年金だけでは足りないと感じたとき、頼れる公的な仕組みがいくつかあります。
ただし、その多くは自分で申請しないと始まりません。所得が把握できていれば自動的に適用されるものもありますが、両者は入口がまったく違います。
筆者は銀行と信託銀行で15年以上、シニア層のお客さまの相談を受けてきました。この記事では、60歳・65歳以上の方が使える公的な支援を5つ確認していきます。
- 年金生活者支援給付金、高額療養費、高額介護サービス費は申請が入口になる
- 保険料の均等割の軽減は、所得が把握できていれば自動的に適用される
- 自動で適用されるものでも、所得の申告がされていないと判定ができない
1. 年金に上乗せされる給付金
まずは、年金そのものに上乗せされる仕組みからです。
1.1 年金生活者支援給付金
老齢年金生活者支援給付金は、65歳以上で老齢基礎年金を受けていること、世帯全員の市町村民税が非課税であること、前年の年金収入金額とその他の所得の合計が80万9000円以下であることの3つを満たす人が対象です。
令和8年度の基準額は月5620円で、偶数月の15日に2か月分がまとめて振り込まれます。要件を満たしても、請求手続きをしなければ支給されません。
1.2 手続きの入口は請求書
日本年金機構によると、支給対象となった人にはお知らせを兼ねた請求書が郵送されます。すでに基礎年金を受給していて新たに対象となる人には、毎年9月の第1営業日から順次届きます。
届いた請求書を提出することが、受け取りの入口になります。
5つのうち4つは、自分から動かないと始まりません1/2
出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」および厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」をもとにLIMO編集部作成
2. 医療と介護の負担を抑える2つ
次に、支払った費用が戻ってくる仕組みです。
2.1 高額療養費制度
高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が上限額を超えた場合に、その超えた額が支給される仕組みです。上限額は年齢や所得に応じて定められています。
厚生労働省によると、直近12か月の間に高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合は、4か月目以降は自己負担限度額がさらに軽減される多数回該当という仕組みもあります。なお、令和8年8月からは新たに年単位の上限額が設けられました。
2.2 高額介護サービス費
介護保険にも同じような仕組みがあります。ひと月に支払った介護サービスの利用者負担が上限額を超えたとき、超えた分が払い戻されます。
こちらも上限額は所得に応じて決まります。初回は申請が必要になるのが一般的で、以降は自動的に振り込まれる自治体が多くなっています。
制度をいくつ知っているかより、どれが自分に当てはまるかを1つずつ確かめるほうが早く進みます。窓口はそのためにあります。
