4. 【落とし穴】団体信用生命保険は満80歳で保障が終わる

高齢期まで住宅ローンが残る場合に確認しておきたいのが、団体信用生命保険(団信)の期限です。

4.1 加入できるのは満70歳未満、保障は満80歳まで

住宅金融支援機構の新機構団信の場合、加入できるのは申込書兼告知書の記入日現在で満15歳以上満70歳未満の方です。そして保障は満80歳の誕生日の属する月の末日までとなっています。

保険金が支払われるのは、死亡したときと、身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級または2級に該当し身体障害者手帳の交付を受けたときです。

つまり満80歳を過ぎてローンが残っていた場合、団信による返済免除は期待できません。返済が長く続く見込みなら、いつ保障が切れるのかを把握しておく必要があります。

4.2 団信に入らないという選択肢もある

健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合でも、フラット35自体は利用できます。ただし金利は加入する団信に応じて異なります。

新機構団信と新3大疾病付機構団信には、高度障害保険金の取扱いがない点も確認しておきたいところです。

5. 【落とし穴】いま契約している人の完済予定は約76歳になる

70歳代の住宅ローンは、今の高齢世代だけの話ではありません。現役世代がこれから同じ位置に立つ可能性があります。

5.1 平均年齢43.3歳に平均償還期間32.6年を足すと

住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査によると、利用者の平均年齢は43.3歳、平均償還期間は32.6年でした。

単純に足し合わせると、完済予定は約75.9歳という計算になります。団信の保障が切れる満80歳まで、4年ほどしか余裕がありません。

同調査では1か月あたりの予定返済額が平均12万3800円、総返済負担率が平均22.8%となっています。年金中心の家計でこの返済額を続けられるかどうかは、契約の段階で見ておきたい点です。

5.2 貯蓄の平均額はあてにしすぎない

70歳代の貯蓄は平均で2000万円を超えますが、この数字の読み方には注意が必要です。

70歳代の貯蓄の実態については、LIMOの記事「【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!」から要点を引用します。

70代の貯蓄額「平均2000万円超」は富裕層が引き上げている。実態を表す中央値はもっと低く、物価高で現金の価値自体が目減りしている。

出所:【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!

平均貯蓄額でローンを一括返済できるつもりでいると、実際の手元資金と食い違うことがあります。中央値と自分の残高で考えるほうが確実です。

6. 【対応策】リ・バース60は使える場面が限られる

高齢期の住まいの資金として、住宅金融支援機構の「リ・バース60」という選択肢があります。ただし使いどころは限定的です。

6.1 毎月の支払は利息のみになる

リ・バース60は満60歳以上の方が利用できる住宅ローンで、毎月の支払は利息のみです。元金は契約者が亡くなったときに、相続人による一括返済か担保物件の売却で返済します。

残った債務の返済を求められないノンリコース型と、求められるリコース型があります。同機構によると、ノンリコース型の選択率は約99%で、申込実績は2025年3月末現在で累計8000件を超えています。

6.2 生活資金には使えない

注意したいのは資金使途です。住宅の建設・購入、リフォーム、住宅ローンの借換え、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金などに限られ、生活資金や投資用物件には利用できません。

先に見たとおり、70歳代の借入目的では「日常の生活資金」が21.9%を占めます。この部分はリ・バース60ではカバーできない領域にあたります。

またノンリコース型で免除された残債務は「債務免除益」として一時所得となり、課税される可能性があります。利用を検討する場合は、金融機関や税務署に個別の条件を伝えて確認しておくと安心です。

7. 【確認したい書類】残高と期限は手元の紙で確かめる

統計の数字はあくまで全体の傾向です。自分の状況を確かめるには、手元にある書類を見るのが確実です。

7.1 返済予定表で完済予定年月を確認する

金融機関から交付されている返済予定表には、毎回の返済額と残高の推移、そして最終回の返済年月が記載されています。完済予定のときに自分が何歳になっているかを、まず数えてみてください。

繰上げ返済をした場合は、期間短縮型か返済額軽減型かによって完済予定年月が変わります。過去に繰上げ返済をしているなら、最新の予定表を取り寄せて確認しておくと確実です。

7.2 団信の証書と家族への共有

団体信用生命保険の加入内容は、契約時の書面や保険会社から届く通知で確認できます。保障の終期がいつか、どの事由で保険金が支払われるかを見ておきます。

あわせて、ローンが残っていることと返済予定をご家族と共有しておくことをおすすめします。契約者に万一のことがあったとき、手続きをするのはご家族です。

8. まとめにかえて

70歳代で借入金がある二人以上世帯は6.7%で、割合としては少数派です。50歳代の22.3%、60歳代の14.3%と比べても、多くの世帯は返済を終えて高齢期を迎えています。

一方で、残っている世帯の借入金残高は平均927万円、中央値275万円です。家計調査で負債保有世帯に絞っても、住宅・土地のための負債は644万円ありました。割合は小さくても、当たったときの負担は軽くありません。

借入の目的が住宅から生活資金へ移っていくことも、70歳代の特徴です。返済が長く続く見込みがある場合は、団信の期限と完済予定年齢を早めに確認し、金融機関の相談窓口で返済計画を見直しておくことをおすすめします。

参考資料