3. 65歳以上の夫婦のみ無職世帯は月4万2434円の赤字
貯蓄がどれくらい持つかを考えるには、毎月の収支を知る必要があります。
3.1 収入25万4395円に対し支出は29万6829円
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から、65歳以上の夫婦のみの無職世帯を見ます。ひと月の収入合計は25万4395円で、そのうち社会保障給付が22万8614円でした。収入の約9割を年金などが占めています。
支出は、生活費にあたる消費支出が26万3979円、税や社会保険料などの非消費支出が3万2850円で、合計29万6829円です。
3.2 差し引き4万2434円を取り崩すことになる
収入25万4395円から支出29万6829円を引くと、毎月4万2434円の不足です。この分は貯蓄を取り崩すか、働いて補うことになります。
年間にすると50万9208円です。貯蓄の中央値1777万円と並べると、単純計算で34年分を超える計算になりますが、実際には医療費や住宅の修繕といった臨時の支出も加わります。
4. 赤字が続く期間を平均余命から考える
では、その取り崩しは何年続くと見ておけばよいのでしょうか。ひとつの目安になるのが平均余命です。
4.1 65歳の平均余命は男性19.68年、女性24.52年
平均余命とは、特定の年齢の人があと何年生きられるかを示す期待値です。厚生労働省「令和7年簡易生命表の概況」によると、65歳の平均余命は男性19.68年、女性24.52年でした。
なお、よく使われる平均寿命は0歳の平均余命を指します。2025年の平均寿命は男性81.35年、女性87.33年で、前年からそれぞれ0.25年、0.20年延びています。
4.2 月4万2434円の不足が続くとどうなるか
毎月4万2434円の赤字が65歳の平均余命の分だけ続くと仮定すると、男性の19.68年で約1002万円、女性の24.52年で約1249万円になります。
先ほどの中央値1777万円と比べると、この試算の範囲では収まる計算です。ただし、これは生活費の不足分だけを積み上げた金額で、介護費用や住宅の修繕、家電の買い替えなどは含まれていません。
また、平均余命はあくまで平均です。それより長生きした場合は、その分だけ取り崩しの期間も延びることになります。
5. 平均ではなく、自分の収支から逆算する
同じ貯蓄額でも、毎月の不足額が違えば持つ年数はまったく変わります。
5.1 有価証券が増えている背景
この点について、LIMOの記事「【シニア世代の貯蓄】65歳以上無職夫婦「平均2494万円」株などの有価証券が増加傾向《2026年度》年金改定額「国民年金の満額7万円台」突破」から要点を引用しておきます。
この貯蓄額は近年増加傾向にあり、2024年には2560万円まで右肩上がりの状態が続いていました
出所:【シニア世代の貯蓄】65歳以上無職夫婦「平均2494万円」株などの有価証券が増加傾向《2026年度》年金改定額「国民年金の満額7万円台」突破
6. まとめにかえて
65歳以上の無職世帯の平均貯蓄額は2494万円で、前年より66万円減り6年ぶりの減少となりました。減ったのは預貯金で、有価証券は9万円増えています。
有職世帯を含めた平均は2564万円で、無職世帯より70万円多くなります。分布を見ると2500万円以上が36.3%、300万円未満が14.9%でした。
65歳以上の夫婦のみ無職世帯の家計収支は月4万2434円の赤字でした。まずは自分の家計でこの不足額がいくらになるかを出して、そこから何年分必要かを逆算してみてください。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)-2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和7年簡易生命表の概況」
中本 智恵