3. 失業したときは所得にかかわらず申請できる
前年に収入があった人でも、状況によっては免除の対象になります。
3.1 失業等による特例免除
日本年金機構によると、失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、失業等した人の前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があります。
この特例を受けるには、失業等の事実を確認できる書類が必要です。会社を辞めた直後は前年の所得が高いままですので、通常の所得基準では免除に届かないことが多くなります。その隙間を埋めるための仕組みです。
3.2 申請できるのは2年1カ月前まで
申請できる期間は、保険料の納付期限から2年を経過していない期間です。申請の時点から2年1カ月前までさかのぼれます。
言い換えると、それより古い未納は免除に切り替えられません。気づいた時点で早めに申請しておきたいところです。
4. あとから納めて満額に近づける
免除や納付猶予を受けた期間は、そのままにしておく必要はありません。
4.1 追納は10年以内
免除・納付猶予の承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば申し出により後から納付できます。これを追納といいます。追納すれば、老齢基礎年金の受給額を満額に近づけられます。
1年で受け取れる年金額の目安を見ると、40年納付した場合は84万7300円、40年全額免除となった場合は42万3650円です。昭和31年4月2日以後生まれの人の金額になります。
4.2 障害や死亡のときにも効いてくる
免除や納付猶予を受けた期間中に、病気やけがで障害や死亡といった不測の事態が発生し、一定の要件に該当する場合は、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができます。
未納のままだと、これらが受け取れない場合があります。しかも、事故や病気が起きてから過去にさかのぼって申請しても、障害基礎年金の保険料納付要件には算入されません。老後の話だけではないという点は、押さえておきたいところです。
5. 申請の前に確かめておきたいこと
保険料の計算に関わってきた立場から、実務的な点をいくつか挙げておきます。
5.1 審査される所得の範囲を確認する
免除は本人・配偶者・世帯主の3人の所得で審査されます。自分の所得が低くても、世帯主の所得によっては承認されないことがあります。世帯の構成が判定に関わる点は、国民健康保険料の軽減と似た考え方です。
なお、学生の場合は学生納付特例制度、生活保護の生活扶助を受けている場合や障害年金を受けている場合は法定免除、出産を予定している場合や出産した場合は産前産後期間の免除と、それぞれ別の制度が用意されています。
5.2 相談先は市区町村と年金事務所
申請の窓口はお住まいの市区町村の国民年金担当課、または年金事務所です。承認されるかどうかは所得の状況によって変わりますので、自分が該当するかどうかは窓口で確認することになります。
保険料を納めるのが難しいと感じたら、そのままにせず相談してみてください。免除が承認されれば、その期間は年金の計算に残ります。
6. まとめにかえて
国民年金保険料の免除は、全額・4分の3・半額・4分の1の4段階です。令和8年度に納める額は、それぞれ0円・4480円・8960円・1万3440円になります。
全額免除でも満額の2分の1が年金額に反映されます。納付猶予は受給資格期間にのみ算入され、未納はどちらにも算入されません。
申請できるのは納付期限から2年を経過していない期間までで、承認された期間は10年以内なら追納できます。まずは市区町村の国民年金担当課か年金事務所に相談してみてください。
参考資料
太田 彩子