毎年9月になると、日本年金機構から年金生活者支援給付金の請求書が順次送られてきます。
ただし、封筒が届いた方が全員この給付金を受け取れるわけではありません。厚生労働省は「日本年金機構から封筒が届いた方も年金生活者支援給付金が支給されない場合があります」として、3つの事由を挙げています。
この記事では、支給されない3つの事由と、届く請求書の種類の違い、そして添付書類や代筆といった手続きの疑問を、元自治体職員として住民税の課税情報を扱っていた立場から確認していきます。
- 要件を満たしていても、日本国内に住所がない・年金が全額支給停止・刑事施設等に拘禁されている期間は支給されない
- 届く請求書には「はがき型」と「A4型+所得状況届」の2種類があり、意味が違う
- 課税証明書などの添付書類は原則不要。自筆が難しい場合は代筆でも手続きできる
なお、年金生活者支援給付金の基本的なしくみと請求手続きについては、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 【年金生活者支援給付金】請求の封筒が届いても支給されない場合がある
まず、この記事のいちばん大事な部分から確認していきます。厚生労働省は、次の3つのいずれかに該当した場合は給付金が支給されないとしています。
1.1 日本国内に住所がないとき
海外へ転出して住民票を抜いている期間は対象になりません。年金そのものは海外にいても受け取れますが、この給付金は国内に住所があることが前提になっています。
1.2 年金が全額支給停止のとき
3つのなかで、もっとも見落としやすいのがこの事由です。年金生活者支援給付金は年金に上乗せする形の給付なので、土台となる年金が止まっていると支給されません。
年金が全額止まる場面はいくつかあります。65歳以上で働きながら年金を受け取っていて、在職老齢年金の仕組みによって全額が支給停止になっている場合。あるいは、65歳になるまでの老齢年金を受け取れる方が、雇用保険の基本手当を受け取るために年金が全額支給停止になっている場合です。
いずれも「年金の受給権はあるが、その期間は年金が支払われていない」状態です。この間は給付金も支払われません。
1.3 刑事施設等に拘禁されているとき
拘禁されている期間も支給の対象外です。
なお、日本国内に住所がなくなったときと、刑事施設等に拘禁されたときは、届出が必要とされています。
2. 届く請求書には2種類ある
そもそも年金生活者支援給付金の請求には2種類あり、どちらが届いたかで意味が変わります。
2.1 はがき型は、要件に該当することが確認できた方に届く
日本年金機構は、基礎年金を受給している方で新たに給付金を受け取ることができる方に、はがき型の請求書を送っています。市町村から所得情報の提供を受けて、要件に該当することが確認できた方が対象です。
この給付金は要件を満たしていれば自動で振り込まれるものではなく、請求の手続きが必要です。この点について、LIMOの記事「年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説」から要点を引用しておきます。
しかし、この給付金を始めてもらう場合は「条件を満たしていれば勝手に口座へ振り込まれる」というものではありません。対象者へ送られるハガキ(請求書)を自ら返送し、「申請」を行わなければ1円も受け取ることができないのです。
出所:年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説
2.2 A4型と所得状況届は、確認できなかった方に届く
一方、支給要件に該当するかどうかが確認できない方には、A4型の請求書と、所得情報を確認するための所得状況届が送られます。
市町村から所得の情報が取れていないために判定ができない状態なので、提出して初めて結果が分かります。はがき型が届いた方とは事情が違う点を押さえておくとよいでしょう。
この違いについては、LIMOの記事「【増額が決定!】2026年4月分からの「年金生活者支援給付金」給付基準額はいくらに?《支給対象になる人》や手続き方法を解説」でも触れられています。
なお、支給要件に該当するか確認できない方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得状況届」が送付されます。
出所:【増額が決定!】2026年4月分からの「年金生活者支援給付金」給付基準額はいくらに?《支給対象になる人》や手続き方法を解説
3. 課税証明書などの添付は基本的にいらない
手続きで迷いやすいのが添付書類です。結論から言えば、原則として必要ありません。
3.1 市町村から所得情報の提供を受けて判定する
厚生労働省は、市町村から提供を受ける所得情報等により支給要件を満たしているか判定するため、基本的に課税証明書等の添付は必要ないとしています。証明書を取りに行くところから始める必要はありません。
ただし、所得情報等が確認できない場合などには、提出を求められることもあります。
3.2 所得の線を超えていれば、そもそも対象にならない
添付書類が不要なのは手続きの話であって、所得の要件そのものが緩いわけではありません。令和8年度は、昭和31年4月2日以後に生まれた方で、前年の年金収入金額とその他の所得の合計が80万9000円以下であることが老齢年金生活者支援給付金の要件です。
80万9000円を超えても90万9000円までは補足的老齢年金生活者支援給付金の対象になりますが、金額は所得に応じて段階的に下がります。
3.3 同じ仕組みで、翌年以降の手続きも省かれる
この所得情報の受け渡しは、初回の判定だけに使われるものではありません。日本年金機構は、引き続き支給要件を満たしている場合、翌年以降の手続きは原則不要としています。
毎年、市町村から本人と世帯員の前年所得の情報の提供を受けて、引き続き該当しているかを確認しているためです。
自治体で住民税の課税情報を参照しながら保険料を計算していた頃、所得の情報が別の制度の判定にそのまま使われる場面を何度も見てきました。添付書類がいらないのは、その仕組みがあるからです。


