NISAは若い世代の制度という印象があるかもしれません。ただ、統計を見ると、使っているのは現役層だけではありません。
金融庁が2026年7月3日に公表した「NISA口座の利用状況調査(2025年12月末時点)」によると、NISA口座数は「2820万6434口座」でした。
このうち60歳代・70歳代・80歳代以上を合わせると884万4682口座で、全体の31.4%にあたります。
この記事では、シニア世代がNISAをどのくらい使っているのか、そして使い方が現役層とどう違うのかを、金融庁の集計から確認します。
- 2025年12月末時点のNISA口座数は2820万6434口座。60歳代以上の3つの年代で31.4%を占める
- 2025年の年間新規買付額は全年代で18兆7487億円。うち60歳代以上の3つの年代で6兆1140億円にのぼる
- 70歳代は買付額の84.1%が成長投資枠。つみたて投資枠の比重が大きい若い年代とは使い方が異なる
1. 「NISA」口座数2820万のうち、3割は60歳代以上
まず、NISAがどの年代にどれだけ広がっているのかを確認します。
現在のNISAは2024年1月に始まった制度で、新NISAと呼ばれることもあります。非課税になるのは運用で得た利益で、預けた金額が所得控除されるわけではありません。
1.1 2025年12月末時点の総数は2820万6434口座
金融庁の調査によると、2025年12月末時点のNISA口座数は2820万6434口座でした。2025年6月末時点からは4.6%の増加です。
累計の買付額は71兆円にのぼります。政府は2027年12月末までに口座数3400万・買付額56兆円という目標を掲げていますので、買付額のほうは目標を先に超えたことになります。
1.2 60歳代・70歳代・80歳代以上を合わせると884万口座
年代別に見ると、60歳代が417万5854口座、70歳代が307万8095口座、80歳代以上が159万733口座です。
3つを合わせると884万4682口座で、全体の31.4%にあたります。NISA口座の3つに1つ近くは60歳代以上が持っていることになります。
NISA口座数2820万6434口座のうち、60歳代以上の3つの年代で31.4%を占める1/2
出所:金融庁「NISA口座の利用状況調査(2025年12月末時点)」をもとにLIMO編集部作成
1.3 最も多いのは50歳代で、40歳代・30歳代が続く
年代別で最も多いのは50歳代の553万1813口座で、40歳代が538万1768口座、30歳代が494万5690口座と続きます。
なお年代別比率は端数処理をしているため、合計しても100.0%にならないことがあります。
2. 「NISA」シニアの買付額は年6兆円台。使う枠は成長投資枠に寄る
次に、口座数ではなく実際に投資された金額を見ていきましょう。
金融庁は2025年1月1日から12月31日までの年間新規買付額も年代別に集計しています。
2.1 2025年の新規買付額は全年代で18兆7487億円
2025年中の年間新規買付額は、全年代の合計で18兆7487億円でした。内訳は成長投資枠が12兆5138億円、つみたて投資枠が6兆2349億円です。
年代別では50歳代が4兆1492億円で最も多く、40歳代の3兆9061億円、60歳代の3兆4007億円が続きます。
2.2 60歳代以上の3つの年代で6兆1140億円
60歳代が3兆4007億円、70歳代が2兆619億円、80歳代以上が6514億円です。3つを合わせると6兆1140億円で、全年代の32.6%にあたります。
口座数の比率が31.4%でしたので、金額でもほぼ同じ割合を占めていることになります。
2.3 70歳代は買付額の84.1%が成長投資枠
使っている枠の内訳には、年代ごとの違いがはっきり出ています。全年代では成長投資枠が66.7%、つみたて投資枠が33.3%です。
これが60歳代では成長投資枠73.1%、70歳代では「84.1%」、80歳代以上では91.7%まで高まります。一方、20歳代は成長投資枠51.1%とつみたて投資枠48.9%でほぼ半々です。
2025年の年間新規買付額のうち成長投資枠が占める割合は、年代が上がるほど高くなる2/2
出所:金融庁「NISA口座の利用状況調査(2025年12月末時点)」をもとにLIMO編集部作成
買付額のうち上場株式が占める割合も、全年代の30.1%に対し、70歳代は44.5%、80歳代以上は64.2%です。年代が上がるほど、積立よりも個別の株式に向かう傾向が読み取れます。
3. 「NISA」1年間まったく買付がなかった口座は全体の36.6%
もう一つ、金融庁の集計で目を引くのが買付がなかった口座の多さです。
金融庁は2025年1月1日から12月31日の間に一度も買付がなかった口座を「0円」として集計しています。
3.1 70歳代は約半分、80歳代以上は7割超が0円
全年代では2855万8925口座のうち1044万6488口座、36.6%が0円でした。
年代別では、60歳代が422万8441口座のうち149万7869口座で35.4%、70歳代が313万4939口座のうち157万1243口座で50.1%、80歳代以上が165万8297口座のうち121万8171口座で73.5%です。
なお、この集計には2025年12月31日時点で廃止された口座の取引も含まれるため、合計は前述の口座数の総数とは一致しません。
3.2 口座があることと、使っていることは別
口座数だけを見るとシニア世代にもNISAが広がっているように見えますが、実際に買付があったかどうかは別の話です。
すでに非課税保有限度額まで使い終えている方もいれば、開設したまま止まっている方もいると考えられます。この数字だけでどちらが多いかを判断することはできません。
