4. 【2026年12月の改正】iDeCoの加入可能年齢と拠出限度額が変わる
公的年金で足りない部分を自分で準備する手段として、個人型確定拠出年金(iDeCo)があります。この制度が2026年12月から変わります。
4.1 加入できる年齢が70歳未満まで広がる
厚生労働省によると、2026年12月1日の施行予定で、iDeCoの加入可能年齢が引き上げられます。現在は国民年金の被保険者であることが加入の要件ですが、改正後は60歳以上70歳未満の方にも対象が広がります。
対象になるのは、iDeCoの加入者、iDeCoの運用指図者、企業年金からiDeCoに資産を移換する方です。あわせて経過措置が設けられ、施行日から3年間はこれら以外の60歳以上70歳未満の方も加入できます。
60歳を過ぎても働き続ける方が増えるなかで、資産形成を続けられる期間が延びることになります。
4.2 拠出限度額は月6万2000円・7万5000円へ
同じ2026年12月1日の施行で、拠出できる金額の上限も引き上げられます。
会社員などの第2号加入者については、勤務先の企業年金の有無による差をなくし、企業年金と共通の限度額に一本化したうえで、月6万2000円に引き上げられます。自営業者などの第1号加入者は、iDeCoと国民年金基金の共通の限度額が月7万5000円になります。
5. 【落とし穴】枠が広がっても引き出せる時期は変わらない
選択肢が広がるのは前向きな話ですが、注意点もあわせて押さえておきたいところです。
iDeCoは掛金が全額所得控除の対象になる一方で、老齢給付金として受け取れるのは原則60歳からです。加入期間が短い場合は、受給できる年齢が後ろにずれることもあります。
また、運用の結果によっては元本を下回る可能性があります。拠出限度額が上がったからといって、上限いっぱいまで拠出することが常に正解になるわけではありません。手元の生活資金を確保したうえで、無理のない範囲を決めることが先になります。
5.1 受け取り方によって税金の扱いが変わる
受け取るときは、一時金、年金、その併用という選択肢があります。それぞれ課税の扱いが異なり、退職金を受け取る時期との関係でも結果が変わります。
判断が難しい部分なので、受け取りが近づいたら金融機関や税務署に確認しておくと安心です。
6. 【対応策】確認する順番を決めておく
公的年金と私的年金をどう組み合わせるか。順番を決めて確認していくと整理しやすくなります。
6.1 まず公的年金の見込額を確かめる
土台になるのは公的年金です。ねんきん定期便やねんきんネットで見込額を確認します。2階部分がどれくらいあるかによって、必要な上乗せの規模が変わります。
6.2 不足額を月額で出してみる
希望する生活費から公的年金の見込額を差し引くと、毎月いくら足りないかが出ます。この金額が分かって初めて、iDeCoにいくら拠出するかを検討できます。
6.3 勤務先の制度とあわせて考える
2026年12月からは、企業年金の有無による限度額の差がなくなります。勤務先に企業型確定拠出年金や確定給付企業年金があるかどうかで使える枠が変わってきたため、この機会に自分の勤務先の制度を確認しておくとよいでしょう。
制度の細かい取り扱いは施行までに変わる可能性もあります。加入や拠出額の変更を検討する際は、金融機関や勤務先の担当部署に最新の内容を確認してください。
7. まとめにかえて
公的年金は国民年金と厚生年金の2階建てで、2026年度は国民年金1.9%、厚生年金2.0%の増額改定となりました。老齢基礎年金の満額は月7万608円です。
一方で、厚生年金を月15万円以上受け取っている人は49.8%と半数に届きません。国民年金だけであれば、満額でも月約7万円です。
2026年12月1日からはiDeCoの加入可能年齢が70歳未満まで広がり、拠出限度額も第2号加入者で月6万2000円、第1号加入者で月7万5000円に引き上げられます。まずは公的年金の見込額を確認し、そのうえで不足分をどう埋めるかを考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
村岸 理美