金担当課か年金事務所で確認してみてください。

6. まとめにかえて

令和6年度の国民年金保険料の納付率は78.56%でした。納付対象月数9127万360月に対し、納付月数は7170万4555月です。

この納付率は人数ではなく月数の割合です。法定免除、申請全額免除、学生納付特例、納付猶予、産前産後免除の月数は分母に含まれておらず、免除に係る追納月数も分母と分子のどちらにも入っていません。

統計の数字より大事なのは自分の記録です。ねんきん定期便やねんきんネットで納付済みでない月がないかを確かめ、追納できる期間があれば年金事務所に相談してみてください。

参考資料

村岸 理美