3. 保険料の計算に使う賃金には上限がある
収入が増えたとき、社会保険料はどこまで増えるのでしょうか。
3.1 標準報酬月額とは何か
厚生年金保険料や健康保険の保険料、そして将来の年金額を計算するときには、月々の報酬と賞与を一定の幅で区切った「標準報酬月額」という基準額が使われます。
この標準報酬月額は、先ほど見た所定内給与とは範囲が違います。この点について、LIMOの記事「「これ以上稼いでも厚生年金保険料は同じ」そんな年収のラインはいくら?上限は段階的に引き上げられる予定」から要点を引用しておきます。
標準報酬月額: 月々の給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅で区分した等級に当てはめて決定したもので、保険料や年金額の計算に使用される
出所:「これ以上稼いでも厚生年金保険料は同じ」そんな年収のラインはいくら?上限は段階的に引き上げられる予定
3.2 いまの上限は月65万円
この標準報酬月額には上限があり、現在は月65万円です。月の収入が65万円を超えても、保険料や将来の年金額の計算に使われるのは65万円までとなります。
厚生労働省によると、現在は会社員男性の約10%がこの上限に該当しています。賃金が上限を超えると保険料の負担は相対的に軽くなりますが、そのぶん老後に受け取る年金額も低くなります。
4. 上限は月65万円から75万円へ段階的に上がる
2025年の年金制度改正では、この上限の引き上げが盛り込まれました。
4.1 2027年9月から3段階で引き上げ
標準報酬月額の上限は、2027年9月から月68万円、2028年9月から月71万円、2029年9月から月75万円へと段階的に引き上げられます。
現在の65万円から10万円引き上げられることになります。
4.2 負担は増えるが、年金額も増える
上限が上がると、これまで65万円で頭打ちになっていた層の保険料負担は増えます。
その一方で、これまでよりも現役時代の賃金に見合った年金を受け取れるようになります。厚生労働省も、月収が一定以上となる人が賃金に応じた保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくすることを改正の狙いとしています。
5. まとめにかえて
令和7年賃金構造基本統計調査によると、所定内給与は部長級63万5800円、課長級52万9200円、係長級39万9200円、非役職者31万500円でした。賞与を年4カ月分と仮定した年収の目安は、部長級で約1017万円になります。
保険料と年金額の計算に使う標準報酬月額の上限は、2027年9月から2029年9月にかけて月65万円から75万円へ引き上げられます。
役職に就くと額面は増えますが、そこから引かれる社会保険料の計算基準も動きます。自分の標準報酬月額がいくらかは、勤務先から渡される標準報酬決定通知書で確認できますので、一度見ておいてください。
参考資料
中本 智恵