「部長・課長・係長」といった中間管理職への昇進は、キャリアアップの代表的な道の一つです。

責任は重くなる一方、経営層と現場の板挟みになりやすく、「収入は増えたはずなのに、割に合わない」と感じる方も少なくありません。

そんな中間管理職の年収はどれくらいなのでしょうか。

この記事では、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の役職別データをもとに、中間管理職の平均年収と非役職者との格差を確認したうえで、額面と手取りの差、そして管理職特有の「残業代」の扱いについて解説します。

ココがポイント
  • 部長級の平均年収は試算で1017万2800円、非役職者の204.8(約2.05倍)。課長級は846万7200円で170.4(約1.70倍)
  • 額面が上がるほど税・社会保険料の負担も重くなり、部長級の手取りは額面の7割程度(試算で約721万円)にとどまる
  • 課長級以上は労働基準法上の「管理監督者」として残業代の対象外になるケースが多く、残業の多い係長級との手取り差が縮まる、あるいは逆転することもある

1. 【一覧表】中間管理職の平均年収はいくら?非役職者との年収差

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の役職別データ(一般労働者のうち雇用期間の定めのない者、男女計)によると、部長級の平均月収は63万5800円、課長級は52万9200円、係長級は39万9200円、非役職者は31万500円となっています。

ここに年間4ヶ月分のボーナスがあると仮定して年収を試算すると、以下のようになります。

役職別 平均年収と非役職者との賃金格差1/2

役職別 平均年収と非役職者との賃金格差

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職別(一般労働者・雇用期間の定めのない者)をもとにLIMO編集部作成

  • 部長級(平均年齢53.1歳):平均月収63万5800円・試算年収1017万2800円
  • 課長級(平均年齢49.5歳):平均月収52万9200円・試算年収846万7200円
  • 係長級(平均年齢45.4歳):平均月収39万9200円・試算年収638万7200円
  • 非役職者(平均年齢41.8歳):平均月収31万500円・試算年収496万8000円

役職が上がるほど賃金水準は明確に上昇しており、部長級は非役職者の204.8(約2.05倍)、課長級は170.4(約1.70倍)、係長級でも128.6(約1.29倍)という結果です。

試算年収で見ると、部長級は1017万円台に達し、いわゆる「年収1000万円」を超える水準になります。

数字だけを見れば「出世すれば稼げる」という結論になりそうですが、額面が上がった分がそのまま懐に入るわけではない点に注意が必要です。

和田 直子
SNS上では、管理職に昇進し「年収は上がったはずなのに、生活が楽になる実感がわかない」といった声を見かけます。

数字上の年収アップと、実際に使えるお金の増え方は必ずしも比例しません。役職手当がついて額面が上がったときこそ、税金や社会保険料を差し引いた後の金額で家計を見直すことが大切です。

2. 年収1000万円でも「手取り」は7割程度?税金と社会保険料の壁

役職に就いて年収が上がるほど、所得税の税率は段階的に高くなり、社会保険料の負担も重くなります。

独身・東京都在住・協会けんぽ加入(40歳未満)という一般的な条件を仮定して手取り額を試算すると、以下のようになります。

役職別 額面年収と手取り額(試算)の比較2/2

役職別 額面年収と手取り額の比較

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職別データをもとにLIMO編集部試算

※独身・東京都・協会けんぽ加入(40歳未満)を想定した試算値。扶養控除の有無等により実際の手取り額は異なります。

  • 部長級の年収:額面1017万円・手取り721万円(手取り率70.8%)
  • 課長級の年収:額面847万円・手取り619万円(手取り率73.1%)
  • 係長級の年収:額面639万円・手取り488万円(手取り率76.5%)
  • 非役職者の年収:額面497万円・手取り386万円(手取り率77.7%)

部長級の試算年収1017万円に対し、手取り額は約721万円(手取り率70.8%)にとどまります。課長級は試算年収847万円に対して手取り約619万円(手取り率73.1%)、係長級は試算年収639万円に対して手取り約488万円(手取り率76.5%)です。役職が上がるほど手取り率が下がっていくのがわかります。額面の年収差ほどには、手取りの差は広がらないという点が重要です。

和田 直子
「年収1000万円」と聞くと非常にゆとりのある生活を想像しがちですが、税金や社会保険料を差し引くと、手取りは額面の7割程度に落ち着くケースが多いです。

特に住民税や厚生年金保険料は翌年度以降に反映される部分もあるため、昇進した年は「思ったより手取りが増えていない」と感じやすい時期でもあります。昇進のタイミングでは、額面ではなく手取りベースで家計の見通しを立て直すことをおすすめします。