秋の深まりとともに、将来の暮らしやお金について考える時間が増えてくる季節です。そんな中で気になる制度のひとつが「年金の追納制度」。

「年金の追納制度」とは、経済的な理由により保険料を免除・猶予された方が、その期間の保険料を後から納めることができる仕組みのことです。

保険料を追納すれば、将来の年金額を増やすことができる一方、追納ができる期限や加算額などに注意する必要があります。

そこで今回は、年金の追納について、メリットとデメリットを詳しく解説します。

1. 追納制度とは?

失業等により年金保険料が納められなくなることは、誰にでも起こる可能性があります。

そのため、国民年金には、前年所得(あるいは前々年所得)が一定額以下になったり、失業したりして、保険料を納めることが難しい方のために、保険料を免除したり、納付を猶予する制度があります。

  • 保険料免除制度:失業等で所得が一定以下になった場合など、保険料の全額または一部(4分の3、半額、4分の1)が免除される制度。
  • 保険料納付猶予制度:20歳以上50歳未満の方を対象に、所得が一定額以下の場合、保険料の支払いが猶予される制度。
  • 学生納付特例制度:20歳以上の学生を対象に、在学中の保険料納付を猶予できる制度。

免除や猶予の申請をしておくと、年金の一部が受け取れたり、万が一の事態が起こった場合には、障害年金や遺族年金を受け取れたりします(※)。※障害基礎年金や遺族基礎年金を受けるには一定の要件に該当する必要があります。

また、保険料の免除や猶予を受けた期間については、本来支払うはずだった保険料を後から納付することも可能です。これが「追納制度」です。

追納をすると、将来の年金額が増やせたり、税制上のメリットも受けられます。次の章で具体的に見ていきましょう。