野村総合研究所が2025年2月13日に公表した推計によると、純金融資産5000万円以上1億円未満の「準富裕層」は403万9000世帯、3000万円以上5000万円未満の「アッパーマス層」は576万5000世帯。合わせると約980万世帯にのぼります。
純金融資産1億円以上の「富裕層」ほどではないにせよ、まとまった資産を持つ世帯は決して珍しくありません。ただ、ご自身がそこに含まれていると自覚している方は、そう多くないようです。
資産の全体像は、意識して並べてみない限り見えてきません。まずは公表データで「富裕層」の輪郭と、年収帯ごとの資産の中身を確認していきます。
なお、富裕層の定義や共通する行動については、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 準富裕層は403万9000世帯、アッパーマス層は576万5000世帯。合わせて約980万世帯にのぼる
- 富裕層・超富裕層は165万3000世帯。全世帯の保有資産額の26.1%がこの2層に集中している
- 「いつの間にか富裕層」は40歳代後半から50歳代の会社員が中心。相続に頼らず資産を築いた層が増えている
1. 純金融資産で分ける5つの階層と「富裕層」の位置づけ
資産1億円以上の世帯に共通する行動と思考を整理した記事はこちらでも公開されていますが、ここではまず階層の分け方から確認します。
「富裕層」と呼ばれる資産家たちは、どのような世帯なのでしょうか。
野村総合研究所が2025年2月13日に公表したニュースリリースでは、純金融資産保有額(※)に応じて世帯を以下の5つの層に分類しています。
※純金融資産保有額:預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いたもの
1.1 純資産保有額の階層別にみた「保有資産規模と世帯数」
- マス層(3000万円未満)
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満)
- 富裕層(1億円以上5億円未満)
- 超富裕層(5億円以上)
ここでは純金融資産1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」、5億円以上の世帯を「超富裕層」と定義し、世帯数や保有資産の規模についての推計データが公表されています。
このうち「富裕層」と「超富裕層」を合わせた世帯数は165万3000世帯に達し、全世帯の約3%を占めることが分かりました。
この合計世帯数は、推計が開始された2005年以降で最多です。また、富裕層・超富裕層それぞれの世帯数も2013年以降、継続的に増加傾向となっています。
2. 2005年以降で最多。富裕層+超富裕層の世帯数と資産額の推移
「超富裕層」と「富裕層」を合わせた、純金融資産1億円以上を持つ資産家たちについて、世帯数や資産総額の推移をみていきます。
- 2005年:86万5000世帯・213兆円
- 2007年:90万3000世帯・254兆円
- 2009年:84万5000世帯・195兆円
- 2011年:81万世帯・188兆円
- 2013年:100万7000世帯・241兆円
- 2015年:121万7000世帯・272兆円
- 2017年:126万7000世帯・299兆円
- 2019年:132万7000世帯・333兆円
- 2021年:148万5000世帯・364兆円
- 2023年:165万3000世帯・469兆円
富裕層と超富裕層の世帯数と資産総額は、世界金融危機や東日本大震災などの影響を受けて一時的に落ち込んだものの、長期的に見ると増加傾向にあります。
とくに2021年から2023年にかけての伸びは顕著です。この背景には、株価上昇や円安による資産価値の増大などがあったことが、同調査レポートでは指摘されています。
2.1 【一覧表】富裕層の世帯数と純金融資産保有規模(2023年)
- 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯・135兆円
- 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯・334兆円
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯・333兆円
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯・282兆円
- マス層(3000万円未満):4424万7000世帯・711兆円
なお、富裕層と超富裕層が保有する資産の合計は、前回調査より約3割ほど増加し469兆円に。全世帯の保有資産額の26.1%が、この2つの層に集中していることが分かります。
世代ごとの貯蓄額の平均と中央値から、ご自身の位置を確かめたい方は、以下の記事もあわせてご参考ください。
【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」
3. 新登場の「いつの間にか富裕層」と「スーパーパワーファミリー」は何が違うのか
今回の調査では「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」と呼ばれる、新しいタイプの富裕層たちの出現が指摘されています。
3.1 二つのタイプに共通する資産の築き方
まず、「いつの間にか富裕層」は、株式投資などを通じて富裕層の仲間入りをした、40歳代後半から50歳代の一般の会社員を中心とする層です。
高い金融リテラシーを持つ一方で、富裕層向けの専門的な金融商品や高度な資産管理には不慣れな面もあるとされます。
そして「スーパーパワーファミリー」は、都市部に住む年収3000万円を超える共働き世帯に代表される層です。
20歳~30歳代の間は、教育費や住宅ローンなどの支払いに苦労するも、昇格・昇給により40歳前後から資産が急速に増加する傾向があり、高収入を背景に50歳前後で富裕層に到達する可能性が高いとされる層です。
この「新しい富裕層」に共通するのは、相続や親の資産に頼らずとも、自分自身のキャリア形成や金融知識によって資産を築いている点と言えるでしょう。
では、資産を築いた人たちのお金の使い方には、どのような傾向があるのでしょうか。
バンバンお金を使うイメージがあるお金持ちですが、実際にはお金を使うことに対してシビアです。
物を買うときには「本当にこれに対してこれだけのお金を支払う価値があるのか」をじっくり考えます。
派手な消費よりも、支出の一つひとつに判断の軸があるという指摘です。
ムダなお金を使わないのは、「お金に対する価値基準」がしっかりしているとも言えます。
不要なものには使いませんが、使うべきコト・モノには使い、その判断の軸が定まっています。
4. 年収帯ごとに見る、金融資産1940万円の中身
2025年12月、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」の結果から、世帯年収ごとの金融資産内訳に関するデータを見ていきます。
4.1 我が家と比較!世帯年収別にみる種類別の金融商品保有額
全体の金融資産保有額はどうなっている?
全国:1940万円
- 収入はない:634万円
- 300万円未満:858万円
- 300~500万円未満:1431万円
- 500~750万円未満:1755万円
- 750~1000万円未満:2222万円
- 1000~1200万円未満:2725万円
- 1200万円以上:5635万円
安心の土台となる「預貯金」の保有額
全国:745万円
- 収入はない:385万円
- 300万円未満:368万円
- 300~500万円未満:631万円
- 500~750万円未満:693万円
- 750~1000万円未満:908万円
- 1000~1200万円未満:1028万円
- 1200万円以上:1649万円
安定性を重視する「債券」の保有額
全国:78万円
- 収入はない:7万円
- 300万円未満:36万円
- 300~500万円未満:54万円
- 500~750万円未満:58万円
- 750~1000万円未満:67万円
- 1000~1200万円未満:91万円
- 1200万円以上:343万円
積極的な運用を目指す「株式」の保有額
全国:433万円
- 収入はない:33万円
- 300万円未満:191万円
- 300~500万円未満:235万円
- 500~750万円未満:365万円
- 750~1000万円未満:434万円
- 1000~1200万円未満:572万円
- 1200万円以上:1792万円
分散投資の定番「投資信託」の保有額
全国:216万円
- 収入はない:153万円
- 300万円未満:79万円
- 300~500万円未満:167万円
- 500~750万円未満:189万円
- 750~1000万円未満:238万円
- 1000~1200万円未満:292万円
- 1200万円以上:682万円
気になる「債券・株式・投資信託の合計額」と全体に占める割合
全国:727万円(37.5%)
- 収入はない:193万円(30.4%)
- 300万円未満:306万円(35.7%)
- 300~500万円未満:456万円(31.9%)
- 500~750万円未満:612万円(34.9%)
- 750~1000万円未満:739万円(33.3%)
- 1000~1200万円未満:955万円(35.0%)
- 1200万円以上:2817万円(50.0%)
データを見ると「債券・株式・投資信託」への投資額そのものは、年収とある程度相関しています。
金融資産保有額全体に占める割合を見ると、年収が1200万円未満の層ではおおむね30%台となっています。
それにより、資産運用が一部の富裕層だけのものではなく、標準的な年収の世帯にも普及している様子がうかがえます。
一方で、年収が1200万円以上の層は、金融資産保有額全体に占める「債券・株式・投資信託」の割合が50.0%となっており、資産運用を活用した資産形成に積極的に取り組んでいる様子が確認できました。
上記の通り皆さん自身が行動を変えるのはもちろん、皆さんの「お金」に働いてもらうのも効果的です。2026年8月現在、銀行預金の金利は約0.3%〜0.5%前後と上昇したもののまだ低水準であり、お金をすべて預金していては、効果的に資産を増やすのが難しい状況です。
インフレが進む今、預貯金だけに頼らず、家計に合った無理のない投資で資産を育てることも選択肢の1つです。
ライフスタイルや保有している資産全体のバランスも踏まえたうえで、ご自身のリスク許容度に合った資産形成の方法を選んでいくことが大切になります。


